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【ライブレポート】「LIVE@マキタスポーツ」Special Guestに"歌怪獣"島津亜矢が登場!

2016.11.04

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日時:2016年10月30日(日)17:00開場/18:00開演
場所:東京・青山CAY
集客:160人(完売)
出演:マキタスポーツ(ギター)、ジミー岩崎(ピアノ)
スペシャル・ゲスト:島津亜矢
 
マキタスポーツが3ヶ月に一度のペースで開催している「LIVE@マキタスポーツ」。多彩なゲストとマキタの面白トーク&ライヴが話題をよび、毎回完売のプラチナチケットと化しているこのライヴ。これまで、吉田山田、石崎ひゅーい、奇妙礼太郎、尾崎世界観(クリープハイプ)、YOU、ディーンフジオカ、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)、藤巻亮太、Creepy Nuts(R-指定&DJ 松永)など、豪華すぎるジャンル横断のゲストを迎えてきたが、今回はマキタが年初から「とんでもない歌怪獣」と絶賛してやまない演歌歌手、島津亜矢がゲストに登場。
 
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キャパ160人の空間を圧倒的な歌声で満たした島津のパフォーマンスが光ったライヴステージの模様をレポートする。
 
客席には、マキタファンに加えて、黄色い島津法被を着た島津亜矢ファンの姿も見える中、冒頭、恒例となりつつある、マキタの弟子セクシーJによる前説がスタート。拍手の練習で場をあたためつつ、伴奏をつとめるジミー岩崎のジャジーなピアノと客席の手拍子をバックに、マキタスポーツが登場。
 
大澤誉志幸の1984年のヒット曲で、ハナレグミや福山雅治、佐藤竹善など多くのアーティストにカバーされている「そして僕は途方に暮れる」のカバーでライヴがスタートした。アコースティックギターとマキタのスモーキーな歌声がひときわ映えるこの選曲で客席の集中力が一気に増す。
 
今回のLIVE@のテーマは「カバーについて」。戦後のポップス界におけるカバーの歴史をひもときながら、カバーと一口に言っても、さまざまなスタイルがあることを語る。そんなマキタは、カバーをやるときに「そのまま歌わない、解釈を加える」スタイルを採用。ビートルズの「Come Together」をやおら歌い始めたマキタは、英語詞の語感を活かした独自の日本語詞を乗せて歌唱。Come Togetherの原詞自体が「ラリッている」内容だが、マキタはそれを、語感を活かした「三日もフラッとして 比べない 処理一回・・・」など、不倫の内容に換骨奪胎。きいていると、まるで英語の歌詞のようにきこえるが、実は日本語という高度な解釈カバースタイルを披露した。エリック・クラプトン の誰しも耳にしたことのある「Change the World」も、「一般じゃ リッチなスター ぷー太郎 五十・・・」「愛犬 鎮座 チワワ あの家じゃ三代目の犬よ」など、逆空耳状態のねじれた変容歌詞で歌い上げ、客席が笑いに包まれる。
 
マーヴィン・ゲイの強烈なプロテスト・ソングである「What’s Going on」は、マキタの手にかかると冒頭が「まだまだ終わっちゃない 始まってないくらい・・」、サビは「幸濃いの? 幸薄いの?」と日常感あふれる歌詞に。マキタの新機軸のカバー音ネタの数々を披露して前半は幕を閉じた。
 
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後半はお待ちかねのゲストコーナーからスタート。「念願かなってですよ。紅白で初めてみて、こんな歌怪獣がいたのかと。あの日の紅白の中で一番でした」と言うと、客席の島津ファンから「ありがとう!」と歓声が飛ぶかつてない雰囲気に。
 
紫色の華麗な和服に身を包んだ島津亜矢が登場すると、「亜矢ちゃん!」と怒号のような歓声とサイリウムが飛び交う。「LIVE@で初めてだよ。青山CAYが明治座になっちゃったよ」と笑うマキタ。
 
「海鳴りの詩」冒頭から、青山CAY全体が鳴動しているかのような、圧倒的な声量とテクニックを展開。その歌声はまさに、演歌でありながら、言葉の本当の意味でソウルフルなもの。声の奥底まで情けが浸透したその極太の歌声に、「すごいよ鳥肌が・・・」と完全にノックアウト。「空間の制圧の仕方がすごい。空間全体を揺らしている」とマキタ独特の表現でその凄味を表した。
 
続いて、マキタが紅白で衝撃を受けた「帰らんちゃよか」をマキタのギターとジミー岩崎のピアノ伴奏のスペシャルバージョンで披露。その涙なしには聴けないパフォーマンスに客席は静まり返った。その後のトークコーナーでは、この歌怪獣がどのようにして生まれたか、島津の歴史を紐解きながら迫る。さらに、食の話に移行し、島津はじゃがいもが大好物というと、マキタは最近島津亜矢とならんで推している、マグマ塩をじゃがいもに相性抜群と紹介しつつ、島津の人柄を引き出すトークを展開し、ゲストコーナー終了。
 
ふたたびマキタのソロがスタート。マキタが15年前に作った「渋谷青春歌謡」の復刻&アップデートバージョン、「渋谷青春歌謡2016」で後半戦が幕を開けた。ジミー岩崎のアコーディオンにのせて、マキタが昭和歌謡風の歌声で「アップルストア」「iTunes」などのいまどきの言葉をちりばめた爆笑の歌詞を歌い上げると、島津ファンの諸先輩方がサイリウムを振りながら「マキちゃーん」と掛け声も飛び、盛り上がり最高潮に。
 
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続いて演奏されたのは「オーシャンブルーの風のコバルトブルー」。イージーリスニングのように聞き流してほしいというマキタのMCの促しとは異なり、照明がマキタの前頭部をまぶしく照らす中、80年代ポップスの空虚でリゾートチックな歌詞のそこここに、「カーレディオからごきげんなはげおやじ」「コバルトブルーのはげおやじ、朝までフィリピンパブ」など「はげおやじ」という歌詞が頻出し、遠近感がゆがむ。
 
そして本編最後に、マキタのビジュアル系バンド、マキタスポーツpresents Fly or Dieのアルバム「矛と盾」から、マキタ作曲&作詞による「怨歌~あんたじゃなけりゃ」のピアノバージョンをオーディエンスの手拍子とともに披露した。
 
万雷の拍手の中、アンコールでは、この日から販売スタートした、マキタスポーツ・オリジナルTシャツに身を包んだマキタと、なんと同じくマキタTに身を包む島津亜矢が再登場。
 
サンタクララの埋もれた名曲「男と女」をジャジーなアレンジで、島津&マキタのデュエット。ファンキーな島津のAメロと、突然演歌調のメロディに変化するマキタ担当のBメロの対比が著しく、そのギャップに会場は笑いに包まれる。島津の唯一無二の歌声と、マキタのサービス精神いっぱいにデフォルメされたパフォーマンスの絡み合いは、まさにこのライヴ@でしかみることのできない極上のエンターテインメントであった。
 
 
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今回のLIVE@マキタスポーツは、島津亜矢というマキタが独自の視点で「再発見」した不世出のアーティストとの邂逅によって、スペシャルな一夜となった。なによりも、マキタが「歌怪獣」と称する凄味ある島津の歌唱を受けて、マキタ自身の歌自体がグンと腕を上げているところがもうひとつの聴きどころであった。
 
160席の小体なライヴスペースで、ジャンル越境規格外のビッグアーティストが次々とゲスト参集する前代未聞のライヴ@マキタスポーツ、次回のLIVEは来年1月15日(日)。同じく東京・青山CAYにて開催予定。はたして次は、どんなゲストが登場するのか、情報を注視したい。

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