12回目です。このコラム。提示されたテーマどおりに書かないまんま1年が経ちました。
最終少女ひかさ、歌担当の但野です。
容赦なく、音楽シーンに対する疑問や不満を、ノーガードでバッチンバッチンと書き殴る予定だったはずが。持ち前の「だって嫌われたくないもん精神」で、結局スルリスルリとテーマから逃げ続け、1年が経ちました。
ふむ。1年か…。バンドにすべて捧げた。と言ってしまえば格好は良いが、恐らく当然のことのように、そんなバンドマンだらけなんだろうと思う。バンドマンはきっと、そんな連中ばかりなんだろうし。そうであってほしい。別に仲間意識なんてないし、「全員敵じゃいブッ飛ばしてやらあ精神」でやってるんだけど。それでも、そういうふうに感じる人を見ると、嬉しくなったりする。勝手に、友達だと思えたりする。
ずーっと旅をしている。この1年。と言うか、最終少女ひかさを始めてからずーっと。
街から街へ。深夜の高速道路。運転手はたけぼー。俺はいつも助手席。
たまに、どこからともなく射し込んでくる灯りを頼りに、ノートにつらつらと言葉を書き込む。
今日あったことを思い出したり。けど、出来事を書くのはなんだかツマラナイから、その時の感情だけを書き込むようになったのはいつからだろう。
初めての街。何度目かの街。久しぶりの街。
情けないけど、悔しい夜なんていくつもあった。誰にも受け入れられてない…と感じることなんて何度もあった。それでも、良くも悪くも明日はやって来る。明日も、俺には立たなきゃならないステージがある。何よりも望んでいるステージが待っている。
俺は暗い気持ちを、周りが気づくぐらいに、出してしまう。
後ろを歩くメンバーたちは、それに気づいてるんだろう。そのうえで、それぞれ楽しそうに会話をしている。俺は、一番歳上なのに、一番こどもだ。
つぶれそうな心。深い自問自答の末。ひとりごとにしてはあまりにも大きな声で絞り出す。「俺たち、明日はいける! 明日は売れる!」
歩く足を止めないし、振り向きもしない。たけぼーが、いつの間にか隣を歩いていて。声も出さずに頷いていた。