トップレポートBroken By The Scream 主催FES『FEST OF EXTREME 2022 SUMMER』大成功! 出演全バンドがフロアを揺らした熱狂のライブレポ!
Broken By The Scream 主催FES『FEST OF EXTREME 2022 SUMMER』大成功! 出演全バンドがフロアを揺らした熱狂のライブレポ!
2022.09.12
曇天が続いた東京の空が秋晴れとなった9月10日、4人組アイドル・グループ[Broken By The Scream](通称:BBTS)が主催するライブ・フェス《FEST OF EXTREME 2022 SUMMER》が、赤羽ReNY alphaにて開催された。イベント・タイトルに“エクストリーム”という文字が入っていることからもわかるように、本フェスはエクストリームなラウド・サウンドを鳴らすメタル〜ラウド系バンドが顔を揃えたが、“なぜアイドル主催のイベントでメタル・バンドが?”と言えば、彼女たちこそ“エクストリーム・ラウド・サウンドで歌い踊る、無二のアイドル・グループ”だからにほかならない。そのため、そういった面子における違和感はまったくないのである!
そもそも本イベントは、7月20日に通算3枚目となるフル・アルバム『RISE into CHAOS』をリリースした彼女たちが、満を持して行なう……はずだったのだが中止に。日を改めかつ登場バンドをさらにパワーアップさせ、今回の再開催となった。そんな経緯があるから、会場となった赤羽ReNY alphaには開演前からいつも以上の熱気がこもっていた。そしてまだ陽の高い15:30、強烈な音を詰め込んだフェスがスタートする。
そんな屈強な体から強烈なデス・ヴォイスを吐き出すKiyo Nishihara率いる[WORLD END MAN]が、兀突骨の作ったデス・メタルの空気をさらに加速させる。ズンと腹にくるドロップA#のリフはかなり重々しく、個々のアピールよりも全員野球の一体感が大きいグルーヴを生み出すブルータル・サウンドだ。対バン・イベントにつきさまざまな客層が入り混じっているため、最初のうちはそのプレッシャーに圧倒されているオーディエンスも少なからず見受けられたが、超速チューンが徐々に全体を巻き込んでいく。ラストはセット中最も速かった「KING DISSECTION」にてデス・メタルの暴虐さを見せつけたのだった。
4番手となる[おはようございます]は、4人組のラウドロック・バンド。前のWORLD END MANとは対象的に文化系の香りも感じられるグループだが、やはりサウンドはグルーヴィなコア系で、同期サウンドと合わせてカオティックな音像を繰り出していく。曲調の幅も広いため、例えば初見であったBBTSのファンたちもすぐに一緒に楽しめたのではないだろうか。混沌感がありつつダンサブルな「極普通」では、フロア全体が上下に揺れ動いていた。彼らまではいい意味でアンダーグラウンドな雰囲気だったフェスだが、ここからはポピュラリティが高まっていく。
その口火となった[MAKE MY DAY]は、Isamの掌握術をもってフロアをひとつにしていく。電子音を大胆に取り入れるなどモダンなメタルコア・スタイルのなかで、キャッチーなパートもしっかりと演出し、フロアをどんどんとアゲていくのだ。途中「Wake Up」では、本日の主役であるBBTSより、デス・パートの担当である野月平イオと雲林院カグラがゲスト出演! イオの地を這うグロウルが、これまでの男性ヴォーカルにまったく引けを取らないということがハッキリわかった瞬間でもあった。またカグラのザラリとしたスクリームのほかにない鋭さも、多くのオーディエンスに伝わったのではないだろうか。
フェスもいよいよ終盤戦、登壇バンドもメジャー感が増す。[NOCTURNAL BLOODLUST]の登場だ! 1曲目「Punch me if you can」からして、音が非常に明瞭である。チューニングはやはり他のバンドと同様低いのだが、(多弦ということもあるが)ギターのフレーズもよく見える。ツイン・ギターでハイ・フレットを奏でる「Red Soil」もキレイに紡がれていく。グロウル/クリーンと使い分ける尋の歌唱もその行き来がとてもシームレスで、パフォーマンスの華やかさと相まって、本フェスに集った幅広い層の音楽ファンによりアピールできているなと感じられた。そんな彼と“一対一(×2)”で渡り合ったのが、やはりイオとカグラ。荘厳なSEから導かれた「Cremation」では尋の向こうを張り、顔を突き合わせてヴォーカル・バトルを繰り広げた。もちろんふたりも負ける気はなし、短いセクションだったが、3ヴォーカルのクールなシーンが展開されたのだった。
SEとともに彼女たちを支える “ゾンビ・バンド”が入場し、続いてメンバーがひとりずつステージに姿を現わす。流鏑馬アヤメ、野月平イオ、雲林院カグラ、七々扇ツバキの4人が壇上で一列に揃うと、会場からは歓声の替わりとなる大きな拍手が起こる。そしてデス・ヴォイスの絶叫とともに「ココロ、晴レ晴レ」でショウがスタート! 最新アルバム『RISE into CHAOS』からの1曲だが、もちろんファンはすでにしっかりと体に入っており、最初からトップ・ギアでの盛り上がりだ。この日のメンバーは全員がイベントTシャツ姿とBBTSとしては珍しいステージ衣装だったが、それでも左右ギリギリまで大きく使ったパフォーマンスはきらびやかで、かつエクストリーム・アイドルたるバンド・サウンドとグロウルとのマッチングもバッチリ。共演者のファンで彼女たちを初めて観るという人は、むしろその出音に大いに驚いたことだろう。続く「I tai no...」も最新作から。アヤメ&ツバキのクリーン・チームによる語りパートの映えがあり、中間のリズム・チェンジにてヘヴィさを浮き立たせるという、BBTSの個性が凝縮した一曲とも言えるだろう。当然ながらファンは手拍子と振り合わせで彼女たちをあと押ししていく。
メイン・アクトとはいえ持ち時間はほかのグループと同様で披露したのは6曲と、決して自分たちを特別扱いしていないところに、仲間で集まったイベント、全出演者&ファンのためのフェス……という主旨があっただろう《FEST OF EXTREME 2022 SUMMER》。MCでアヤメは“もっと大きいところで! 2days!?”と、当フェスの今後の展望も語っていた。同日の全貌を見るにそれは大いに期待できるところではあるし、規模が大きくなれば、メタルだけに留まらず、さまざまなタイプのバンド/グループが登場することになるかもしれない。終演後、偶然会場で話を聞いたメタル側と思われる来場者は、“あんな声を聴いたら応援しないわけにはいかない”と熱っぽく語ってくれたが、アイドル・ファン/コア系バンド・ファン問わず楽しめたフェスであったことは間違いない。第二回大会、そして何よりBroken By The Screamの今後の躍進に期待だ![テキスト:岡見高秀(メタルハマー・ジャパン編集部)/ 写真:桝田涼太]
FEST OF EXTREME 2022 SUMMER / Broken By The Screamセットリスト