『LOFT RECOMMEND』等にも出演し、新宿LOFTでのライブも増えている6人組バンド・BESPER。9月22日（日）には『BESPER presents DJ＆LIVE vol.4』と題して、自らの企画を新宿LOFTで開催する。
一度ライブを見ると、そのスタイリッシュなバンドサウンドが気になって彼らのことを検索してしまうだろう（何よりわたしがその一人だ）。間もなく開催される自主企画について語ってもらうのもさることながら、バンドの結成からBESPERというバンドは一体どんなバンド？ というプロフィール的な部分まで。バンドマスターを務めるギター・ARARIKUと、キーボード・HATの両氏に語ってもらった。これからBESPERが鳴らす音は確実にチェックしてしまう自分がいるし、目前に迫った自主企画はこれまで新宿LOFTという場所で感じたことがないような、オシャレな音で彩られる日になりそうな予感。音楽好きの方や早耳の方、これは間違いなくチェックしておいたほうが良いイベントですよ！（Interview：高橋ちえ）
新宿LOFTのステージに立つたび身が引き締まる思いがしている
──まずはBESPERというバンドについて、伺っていきましょう。
ARARIKU：2020年に結成して、音楽的にはAORやシティポップ、アシッドジャズやR&Bから影響を受けた音楽がルーツになっていまして。ポップスもジャジーな曲も幅広くやっていて、サックスが入っているのが特徴的なところだと思っています。2022年末にもともとのメンバーが脱退しまして、2023年にキーボードのHAT含め、サックスはHINATA、ドラムはTAPPEIと新しいメンバーになって、新体制でスタートしました。キーボードにしてもサックスにしても自分の楽曲作り・BESPERの楽曲には必要なもので、自分たちの音楽に流れるすごく大事なパートだと思っているので、このパートは必ず見つけようと思ってメンバーを探しました。
──サックスやキーボードがいるスタイルでバンドをやる、という源流はどこにあるのでしょう？
ARARIKU：80年代の音楽とかシティポップ、AORをずっと聴いていたのと、Original Loveが大好きだったこと、自分がよく聴くバンドサウンドにサックスが入っていることですね。自分が作曲をしているんですけど、サックスがいるということは他のバンドとの差別化にもつながるポイントになるんじゃないか、サックスは必要と思って、バンドを組みましたね。
──ライブを拝見して、存在自体がスタイリッシュで既に差別化ができているように見受けられるほどでしたよ。HATさんのいでたちも、とてもオシャレで。
HAT：服が趣味で、自分で言うのも何ですけど日頃からヘンな服を着てますね（笑）。
ARARIKU：ヘンではなくて、クセが強い、かな（笑）。
──今日も素敵な服装で、撮影がないのが残念です。そんなHATさんがBESPERに加入されたというのは？
HAT：ベースのSERENくんと同じ専門学校で同期みたいな感じで、彼のことをもともと知ってまして。「Sweet Night」（2020）のMVを拝見して、すごくスタイリッシュでカッコ良いな、って側から見てたんですね。バンドに誘われるなんて思ってもなくて嬉しかったですし、もともとKan SanoさんとかWONKとかが好きだったんですけど、バンドに入って音を合わせてやってみて、その原点からちゃんと深掘りできて、刺激的ですね。
──ライブで拝見するスキルも高めと思いましたし、音楽性含めて、皆さんが20代前半〜半ばと聞いて驚きました。
ARARIKU：僕がAORだったり、そういう音楽を好きになったのはSuchmosの影響で。二十歳になってからはずっとレコードバーに通い詰めて、ルーツになるような音楽を深掘りして、どんどん好きになっていきまして。音楽的なところはそれがすごく影響してるなと思ってます。
──ハタチぐらいなら他にもいろんな行きたい誘惑があろうはずですが、レコードバーに通ったというのは？
ARARIKU：大人な感じをちょっと学びたいっていう気持ちもあったんですけど（笑）。僕は『007』がすごく好きで、BESPERの由来にもなっているんですけど（補足：ARARIKUが『007』で一番好きなボンドガールが“Vesper”）、夜はバーに行くとか、ああいう感じの世界観にすごく憧れて、一人で通い始めて。音楽も知りたいし、あとお酒も知りたくて、ちょっと背伸びした感じですね。自分の中では普通に生きてきたつもりなんですけど（笑）。
──Suchmosのお名前も出たところで。今年、新宿LOFTで4年ぶりにライブを行なった（SuchmosのYONCEがヴォーカルを務める）OLD JOEのライブにBesperのメンバー皆さんで観に行かれたそうですね。
ARARIKU：はい！ 新宿LOFTのおかげで、河西（洋介／YONCE）さんにもちょっとだけお話をさせていただきまして。刺激的な夜になりました。
HAT：もう本当に、最初っから最後まで刺激がありまくりで、握手をした時の手汗もヤバくて（笑）。
ARARIKU：お客さんでパンパンな新宿LOFTを見たのも初めてで、“こんなふうになるんだ、自分たちもこれぐらいお客さんで埋めたいな”っていうモチベーションにも繋がりましたし、自分の青春時代から憧れていたミュージシャンが目の前で演奏していて、同じ空間にいるっていうことが夢のまた夢のようで。自分が憧れの人に会えたのも嬉しいですし、自分もそういうふうに思われるようなミュージシャンにもなりたいな、って。メンバー全員が共通で感じて、モチベーションに繋げられた日だったなと思います。
──音楽を続けていればこの先、同じステージ上がることだってひょっとしてあるかもしれない！
ARARIKU：本当にそうですね。おっしゃる通りです！
──では、BESPERが新宿LOFTで初めてライブをしたのは？
ARARIKU：2022年だと思います。そもそもBESPERを結成したのが2020年の1月ぐらいで、バンドを組んで1～2カ月でコロナになったんですよ。それからコロナでずっと、ライブができてなくて。
▲BESPERが新宿LOFTに初出演した『LOFT RECOMMEND 2022』（2022年3月23日開催）
──なるほど、まさにそんなタイミングでしたか…。
ARARIKU：SERENと僕が高校の時からの知り合いで、“いつか一緒に（バンド等を）やってみたいね”みたいな話はしていて。“今やってみるか”ってふわっとした気持ちでメンバーを集めて、始めてみた感じで（コロナ禍に突入した）。それで、“ライブとかできないけど、どうする？”って、とりあえず音源でも作ろうって。それこそ自分は、音楽をやる側になるっていうのは考えてなかったんですよね。BESPERを始めて、皆で音を作ったり自分が作曲したりするのも楽しいし本格的にやろうと思い始めたので最初は大変でしたし、初めてライブができたのもバンドを組んで1年半ぐらい経ってからで、踏み始めが大変だったのはあります。
──改めて、新宿LOFTというライブハウスをどんなふうに感じてます？
ARARIKU：僕の知ってるライブハウスは（空間が）真四角ですし、“何、この形？”って思いました（笑）。それにすんごいアメリカンな雰囲気だし、老舗っていうことは知っていたのでミュージシャンたちが脈々とこの場所にいたであろう空気感がすごくて。
HAT：オーラがありますよね。
ARARIKU：そう！ オーラがすごいなって思いました！
HAT：ライブのステージも長年、歴史が積み重なってるからこその傷があったり。そんな舞台に立ってるんだなとすごく身が引き締まるし、もっと頑張らなくちゃなと思いながら。いつも本気でやってますね。
ARARIKU：楽屋に出演したバンドのステージパスが貼ってあるんですけど、知ってるミュージシャンばっかりで。同じ場所にいたんだ！ って。
HAT：そう、すごいっすよね！ パスがこんなに貼られている楽屋に入るっていうこと自体も自分は初めてで。“おぉ！”ってなりますよね、あれは（笑）。
ARARIKU：ワクワクする、高揚感も得られるっていう。何回もLOFTには出させてもらっているんですけど、ステージに立つたびに、あの楽屋に入るたびに、身が引き締まる。いいなぁと思えるライブハウスで、大好きです。
HAT：本当にそう。おっしゃる通りです。
