曲も良く出来てるし個々は上手いしマジメ。でも全体感がサッパリ。といったバンドがやたらと増えたのは、かれこれ6、7年前からかなぁ。
理由はいろいろ考えられるのだが、どうもコンピューターの音楽システムの発達と普及も要因のひとつのような気がする。
打ち込みは、時間軸に沿って打点を設定していけばすべての楽器を極めて正確に演奏してくれるので、当然コンビネーションが良く、すぐそれなりのノリが出て、複雑な演奏でもいくらでも再現が可能だ。
近年は特に打ち込みを使わないバンドでもデモをパソコンで作ったりするし、打ち込みを目にすることも多いから、人間同士の演奏も同様の理屈で上手くいくはず。と、思ってしまうのも無理はない。「個々がちゃんとやれば、せーので始めれば上手くいく」というわけである。
それで何が起きるかと言うと、個々が「ちゃんとすること」に必死になってしまい、人の演奏とのリアルタイムの相互作用が希薄になってしまう。で、終わってから「俺はちゃんとやった」と言い合う。どうも上手くいきようがない気がする。
「ハイ、BPM 120ね」と言ってスタートさえすればコンビネーションもバッチリ。というほどヒトのタイム感なんて良いものではない。だから結局レコーディングでは、クリックという時間軸を入れておいて編集しまくる。が、ライブはどうするのだ? ゆえに多くのバンドがライブの一体感がからきしである。
パソコン内と人間同士ではコンビネーションに関するシステムが違う。と考えたほうが良いのではないか。たとえばドラムだって歌がハシれば自然と釣られて早くなる。これはパソコン内では起こり得ないが、歌の音楽的な解釈が優れていれば「自然と」良い一体感、演奏、高揚、が生まれる。と考えることもできる。もちろんこういう現象はメンバー全員の間で相互に起き得る。
昔はパソコンもクリックも当たり前にはなかったから、こんな感じで自然と人間同士でお互いに「ノり合って」音楽的な一体感を作り出して楽しんでいた。ということなのだろう。ま、そういう世界もあるよ。と。
▲ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ。
レゲエは個々の演奏がシンプルだし、テンポもゆっくりなので、
リズムのコンビネーションの緊密な相互関係がよく分かる。
三原重夫
1976年、セットドラミングを始める / 1986年、ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』でデビュー。ローザ解散後、メトロファルス・ルースターズ・スターリンに参加。その後フリードラマーとし て、様々なレコーディングやツアーに参加 /1997年、ドラムチューナーとしても活動開始。ドラマー、ドラムチューナー、エンジニアなど、25年ものキャリアを誇る。
http://i.gmobb.jp/mihara/
https://twitter.com/mihasige
1976年、セットドラミングを始める / 1986年、ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』でデビュー。ローザ解散後、メトロファルス・ルースターズ・スターリンに参加。その後フリードラマーとし て、様々なレコーディングやツアーに参加 /1997年、ドラムチューナーとしても活動開始。ドラマー、ドラムチューナー、エンジニアなど、25年ものキャリアを誇る。
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