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トップレポート人間椅子、全公演SOLD OUTさせた秋の全国TOUR! レア曲も多数披露し大熱狂を巻き起こしたTOUR FINAL@EX THEATER ROPPONGIで幕を閉じる!

人間椅子、全公演SOLD OUTさせた秋の全国TOUR! レア曲も多数披露し大熱狂を巻き起こしたTOUR FINAL@EX THEATER ROPPONGIで幕を閉じる!

2022.09.21

人間椅子が『人間椅子2022秋のワンマンツアー 〜闇に蠢く〜』と題し、9月4日の地元・青森Quaterを皮切りに全国7カ所に及ぶツアーを実施。そのツアー・ファイナルはコロナ禍によるガイドランに沿う形で、東京EX THEATER ROPPONGIにて開催された。
本ツアーは全公演ソールド・アウトとなり、今日も老若男女の幅広い客層が集い、開演前のロビーでは人間椅子Tシャツを着込んだファンが久々の再会を喜ぶように、マスク着用で談笑する姿があちこちで見受けられた。
 

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開演時刻18時ジャスト、恒例のSE「新青年まえがき」が流れると、和嶋慎治(G/Vo)、ナカジマノブ(Dr/Vo)、鈴木研一(B/Vo)の順番にメンバー3人が登場するや、観客は椅子から立ち上がり、ステージに惜しみない拍手を送る。
オープニングは1990年に発表されたメジャー1stアルバム『人間失格』の冒頭曲「鉄格子黙示録」で幕を開けた。イントロはテープの逆回転と戦争を告げるラジオ放送を入れ、「同じ主題を繰り返さない、分裂気味の曲だった」(*和嶋初の自伝本『屈折くん』から引用)と解説にあるように、人間椅子らしい暗黒のインスト・ナンバーでご挨拶。すかさず「侵略者」に繋ぐと、ジューダス・プリーストの「Invader」に通じる重厚なリフと軽快なノリに体は揺さぶられた。また、和嶋は電子楽器テルミンを操り、スペーシーな音像で楽曲を色付けていく。
 
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「今日は大変お足元の悪い中、集まっていただき、ありがとうございます! 和嶋くんが17歳のときに宇宙船に連れられた後に作った曲(「鉄格子黙示録」)。組曲のようでいいですね」と頭2曲の流れに鈴木はご満悦の様子。「日頃からの感謝の気持ちを込めて、レアな曲をてんこ盛りにしてある。なぜレア曲になったのか、演奏が難しかったり、盛り上がりに欠ける曲、それがレアになる」と和嶋が律儀に解説すると、場内からは笑いが漏れていた。次もレア曲と言っていいだろう、哲学者ロラン・バルトの著作を曲名に冠した「表徴の帝国」へと突入。変拍子を用いた楽曲に観客は食らいつくようにノッており、その“レアぶり”を心底楽しんでいる様子だった。
 

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そして、寂しげなベースが響くと、「狂気山脈」を披露。緑の照明が楽曲の妖しさを増幅させ、和嶋によるテルミンも再び活躍。緩急に富む物語性のある曲調で、和嶋&鈴木のツイン・ヴォーカルでハモる場面も迫力十分であった。切れ味鋭いナカジマのドラミングに引き込まれる「時間からの影」をやり終えた後、「知らない曲は座ってもらって構わない」と、鈴木が観客を気遣う場面もあった。それから「地方の祭りには特色がある」と和嶋が切り出し、必然的にメンバーが大好きな地元・青森の「ねぷたまつり」のトークをたっぷり。その流れで弘前の「菊人形まつり」に着想を得た「菊人形の呪い」をプレイ。ヘヴィなリフとグルーヴで場を盛り上げると、昨年出た最新22thアルバム『苦楽』から「宇宙海賊」を放つ。冒頭の2曲同様に、スペーシーな色合いを深めたヘヴィな曲調はライヴでも一段と映え、会場の熱気を高めていった。
 

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ここで鈴木がアメリカの怪奇小説家H.P.ラブクラフトの小説を読んでいる話を挟み、「狂気山脈」、「時間からの影」と今日披露したラブクラフト・インスパイアの楽曲に触れつつ、くどくてなかなか本題に入られない「あの文体を想像して、歌って弾いている」と和嶋が言うと、難曲「ダンウィッチの怪」を投下。じりじりと曲が進行し、後半は鈴木の高笑いを含めてドラマチックに展開する流れは鳥肌モノであった。
 
引き続きヘヴィな「黒い太陽」をプレイした後、和嶋と鈴木に並んで、ナカジマが明日で56歳の誕生日(9月20日)を迎えることにも言及。加えて、「14歳の頃、鈴木くんがKISSのレコードを貸してくれた。レコードを介して友達になれた」と和嶋が思い出を語り、人間椅子のオリジナルアルバム5タイトル(『人間失格』、『桜の森の満開の下』、『黄金の夜明け』、『羅生門』、『二十世紀葬送曲』)が初めてアナログ盤として12月3日に発売されることを告知。これまで出ていなかったのが不思議なくらいだが、ファン垂涎の祝・レコード化に会場も沸いていた。
 
ライヴも後半に差し掛かると、「シャバダバディア〜♪」でお馴染みの、海外で大いにバズった「無情のスキャット」が炸裂。哀切なギターと銅鑼を連打する印象深いイントロから重戦車のごとく迫るヘヴィネスっぷりに無数の拳が突き上がり、ヘドバンに励む人たちが増えていった。しかも、一枚岩となったメンバー3人の演奏はアウトロまで緊張感が途切れることはない。
 

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「明日、僕は56歳で、それ以前からずっと赤いふんどしです!」とナカジマによるMCタイムが訪れ、兄貴自らリード・ヴォーカルを務めた「蜘蛛の糸」に入る。男臭くも荒々しい兄貴のシャウトにテンションは上がる一方、後半の鬼気迫るドラムにも圧倒されるばかりだった。本編は「地獄の料理人」、「天国に結ぶ恋」、バッジーの日本語詞カヴァー「針の山」で盛大なるフィニッシュを決めた。
 

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「あっという間にアンコールで、あと1時間くらいやりたいところ」と、疲労の色を微塵も見せない和嶋。アンコール一発目はまたもやラブクラフト・インスパイアの「宇宙からの色」を披露。勇壮なメロディで観客を焚きつけた後、三三七拍子のリズムをリフに用いた「地獄風景」では1、2階のフロアまでジャンプする景色が広がっていった。ここで一旦ステージを去り、Wアンコールに応えると、ナカジマの誕生日を祝うべく、スタッフが56の数字型風船とケーキを本人に手渡し、和嶋が「Happy Birthday To You」を歌う。それが終わると、ナカジマはロウソクの火(*消防法の関係でロウソクの火は付いていない)を消す仕草をして、大勢の観客から祝福されていた。そして、最後は超絶ヘヴィな「どっとはらい」を解き放ち、ファイナル公演は約2時間20分に渡る熱演で大団円を結んだ。
 

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そう言えば、和嶋はライヴ序盤に「人間椅子検定クイズ」と口にしていた。まさに定番曲に止まらず、変化球や隠し球的な楽曲を容赦なく織り込むことで、新たな表情やダイナミクスを獲得した見事なショウ構成となっていた。頑固一徹ハードロックにこだわり続けながら、これほど豊潤で奥深いヘヴィネスを体現しているバンドは他にいないだろう。改めて、人間椅子の不気味な吸引力に骨抜きにされた一夜であった。(PHOTO:ほりたよしか / TEXT:荒金良介)

TOUR FINAL公演セットリスト

SE. 新青年まえがき
01. 鉄格子黙示録
02. 侵略者
03. 表徴の帝国
04. 狂気山脈
05. 時間からの影
06. 菊人形の呪い
07. 宇宙海賊
08. ダンウィッチの怪
09. 黒い太陽
10. 無情のスキャット
11. 蜘蛛の糸
12. 地獄の料理人
13. 天国に結ぶ恋
14. 針の山
EN1-01. 宇宙からの色
EN1-02. 地獄風景
EN2-01. どっとはらい

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