バンドマンの中でも、日頃から積極的にライブハウスに足を運ぶ者と。そうでない者がいて。
私は断トツで後者なのだが。
そのため、たまにSNSで
「いつもライブに来いと言っているバンドマンでさえ、めったにライブを観に行かないこの現状! コレは如何なものか!」
などという物申す系の発言を見かけるたびに私は心を痛め。
すみません…私のことです…嗚呼、どうか見つかりませんように…
と肩身を狭くし、タイムラインに浮上しないよう心掛けている。
まぁ、これについては両者とも思うことはあり。分かり合うことは不可能と諦めるのが、楽しく生きるコツかもしれません。
で、ここ最近の私は。なんと珍しくライブハウスへ足を運んでおりまして。
もちろん大満足の夜もありましたし。
やれやれ、金と時間の無駄だったぜ…な夜もありました。
しかし、転んでもタダでは起きるべからず。あの夜を無駄にしないため。そのライブから学べることを学び。自分のライブに活かそうではないかと考えたわけです。
その日のライブは、地元札幌のバンドと来札バンドのツーマン。
一番手の地元バンドは出てくるなり高めの熱量でステージを暴れまわっている。
気になったのは、ボーカルのMCだ。
最近では「好きなように見てくれ」というメッセージで、閲覧の自由を唱えるバンド(ジョン系)が多くなったように思う。
「手をあげろ!」や「踊れ! 唄え!」などと言う。これまでスタンダードだった、楽しみ方を強要させるバンド(ジャイアン系)に対するカウンターとして、ジョン系は誕生した。
この日のボーカルも、かなりのジョン寄りだった…。
反論を恐れずに言わせてもらうが。
私は正直、この近年のジョン系ブームにすっかり飽き飽きしていた。
6バンドくらい集まると、必ずと言っていいほど1バンドはジョン派がいる。
1ライブに1ジョンも見ていれば、初めは好感を持ってたものも。だんだんとその優しさも嘘くさく映り。ピュアなジャイアンの揚げ足を取ってるだけの嫌な奴に思えてくる。
ジャイアンは良い。保険はかけない。自分が楽しいと思ったことを全力で勧めるのだ。
ジョンの存在を知りながら、それでも自分の正義を貫く。
…そうか。
私も、これからはジャイアン系でいこう。次に来るのはジャイアンの波だ。
まずは「自分的ベストなライブの楽しみ方」に辿り着き。それをステージから強要すれば良い。…グフフ…簡単すぎる…!!
私はさまざまなライブの見方を研究した。最前列で頭を振る。手を挙げ足を挙げ踊り狂う。最後尾で腕を組み、たまに首を傾げてみる。
思いつく限りの楽しみ方を試した。そして私は辿り着いた。
次回のライブで私はステージから叫ぶだろう。
「全員両手をコートのポケットに入れろー! そして音楽に合わせて頭を前後に揺らせー! もっと! もっと小さく! もっと控えめにだー!」