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トップレポートポール・マッカートニー&ウイングスの歴史的レコーディング・セッションを収めたライブ・ドキュメンタリー映画『ワン・ハンド・クラッピング』、萩原健太と藤本国彦による公開記念トーク・イベントのレポートが到着

ポール・マッカートニー&ウイングスの歴史的レコーディング・セッションを収めたライブ・ドキュメンタリー映画『ワン・ハンド・クラッピング』、萩原健太と藤本国彦による公開記念トーク・イベントのレポートが到着

2024.10.09

1974年、英ロンドン アビイ・ロード・スタジオでのライブ・レコーディング・セッションから50年という節目の今年9月26日、全世界同日で初スクリーン公開となったライブ・ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー&ウイングス – ワン・ハンド・クラッピング』。
10月4日からの全国拡大公開を記念し、10月6日にTOHOシネマズ 日本橋にて開催された音楽評論家の萩原健太とビートルズ研究家の藤本国彦によるトークイベントのオフィシャル・レポートが到着。
 

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© 2024 MPL Productions Ltd.

10月4日(金)からスタートした全国拡大公開は各館、最短1週間限定上映となるため、ぜひお早めに劇場へ。

萩原健太×藤本国彦 トーク・イベント・レポート|2024年10月6日@TOHOシネマズ 日本橋

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1974年8月、ポール・マッカートニー&ウイングスのアルバム『バンド・オン・ザ・ラン』(1973年)がUKチャート1位を独走する中、アビイ・ロード・スタジオで撮影されながらも50年の間お蔵入りし、“史上最もブートレグが出回った作品の一つ”(Paul McCartney official)と言われていた本作。
 
初の劇場公開に、「感慨深いですねぇ。こんな大きなスクリーンでこの映像を見る日が来るとは!」(萩原)、「ほんとですね。映画で観られることが奇跡的ですね」(藤本)と客席に向かって語った二人。同じ思いを抱いていたファンの方々からの共感が広がる中、トークイベントはスタートした。
 

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冒頭、2010年『バンド・オン・ザ・ラン』デラックス・エディション発売時に、ポール・マッカートニーに直接電話インタビューをしたという萩原の話に会場は興味津々に。
ウイングスはどんなバンド? との質問に「ウイングスの良さはリンダにある」と話していたというポール。「リンダのコーラスが聞こえるとウイングス、という感じがしますよね」と萩原が話すと「そうですね。やっぱり大きいですよね」と藤本も共感。「後は、あまり上手くないシンセね。決してけなしているわけではなくて、今のバンドのウィックス(Paul “Wix” Wickens:長年ポールのツアーに帯同キーボーディスト)だったら、左手で難なくこなしてしまうようなフレーズを、一生懸命弾いているあの感じ、仲間が集まって、アマチュアっぽいところもあるんだけれど、このメンバーじゃないと出せない音を出すところに、バンドのウイングスの魅力がありますよね。それをとても愛おしく感じます」と萩原。
そのインタビューで同じく語られていたというポールのバンド愛に関連して、“作品の中でも楽しいと話していたものの、自分のほうが何でも上手くできて、決してバンド向きではないと思われるポール”が、「それでもバンドをやりたいという情熱を持っていた時のいいドキュメンタリー」(萩原)との話もあった。
 

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© 1974 MPL Communications Ltd / Photographer: David Litchfield

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© 1974 MPL Communications Ltd / Photographer: David Litchfield

途中、白隠慧鶴(はくいんえかく)の禅問答というタイトル“ワン・ハンド・クラッピング”に関連して、「1971年にジョンとヨーコが来日した際、白隠の禅画を購入していて、『イマジン』にも影響を与えているのでは」(藤本)というレアなエピソードが語られたり、作品に挿入されるインタビューに関して、「ロックンロール以前の音楽性に対する思いが本人の口から語られるのは興味深かった」(萩原)、「作品の冒頭に登場する今のポールや、『1985』をハンド・マイクでシャウトする姿も含めて、素顔のポールが観られるのがいい」(藤本)など、「色々と発見がある作品」(萩原)、との話も。
 

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終盤、エディ・コクランなどの曲をギターで弾き語るバックヤード・セッションの最後に“古い曲ばっかりだな”、とポールが呟く場面に関して、「今やポール自身の曲が古い曲になっているわけですが(笑)。でも、今この映像を見返して改めて思い知るのは、若い頃つい気にしがちな“最先端じゃないといけない”とか“時代の空気感がないとダメだ”とか、そういう価値観がいかに曖昧なものかということ。歳をとっても全然衰えず現役感たっぷりの作品を作り続けてくれるポールのようなアーティストはそんなことをごく自然体で教えてくれますよね」と話した萩原。
続いて「ポールは変わらないですしね。作品を作り続けますし、ライブもやり続けますし、生涯現役なのが、本当にすごいです」と藤本が話すと、「それをやりたくてもできない、ジョン・レノンという存在がいるからこそ、自分はやり続けるんだ、と思っていることもあるのかな、という気もしなくはないですね」と、萩原が話を継ぎ、藤本と会場からも深い頷きがあった。他にも、本作はもちろんビートルズ、ポール、ウイングスはじめ、音楽シーンに精通する専門家として、また作品を愛するファンとしての視点から、時に笑いも誘いながら様々な話が語られ、大きな拍手を持ってトークショーは終了となった。
 

商品情報

ポール・マッカートニー&ウイングス - ワン・ハンド・クラッピング

上映時間:約67分
監督:デヴィッド・リッチフィールド
音楽:ポール・マッカートニー、デニー・レイン
出演:ポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー、デニー・レイン、ジミー・マカロック、ジェフ・ブリトン、ハウイー・ケイシー
制作年:1974年  制作国:イギリス
© 2024 MPL Productions Ltd
10月4日(金)より全国拡大公開
鑑賞料金:一律2,500円(劇場によっては、ドルビーアトモス料金が追加となる劇場もございます)

<『ポール・マッカートニー&ウイングス − ワン・ハンド・クラッピング』セットリスト>
─One Hand Clapping─
One Hand Clapping
Jet
Soily
C Moon
Little Woman Love
Maybe I'm Amazed
My Love
Bluebird
Suicide
Let's Love
All of You
I'll Give You A Ring
Band on the Run
Live and Let Die
Nineteen Hundred and Eighty Five
Baby Face
─The Backyard─
Blackpool
Twenty Flight Rock
Peggy Sue
I'm Gonna Love You Too
Sweet Little Sixteen

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