Text by ISHIYA(FORWARD / DEATH SIDE)
あなたの無関心が、生命を奪い続けていないか? 世間一般の常識に、人生が踊らされていないか?
米がない。2024年9月初旬の現在、近所のスーパーやドラッグストアに、全く米がない。運が悪いのか何なのか、俺の住む家の近所には米屋もない。
先月、運よく仕入れの瞬間に立ち会えたので、5kgの米を購入できたが、それでもいつもの価格の1.5倍ほどの3,000円ほどだった。
「そのうち入荷するだろう」などと呑気に構えていたら、やはりどこへ行っても米は売っていない。
仕方ないのでパックのご飯を買おうとしても、それすらもほとんど売っていない。
どうにもならないので、麺類やパンをメインで過ごしているのだが、俺は動物性食品を食べないので、スーパーなどで市販されている一般的なパンは、乳製品や卵を使っているものがほとんどなので、パン屋に行って小麦と水と菌だけで作られているような、純粋なパンを探さなくてはならない。おまけに少し小麦アレルギーがあるので、あまり小麦を食べすぎると腹が緩くなる。
俺の個人的事情は置いておくとして、ここまで米がないのに、なぜ政府は対策をしないのだろうか。
自民党に期待するほうが間違ってはいるのだが、国民の主食である米が売っておらず、あっても高価になっているのであれば、国として対策するのが政府というものではないのか?
海外では、主食であるパンなどの食品は必ず手に入る上に価格も抑えられ、国によっては税率も抑えられていたりする。
主食がないのに政府が対策を取らないというのは、何かあるのでは? と勘繰ってしまっても仕方ないだろう。それとも政府がただのバカの集まりなのか。
ネット上の噂では「アメリカの遺伝子組み換え食品を売るため」「減反政策によるツケが回ってきた」などの話が多く見られる。
政府や農林水産省の話では、インバウンド(外国人旅行者)による需要が増え、台風や南海トラフ地震の危険性により買いだめがあったのも原因とされているが、外国人観光客が、日本の一般家庭が米不足になるほど、米を食うのだろうか。
買い占めに関しては、日本の国民性としてあり得る話である。東日本大震災の時でも、なぜか東京で食品が買えないほど何でも売り切れていた。当時住んでいた街のいつも行く八百屋のおばちゃんは、買い占めの状況を見て「狂ってる」と、真剣な顔で言っていた。
コロナ禍の最中でもマスクなどが買えない他にも、1970年代に起きたオイルショックでも、トイレットペーパーがなくなるなどの買い占めが起きている。
近年は転売屋も幅を利かせているので、一概には言えない部分はあると思うが、基本的に日本人は買い占めをする。
ただ、それには「不安」という大きな理由があるのはよく理解できる。だからと言って買い占めて良いとは思わないが、国民の不安を微塵も考えない政策を取った挙句の今回の米不足は、完全に政府当局が犯した失敗であることは確実だろう。
もし政府の失態ではないとしたら、アメリカ産小麦や米を売るためという噂に信憑性があるのかもしれない。
減反政策で、米を作る田んぼを畑に変えると国から金が出るという田畑輪換政策では、水田活用の直接支払交付金が支給されるという。日本人の主食である米を作っている米農家のほとんどが赤字だという話もあり、「田んぼを畑にすれば助成金を貰えるなら」と、米作りをやめても不思議はないだろう。ただ、以下の資料では米でも助成金が出る政策もあるようだが、その辺りの事情は俺にはよくわからない。
参考資料:農林水産省経営所得安定対策(ゲタ対策とナラシ対策のPDFに詳しく掲載)
政府には備蓄米があるというが、それを市場に出せば米が値下がりするので出せないという。裏金や消費税、政党助成金や政治献金は、値下がりした被害を受ける米農家の支援や補償へ回せないのか? 金もあるところにあるのだし、補償さえすればいいと思うのだが、回す気などさらさらないのだろう。
米の価格の下落と、主食の米が手に入らない事態と、どちらが重要なのだろう。それよりもアメリカ産の小麦や米を売るほうが大事なのか?
子どもや家族が小麦や蕎麦のアレルギーであるなどといった、よほどの理由がない限り、米の買い占めに走る人たちも政府のやり方と大差はない。
小麦と蕎麦のアレルギーだったら、現状かなり困るだろう。毎回外食ができるほど裕福な人ばかりではない。少しは想像を働かせられないものだろうか。
自分の不安だけ解消できれば、他のことなどお構いなしだ。そんな人間ばかりが住んでいる国の政府が、国民のことなどお構いなしであるのは至極当然だと俺は思う。そりゃ自民党が政権を握り続けるはずだ。自分たちのことさえ良ければ、他はどうでもいいなら、米がなくなろうが高くなろうが、裏金を懐に入れようが関係ないだろう。
米が買えずに、アレルギーの子どもが、仕方なく小麦や蕎麦を食べてアナフィラキシーショックにでもなったらどう思う?
買い占めて余っているその食べ物で、助かる生命があるとは考えはないのだろう。
その裏金で、どれだけの生命が助かるかとは考えないのだろう。
都合の悪いことには目を瞑り、否定、言い訳、無視、逆ギレ。いや本当に、買い占めが事実だとしたら政府と国民がそっくりだと思わないか?
スーパーなどに「お一人様、一家族一個でお願いいたします」という貼り紙がある時点で、買い占めが事実かどうかはわかるとは思うが。
困っているものたちや苦しんでいるものを見捨て、痛みや感情を無視し、自分だけの利益を満たすことが最優先の国民と国家なのだろうと思う。そりゃ俺たちみたいな動物の権利を主張する人間が、否定されて吊し上げられ、押し付けだと言われるわけだ。
「自分を犠牲にしろ」などと言っているわけではない。できる限りでいいから、少しでいいから、感じられる感覚でいいから、考えてみないか? と言っているだけだ。
苦しみや痛みなんて、誰でも理解できる感覚じゃないか。同じ思いをしている他者を無視して、自分だけが良ければいいって、酷くないか?
誰にでも生きてりゃ数えきれないほどの痛みや苦しみがあるんだ。痛みや苦しみなんて極力無いほうがいいじゃないか。そんなことは誰でも一緒だろ?
少しでも多く、自分のことのように他者の痛みや苦しみを感じられるようになれれば、今より世の中は良くなると思うけどね。できる限りでいいから、他者の苦痛と自分の欲望を秤にかけて、どちらが重いか考えてみてもいいんじゃないかな? それだけで助かる生命はたくさんあるよ。生命より欲望のほうが重ければ、やっぱり自民党やイスラエルと一緒だよね。
仕事をして金を稼ぎ家族を養う。9時から5時まで働いて、日曜日は休みだから週末が楽しみだ。
学校にはちゃんと行って卒業して、いい就職をしなきゃ将来が不安だ。
ごちそうさまを言いなさい。感謝して残さず食べなさい。勉強しなさい。宿題をやりなさい。
褒められたり叱られたりして培った感覚。
平日の昼間に、いい歳の男性がスーツも着ないで繁華街にいると、警察官に職務質問されるのはなぜだろう。平日の昼間は仕事をしていなければいけないのか?
いい服を着て、いい車に乗り、いい街のいい家に住み、金に困らない生き方が成功ってやつなのか?
犬や猫のペットは殺してはいけないが、牛や豚は殺してもいいって差別じゃないのか? 違いがどこにあるんだ?
搾取しているのは誰だ? 搾取されるのは誰だ? 殺しているのは誰だ? 殺されるのは誰だ?
根底に愛があると攻撃され吊し上げられる、愛が邪魔な人間ばかりの世の中なのか?
「殺せ」というのが常識で、「殺すな」というのは押し付けなのか?
もう少しでいいから考えてみようよ。もう少しでいいから自分以外のものたちの思いや感覚を感じてみようよ。知らなかったことや無視してきたものに、もう少しでいいから関心を持ってみようよ。
あなたの無関心が、生命を奪い続けていないか?
世間一般の常識に、人生が踊らされていないか?
次に殺されるのはあなたかもしれない。すぐに殺されはしなくても、閉じ込められ、管理され、与えられたものを自由だと思い込まされ、死の瞬間でさえ、殺されるために生かされてきたことにすら気づかないかもしれない。それって家畜動物と同じじゃないか。同じことをしているんだよ。同じことをされているんだよ。
常識を疑うんだ。孤立を恐れるな。
自分が変われば世界も変わる。この腐った世界を変えるのは、一体誰だと思う?
CRASS『SYSTEMATIC DEATH』(組織的な死)
システム、システム、システム、人生における死
システム、システム、システム、外科医のナイフ
システム、システム、システム、へその緒を切り裂く
システム、システム、システム、子どもが生まれる
かわいそうなクソガキ、かわいそうなクソガキ
命など望みはしない
かわいそうな赤ん坊、かわいそうなダニ
両親の喧嘩に泣く
両親の喧嘩に泣く
システム、システム、システム、彼を学校に送る
システム システム システム ハイハイさせろ
システム、システム、システム、カンニングの仕方を教えろ
システム、システム、システム、彼を足蹴にする
かわいそうな小学生
いい子なら撫でられ 悪い子なら叩かれる
かわいそうな子ども、かわいそうな坊や
彼らは彼の心に役立たずのたわごとを強制的に教え込む
役立たずのたわごとを強制的に教え込む
システム、システム、システム、彼らは彼女に料理を教えるだろう
システム、システム、システム、彼女に見栄えを教える
システム、システム、システム、彼らは彼女にすべてのトリックを教えるだろう
システム、システム、システム、脂ぎったチ○ポのために新たな犠牲者を生み出す
かわいそうな女の子 かわいそうな女中
もう一人の犠牲者
かわいそうな小娘 かわいそうな小娘
愚かな心を犯すために
システム、システム、システム、彼は大人になった
システム、システム、システム、計画に合わせて教え込まれる
システム、システム、システム、40年の仕事
システム、システム、システム、小さなボタンを押し、小さなノブを引く
哀れな労働者 哀れな農奴
自分の価値の半分で ロバのように働く
哀れな職人 哀れな紳士
使い果たした金のために働く
使い果たした金のために働く
彼は人生を売ってる 彼女は忠実な妻だ
ネズミのように臆病で小さな家を持っている
彼は小さな車に乗り カクテル・バーを共にする
彼女は彼の食事を作るのが好きだ
時々、彼は遅くまで働くので、彼の夕食は待たなければならない
でも彼女は気にしない、だって残業代が出るから
彼は雨の日のために少し蓄えておくのが好きだ
生活費は少しずつでも増えていくからだ
毎週プールに通い、幸運に恵まれることを願っている
そして海外旅行へ行き、お金にならないことをする
彼女は毛皮が欲しいし、彼はもっと大きな車が欲しい
バンガローを買って、ジョージアン様式のドアを見せびらかす
仕事を辞めようと思うかもしれないが、いや、クビは嫌だ
ここにいて、まっとうな給料をもらうほうがいい
死者に休息はない
「ありがとう」と一度か二度言っただけさ
システム、システム、システム、希望を奪われ
システム、システム、システム、彼らは対処できないと教えられた
システム、システム、システム、最初から奴隷だ
システム、システム、システム、死が彼らを分かつまで
かわいそうなクソガキども、なんてかわいそうな二人なんだ
命を奪われても、気にも留めなかった
哀れな愛すべき庶民たちよ
システムと残酷なジョークの犠牲者
システムと残酷なジョークの犠牲者たち
夫婦は残骸を眺め、我が家を夢見る
制度が爆弾を落としたとき、彼らはもう少しでローンを支払うところだった
*DeepL.com(無料版)で翻訳しました。
CRASS『SYSTEMATIC DEATH』
System, system, system, death in life
System, system, system, the surgeon's knife
System, system, system, hacking at the cord
System, system, system, a child is born
Poor little fucker, poor little kid
Never asked for life, no, she never did
Poor little baby, poor little mite
Crying out for food as her parents fight
Crying out for food as her parents fight
System, system, system, send him to school
System, system, system, force him to crawl
System, system, system, teach him how to cheat
System, system, system, kick him off his feet
Poor little schoolboy, poor little lad
They'll pet him if he's good, and they'll beat him if he's bad
Poor little kiddy, poor little chap
They'll force-feed his mind with their useless crap
Force-feed his mind with their useless crap
System, system, system, they'll teach her how to cook
System, system, system, teach her how to look
System, system, system, they'll teach her all the tricks
System, system, system, create another victim for their greasy pricks
Poor little girly, poor little wench
Another little object to prod and pinch
Poor little sweety, poor little filly;
They'll fuck her mind so they can fuck her silly
Fuck her mind so they can fuck her silly
System, system, system, he's grown to be a man
System, system, system, taught to fit the plan
System, system, system, forty years of jobs
System, system, system, pushing little buttons, pulling little knobs
Poor fucking worker, poor little serf
Working like a mule for half of what he's worth
Poor fucking grafter, poor little gent
Working for the cash that he's already spent
Working for the cash that he's already spent
He's selling his life - She's his loyal wife;
Timid as a mouse, she's got her little house
He's got his little car, and they share the cocktail bar
She likes to cook his meals; you know, something that appeals
Sometimes, he works 'til late, so his supper has to wait
But she doesn't really mind, 'cause he's getting overtime
He likes to put a bit away just for that rainy day
'Cause every little counts as the cost of living mounts
They do the pools each week, hoping for that lucky break
Then they'd take a trip abroad, do all the things they can't afford
She'd really like to have a fur, he'd like a bigger car
They could buy a bungalow, with a Georgian door for show
He might think of leaving work, but, no, he wouldn't like a shirk
He'd much prefer to stay, and get his honest day's pay
He's got a life of work ahead; there's no rest for the dead
And she's tried to make it nice, he's said "Thank you," once or twice
System, system, system, deprived of any hope
System, system, system, taught they couldn't cope(I know)
System, system, system, slaves right from the start
System, system, system, 'til death do them part
Poor little fuckers, what a sorry pair
Had their lives stolen, but they didn't really care
Poor little darlings, just your ordinary folks
Victims of the system and its cruel jokes
Victims of the system and its cruel jokes
The couple views the wreckage, and dreams of home sweet home
They'd almost paid the mortgage when the system dropped its bomb
◉CRASSは1977年から1984年まで活動し、“Anarchy & Peace”をスローガンとしたイギリスのアナーコ・パンク・バンド。“ダイヤルハウス”と呼ばれる家で自給自足の集団生活を送り、自身のレコードレーベル“CRASS RECORDS”を立ち上げ、DIY精神の基礎を確立した。「SYSTEMATIC DEATH」は1981年に発表された3rdアルバム『PENIS ENVY(as it was beginning)』に収録。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。