バンドセットでのライブが実に6年ぶりとなる
音速ライン。
藤井敬之(Vo&Gt)の現在の地元である「
郡山編」と、“実家ともいえるロフト”と称する「
新宿編」を開催した。今回は11月7日(金)、
新宿LOFTを舞台に行われた「新宿編」の様子をレポートする。

開演時間をちょっと過ぎて、手を振りながらステージへ登場する藤井。エレキギターを抱えてバンドメンバー3人とそれぞれと握手を交わし、2005年のナンバー「our song」から。“高まる僕の鼓動と 高まる君の鼓動が 重なっていくよ 繋がっていくよ”の歌詞がスタートにふさわしい。
1曲終わって“久しぶり!”と一言、藤井の声はとても明朗で、客席後方から見た限りでは6年前と姿も全く変わらない風貌。バンドでステージに立てていることを自身も楽しもう、そして実際に楽しんでいるように見え、曲が終わる度に柔らかな表情で“ありがとう”と言う藤井が微笑ましい。


リリースも6年ぶりとなったEP『
淡々粛々』に収録の「CDW123」が2曲目に鳴り始めた。ライブを前に
インタビューで藤井は“EPの流れが良すぎるからそのままやるか、新旧の曲を散りばめるか絶賛悩んでいる”と語っていたが、この曲以降はEPの曲順通り演奏を進めていく。
「モメント」は音源からもそのスピード感にライブ受けする1曲と感じ他ものの音速ファンにはどう映るのか、いざ音が鳴り始めると最初こそ客側に戸惑いも伺えたが、1人の手が上がりどんどん手が上がる、お客さんの手が連鎖して上がっていくさまに新しい音速ラインの幕開けを感じた。その瞬間を裏付けるように曲あとのMCタイムで“自分の青春は常に更新していける。今日も青春して帰っていってください”と語る藤井。のっけからMCも良い感じで進んでいると思いきや、次曲に向かうためフロアが暗転するも、ステージ上で何らかがあった模様で“ここでスマートに行かないのが音速ラインなんだよね”。確かにそうかもしれないが、音速ラインの音をライブで見て聴ける嬉しさが何よりも勝る。


こうしてEP『淡々粛々』収録順に曲が続いていったが、しっかりとライブ用のアレンジをほどこしていたのも印象的。特に「RAINY BABY LOVE」のアレンジは、原曲とはまた違うポップさ且つロックさがあってお見事。あっという間に早くもEPを締めくくる「CUCKOO!!」へ。“人間は生きていれば過去の人になる、でもそこを基準にして、またそこから青春できるから。諦めたら、終わりだからね”…もしかするとこの日のライブを通して藤井自身も自分に言い聞かせたかったのかもしれない。今になって振り返ると、音速ラインがこれからも歩んでいくための決意が随所に滲み出ていた気がする。

さて、EPでは藤井が歌う「CUCKOO!!」に続き最後の最後には
渡辺俊美がボーカルを務める「CUCKOO!! IMURA MIX feat.渡辺俊美(TOKYO NO.1 SOUL SET/THE ZOOT16)」が収録されているのだが、この日のゲストとして出演が発表されている渡辺をここで呼び込むのか…? と思いきや、“皆の体を考えて、15分ぐらい休憩を取ります”の藤井の言葉に思わず吹き出す。終わってみればこの日は15分ほどの休憩時間を挟んだ2部構成のライブだったが、具体的な記述は控えるものの“体のこと”を表す具体的なトーク内容に関しては藤井も年相応の50代であったということは記しておこう。

そしてこの休憩を通して藤井は大好きなビールを飲んだりしながらエナジーチャージしたのではなかろうか、“エモいエリア”と称した2部は幕が上がった瞬間に“一瞬で20代ぐらいに戻りますから!”と意気揚々、「街風」から「流星ライン」、「恋の魔法」と立て続ける。“俺は52(歳)だけど、諦めたくない。今日はそれを確認に来ました”と言う藤井の言葉には大きな拍手。大久保にも伝えたい言葉だったのかな……と想像して胸が熱くなる。この日、ベーシストとして大久保剛がステージにいないのを残念に思いながら観ていた方も多くおられると思うが、藤井にしても思いは同じはず。しかし“俺も活動休止するわけにはいかない、動かして待つしかない” ……事前の
インタビューで藤井はそう語っていたのだから。


“大久保が(今は)いないから、みんなで声出してもらっていい?”と伝えて「Beer can」へ、盛り上がりがますます熱を帯びていく。先だってオアシスの来日公演があったが藤井も観に行ったことに加え藤井もバンドのライブの感覚を呼び覚ましてきたのか、“全員で歌ってるのを音速でも見たいなと思って”“オアシスを越えよう!”などと言いながら何度も煽る(その姿に“藤井ギャラガー!”と声援を送ったお客さんも最高)。「上昇気流」は出だしからお客さんが声を上げ歌い続け、盛り上がりがピークに達したところで2部もラスト。最後に選んだ1曲の「週末旅行」を聴きながら、個人的には新宿LOFTというこの場所で大久保がいる音速ラインを何度観てきたのかな、と感傷に浸った。

アンコールに応えてまずは「ポラリスの涙」、タナカジュン(Dr)のコーラスのハモりも良い響き。
そしていよいよここで
渡辺俊美が登場、音速ラインTシャツをさらっとカッコ良く着用する福島の先輩の姿が粋。ずっとフロアでライブを見届けていた渡辺は“愛がいっぱいだったね”と言い、お待たせしました渡辺俊美ボーカルでの「CUCKOO!!」へ。藤井もコーラスしてステージはとても賑やかな上、フロアには福島出身や縁あるミュージシャンも多く集まっている。確かに愛がいっぱいな中で、藤井が力説していた“俊美さんの声が持つ説得力”が音源にも増して伝わった。歳を重ねることで成せることがやはりあるのかもしれない、ライブで聴いたこの1曲にはそんなメッセージもあったのかもしれない。



さらに“俊美さんと僕のデュエットです”と「生きてくことは」。渡辺の声も相まった歌詞のメッセージ、サビで聴かせた藤井とのハーモニーも最高で聴きながら涙が溢れてしまったが、見回すと自分だけではなかったことも記しておく。
さらにさらに最後は“先輩に言われたことは聞かなきゃいけない”と渡辺に諭されたそうで藤井1人がステージに。エレキギターを持ったまま“終わらないで どうか終わらないで”と弾き語った「楽しい時間」を聴き届け、
タナカジュン(Dr)、
伊村邑一朗(
睡眠船/Ba)、サポートギターのお役を果たしたマネージャー(ホセタケシ)含め、この日のステージに上がった5人全員で最後のご挨拶。肩を組み“またねー!”と笑顔でステージを降りる藤井の表情は充実し切っていた。さすがにもう6年もの月日が空くことはないだろう……と信じて。20周年を迎え、これからまた進んでいく音速ラインを追いかけていきたいと思った。

SHINJUKU LOFT 50TH ANNIVERSARY PRE-EVENT SINCE 1976|音速ライン 結成20周年 淡々粛々独演会 新宿編
2025年11月7日(金)新宿LOFT

【セットリスト】
1. our song
2. CDW123
3. 正しい人
4. モメント
─MC─
5. rainy baby love
6. 恋に落ちて
7. アンテミス
─MC─
8. cuckcoo!!
9. 街風
10. 流星ライン
11. 恋の魔法
─MC─
12. beer can
13. 逢いたい
14. 上昇気流
─MC─
15. 週末旅行

<アンコール>
1. ポラリスの涙
2. 生きてくことは with 渡辺俊美(TOKYO NO.1 SOULSET / THE ZOOT16)
3. cuckcoo!! with 渡辺俊美(TOKYO NO.1 SOULSET / THE ZOOT16)

商品情報
音速ライン『淡々粛々』
レーベル:ULTRA-VYBE, INC.
発売日:2025年10月22日(水)
品番:VBCD-0126
仕様:CD
定価:2,750円(税込)
バーコード:4526180736950
【収録曲】
1. 正しい人
2. CDW123
3. RAINY BABY LOVE
4. CUCKOO!
5. 恋におちて - GUEST Gt.富澤タク(グループ魂 / Number the.)
6. モメント
7. アンテミス
8. CUCKOO!-IMURA Remix- feat.渡辺俊美(TOKYO NO.1 SOUL SET / THE ZOOT16)
【Tr.1-6】
Vo,Gt. 藤井敬之 / Dr. タナカジュン / Ba. 伊村邑一朗(睡眠船)
【Tr.3 ゲスト】
Dr,Per. ASA-CHANG / Ba. 田中貴(サニーディ・サービス)/ Key. クジヒロコ
【Tr.5 ゲスト】
Gt. 富澤タク(グループ魂 / Number the.)
【Tr.8 ゲスト】
Vo. 渡辺俊美(TOKYO NO.1 SOUL SET / THE ZOOT16)
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