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トップコラム「LOFTと私」五辺宏明第76回「1999年2月:BLUE CHEER来日イベント直前に届いたMUTSUMI623の訃報」

6回「1999年2月:BLUE CHEER来日イベント直前に届いたMUTSUMI623の訃報」

第76回「1999年2月:BLUE CHEER来日イベント直前に届いたMUTSUMI623の訃報」

2026.08.01

レコード&昭和プロレス愛好家のゴベと申します。
 
1991年5月22日のDOOMワンマンから、1999年1月7日のCOCOBATレコ発までの約7年半、西新宿時代のロフトで数多くの素晴らしいライブを体験させていただきました。下北沢シェルターも同様です。
 
一方、トークライブハウスのロフトプラスワンには縁がなく、前回取り上げた1999年1月の時点で未訪問。しかしその翌月、プラスワンで興味深いイベントが開催されることを知りました。
 
* * * * *
 
「Summertime Blues」の爆音カバーで知られるBLUE CHEERがプラスワンに出演するという情報を得たのは、イベントのひと月ほど前だったような気がします。もしかすると、1月7日のCOCOBATレコ発を観に行った際に配布された誌面版『Rooftop』のスケジュール欄で知ったのかも。
 

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BLUE CHEER「Summertime Blues」
7" / SM-1045 / Japan / 1968
 
60年代後半から70年代初頭にかけて活躍し、以降も散発的に活動していたBLUE CHEERの初来日が決定。ディッキー・ピーターソン(b, vo)、ポール・ウィアリー(ds)、アンドリュー・ダック・マクドナルド(g)というラインナップで復活した伝説のサイケデリックロックバンドが、同じく初来日となるTHE DEVIANTSとツアーを行なうことが発表されました。
 
On Air Westで行なわれる東京公演は、1999年2月10日と11日。残念ながら両日とも予定が入っていたため断念せざるを得ませんでしたが、2月9日にプラスワンでトークイベントが開催されるとのこと。BLUE CHEERとTHE DEVIANTSのメンバーに加え、ゆらゆら帝国の坂本慎太郎や音楽評論家の湯浅学も出演者として名を連ねていました。
 
BLUE CHEER創設者のディッキー・ピーターソンに会える貴重な機会を逃すわけにはいきません。プラスワンの店長を務めていた友人の加藤梅造氏(現ロフトプロジェクト代表取締役)に連絡して、予約をお願いしました。
 
「ライブは観られないけど、ディッキー・ピーターソンにサインをもらえるかも!」と思いながらヘビロテしていたのが、1968年に発表された1stアルバム『VINCEBUS ERUPTUM』。言わずと知れた歴史的名盤です。
(本作でドラムを叩いているポール・ウィアリーが復活BLUE CHEERに参加していることを知ったのは、来日後)
 

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BLUE CHEER『VINCEBUS ERUPTUM』
LP / PHS 600-264 / US / 1968
 
「銀色の部分にサインを入れてもらいたいけど、デコボコしているから書きにくいよなぁ」
「凹凸のないジャケット裏面に書いてもらったほうが無難かも」
エンボス(浮き出し)加工が施されたジャケットを眺めながら、ディッキー・ピーターソンに会える日を楽しみにしていたのに……。
 

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* * * * *
 
1999年2月5日、SUPER JUNKY MONKEYのMUTSUMI623(vo)が亡くなりました。
 
訃報に接してから葬儀に参列した数日間の記憶は、断片的にしか残っていません。はっきり覚えているのは、かわいしのぶちゃん(b)の重く沈んだ声を電話越しに聞いた瞬間に「MUTSUMIちゃんが死んだ」と思ったこと。
 

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梅造さんに連絡して、告別式と同日に行なわれるBLUE CHEERトークイベントの予約をキャンセルさせてもらったのは、MUTSUMIちゃんの故郷に向かう前日だったと思います。
 
* * * * *
 
葬儀以降の記憶も曖昧で。
覚えているのは、梅造さんからこのCDを受け取ったこと。
 

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BLUE CHEER『LIVE & UNRELEASED '68/'74』
CD / CTCD-023 / Japan / 1996
 
1968年のライブテイクと1974年のデモ音源を収録した『LIVE & UNRELEASED '68/'74』。松谷健(MARBLE SHEEP)主宰レーベルのCaptain Trip Recordsから1996年に発売された日本独自企画盤です。
イベントに行けなかった私のために、梅造さんがプレゼントしてくれました。ディッキー・ピーターソンのサイン入りです。
 
熱烈なSUPER JUNKY MONKEYファンの梅造さんも大きなショックを受けていたのに、サインまでもらってくれて。彼の心遣いが身に染みて泣きそうでした。
このCDジャケットを目にするたびに、当時の感情がよみがえります。
 
* * * * *
 
2009年10月12日にディッキー・ピーターソンが死去。バンド創設者を失ったBLUE CHEERは、事実上の解散を迎えています。結果的に1999年2月のツアーが、最初で最後の来日となりました。
 
 
【五辺宏明(ごべひろあき)プロフィール】
レコード&昭和プロレス愛好家。ロフトプロジェクトの加藤梅造社長との出会いは、ライブハウスのモッシュピット。
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