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トップレポート【新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念レポート】新宿LOFTで雌伏の時を過ごしたヒグチアイと竹原ピストルが凱旋ライブで披露した、つま先を明日に伸ばす希望の歌

【新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念レポート】新宿LOFTで雌伏の時を過ごしたヒグチアイと竹原ピストルが凱旋ライブで披露した、つま先を明日に伸ばす希望の歌

2024.09.27

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 夜7時30分、ステージに前に掛かっているスクリーンがオンタイムで上がるや盛大な拍手に包まれながら登場したのはヒグチアイ。ステージ真ん中の鍵盤を前に座ると、ほのかなスポットライトの灯りがヒグチを照らす。時に天を仰ぎ見ながら弾き始めたイントロは「劇場」、サビに差し掛かると後ろの照明も一気にまばゆい光りを放つ。
 

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 “皆さんこんばんは、ヒグチアイと申します。今日のツーマンライブをメチャクチャ楽しみにしてきました、よろしくお願いします”の挨拶、湧き上がる拍手をそのまま手拍子へと誘い「縁」へ。フロアの一番後ろにいても鍵盤を弾き歌う姿がよく見えたし、“スタッフの皆さんが作ってくれて、今日は台に乗ってるの!”とのことで、ヒグチからも後ろのお客さんまでよく見えると微笑む。
 

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 久しぶりという新宿LOFTでのライブ、“よく路上ライブをやっては警察に怒られ、心折れて帰ったのを思い出しながら”、この日は新宿駅東口から歩いてやって来たと語る。当時の新宿での思い出話はクスッとさせつつ、“夢を追うことに酔えていた時間がたくさんあったし、その時間が幸せだった。そんな新宿、懐かしい気持ちになるし、新宿LOFTに出られることは憧れでした。今回、移転25周年で呼んでもらえて嬉しいです”…若かりし頃、夢を追っていたあの時の自分。場所も境遇も夢もそれぞれでも、そんな若かりし頃に会場にいる皆それぞれが思いを馳せた時間。
 

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 そこからステージは暗く一転、鍵盤の重低音を響かせ「誰」「悪魔の子」と続けざまに聴かせる。明から暗の一瞬の移り変わりはまさに人生でも起こうるような恐ろしさを抱くと同時に、鍵盤だけでたった一人で音に向き合いこんな転換を表現できるヒグチアイの凄まじさを見せつけられる。個人的にはまさにここ新宿LOFTで初めて彼女を見た時、“女性としての共感性”を感じ心を動かされたことを今も記憶しているほどなのだが、ステージ上で恐ろしいほどの凄まじさをも魅せつけられる表現者となっていた。しかしながら、「わたしはわたしのためのわたしでありたい」といった曲でやはり変わらず、この日も涙を流してしまうほどの共感性もちゃんと存在した。
 

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 竹原ピストルと会うのは千葉で共演した2017年以来とのこと。“自分がちゃんと生きているのだろうか、自分の物差しが正しいのかと、ピストルさんのライブを見て確認する”といったことを話し、“そしてもう一人のそんな存在が、おばあちゃん”と話す姿にほっこり。
 終盤、4年前にこの場所で初めて演奏したという「mmm」では、お客さんも一緒に“ラララ”とハミングを歌う光景をしっかりと見つめながら、時に弾いている手を高々と上げ“最高!”と笑顔。“最後に、新しい曲を”と紹介してからラストに「わたしの代わり」。“今日は昨日より つま先を明日に”の歌詞がコツンと小さく胸を打った。歌い終わって大きく一礼、“ヒグチー!”の力強い声を背にステージを去る。ヒグチアイのライブが終わった時点でもう、明日もまた歩けるぞと思った夜になった。
 

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 が、この日はまだ続くのである。ヒグチアイがステージを降りて一旦下がったスクリーンが再び上がるや、フロアからは“竹原さーん!”の野太い声が。“とても久しぶりにヒグチアイさんと共演させてもらって嬉しい気持ちと、新宿LOFTにお祝いの気持ちを込めて。時間の許す限りゆっくりお楽しみください。竹原ピストルと言います”の挨拶から、間髪入れず「おーい! おーい!」。続けて「LIVE IN 和歌山」で、盛り上がりはもはや最高潮に。たくさん上がる拳と、“竹原!”の掛け声も湧く、湧く!「よー、そこの若いの」はサビで皆が大合唱。“元気な手拍子、歌声、ありがとうございました!”ニコリ語る竹原。チューニングで少しばかり静かになる時間も“どんどんやれー!”の声が上がる。
 

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 見た感じ明らかに仕事終わりという姿も多いが、いわゆるライブキッズと見受けられる方もいる。年齢層も幅広い客層に、車椅子や白杖を持つ方も。そんなフロアに響き渡った「Amazing Grace」。新宿LOFTで、今まで感じたことがないような荘厳な空気につつまれた。竹原曰く“切実な心の中からのお祈りの歌”は、あの場にいた全てを包み込む。わたしがこれまで新宿LOFTで感じたことのない雰囲気だった。「逃がしてあげよう」と続き、“月が綺麗”の歌詞をそのままステージで表現しているかのように青と黄色の照明を受けながら響く竹原の歌声が尊い。
 

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 怒涛の如く曲が続き、気づけばおそらく持ち時間の半分以上を優に超えてから“今日はここ数年で一番ペース配分を間違えてる”と笑顔。“(ソロになる前に)野狐禅でメジャーデビュー前から、お世話になっているライブハウス。東京に出てきたばっかりで、LOFTによく出させてもらっていた”と語り始める。が、先輩ミュージシャンに絡まれたり、おっちゃんにタバコ1箱まるまる持って行かれたり、新宿LOFTでのライブ後はいい思い出がない”と笑わせ、“けど、これからコツコツ良い思い出を作っていきたいと思います”。先輩ミュージシャンとのエピソードは具体的に話してくれ、結果として素敵な良い思い出というオチの話だったが、あの場にいた方との共有とさせてもらおう。
 

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 すっかり時間の感覚が分からなくなってしまっていたライブ、ラストナンバーは「ぐるぐる」。万雷の拍手に、ヒグチアイへの拍手も仰いでさっとステージを去ると、新宿LOFT歌舞伎町移転25周年のロゴで象られた大きなバックドロップがステージの後ろで輝いていた。止まない拍手に応えて再び登場、アンコールで1曲「ドサ回り数え歌」。“一見さんから常連さんまで元気でね”の歌詞は、まさに我々への最後のメッセージ。
 

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 静かにスクリーンが下がってフロアが明るくなると“最高!”“いいぞ、ピストル!”等々、一人一人の、思い思いの声が埋め尽くす。出口に向かうお客さんの流れについて歩いていたら前を歩く女性が笑顔で“元気、出ちゃった”と言っている。わたしも全く同じ気持ちで、アディダスのスニーカーを履いている足が、だいぶ高く上がりながらの帰り道だった。

_93A4540.jpg【Text:高橋ちえ(@djchie)/ Photo:丸山恵理(@maaarucom)|LOFT PROJECT / 2024年9月5日(木)新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念『吾唯足知 〜われただたるをしる〜 vol.2』】

Live Info.

ヒグチアイ

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HIGUCHIAI ALL TIME BEST LIVE “元気じゃなくてもまた会いましょう”
【日時】2024年12月14日(土)開場17:00 / 開演18:00
【チケット】前売¥6,800(税込)
*U-22 当日¥1,000キャッシュバック有
問い合わせ:SOGO TOKYO
▼チケット一般発売中

竹原ピストル

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竹原ピストル “弾き語りツアー2024”
【チケット】前売¥5,000(税込、整理番号付き、ドリンク別)
詳細はこちら
※公演により、全席指定公演があります。
※小学生以上はチケットが必要になります。未就学児のご入場は、同行の保護者の方の座席の範囲内で、周りのお客様のご迷惑にならないようにご覧ください。
▼オフィシャル先行受付(抽選)
9月11日(水)18:00~9月29日(日)23:59

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