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【ライブレポート】新代田FEVER『ウグの音返し vol.2』

2016.04.04

2016.3.16 KAKASHI.jpg
【KAKASHI】
 
『ウグの音返し vol.2』、この日一番手を飾ったのは群馬県前橋市出身【KAKASHI】の4人である。
 
賑やかな音に溢れる会場の中へSE無くかき消すかのようにそれぞれの音を唸らせ、
その上に重ねるかのようにVo.堀越颯太の優しく、力強く、明瞭な歌声で”天秤”が始まった。
 
「逃げ出したっていいさ、逃げ出した先に何が有るのか、逃げ出したあんたが一番わかるだろう」
と鋭いメッセージを投げかけ、Gt.斉藤雅弘の優美で壮大なギターサウンドがどこか儚い香りを匂わせた”キレイゴト”が続いた。
 
「今日で対バンするのが2回目なバンドをこんな大事な日に立たせます?笑 
でもバンドを信じてくれたということは、人を信じてくれたのではないかという事ではないかと想像して今日立っています。
uguisへ俺らなりのガンバレを一曲。」
 
と告げた”愛すべきくだらない世界”では、Dr.関祐介の柔軟で一貫性かつ安心感のあるドラムサウンドは
先ほどのVo.堀越の言葉を音とした、彼らなりのエールとして表現されていた。
Ba.中屋敷智弘の緊密な奥深い重みのあるベースラインに乗せて、常に挑み続け、抗う事を恐れぬ様を描いた”違うんじゃないか”、
「あなたのために歌いたい」と告げたラスト”ドラマチック”で、漣漣たる多力な言葉と沸き立つ感情がステージ上から降り注がれた。
 
どのライブ、どの曲をとっても【KAKASHI】の正も負も包み隠さずぶつけ続けるスタイルには毎度感情を揺さぶられる。
飾らない言葉、希望や光を見せるというよりも共に見つけようとする姿がこの日も健在であった。
彼らの抗い、挑み続ける姿にこれからも背中を押される人々は数知れないであろう。
 
《SETLIST》
1:天秤
2:キレイゴト
MC
3:愛すべきくだらない世界
4:違うんじゃないか
5:ドラマチック
 
2016.3.16 イロムク.jpg
【イロムク】
 
紺色の妖艶で異様な光に包まれ登場したのは二番手【イロムク】である。
 
スロウで情緒的な奥ゆかしさを漂わせるSEから、突如光のベールが巻き上がるように”三枚目”が始まった。
Dr.河野智央の軽やかでどこか無機質さと怪しさを感じさせるカウントが鳴り渡り、続く”バケモノ”で辺りは一変する。
最初に感じた【イロムク】の妙な雰囲気、薄ら薄らと見え隠れしていた鋭く光る牙が剥き出しになった瞬間を見てしまった気がした。
 
そんな空気感を自ら覆すかのように「uguisレコ発おめでとう!」とVo.藤沼健の和やかなMCが挟まれ、
続く”口癖”、”他人”では根本の弱さは隠しつつ、Gt.辻秀和のステージから心弾け飛ぶかのような
晴れ晴れとして陽気なギターサウンドによって凛とした強さと清々しさを感じさせる。
Vo.藤沼の艶やかで魅惑的な歌声と、Ba.桂野敬章の貫徹的で孤高を恐れぬようなベースサウンドが
新曲”二重瞼、一重になる”にて披露された。
 
「uguisとは同期としてこれからもお互いがバチバチやっていきたい仲間です」
と今後控えるuguisとのツアーに向けた宣誓も告げられ、
ラスト”綴る”ではスタートで巻き上げられたベールをゆっくり閉じるようにして、
温かな空気に包まれながらそっとこの日のステージを降りた。
 
個人的に【イロムク】に関しては一切情報を得ぬまま当日初めてライブを見たのであるが、
見た目やイメージからでは想像し難い底に秘めた反骨心や、ストレートなメッセージ性が沸々と沸き立っていた。
形や枠に納まらない世への挑戦的なその姿に、自分自身とても引き立てられるものがあった。
 
《SETLIST》
1:三枚目
2:バケモノ
MC
3:口癖
4:他人
MC
5:二重瞼、一重になる
6:綴る
 
2016.3.16 裸体.jpg
【裸体】
 
「皆さんの人生に土足で踏み込みに参りました。」とVo.ペーターの開口強烈な言葉と共に、
本日三番目となる【裸体】の登場だ。
 
音の団塊が飛び散るように”言い聞かせる事”によって、瞬く間に辺り一面が彼らの音に飲み込まれ、
一瞬の隙を見せる事無く”原動力”が続く。
Ba.ハツカワカズヤの振り落とされてしまいそうな疾走感と、緻密で繊細さを醸し出すベースサウンド、
Dr.るんるんの重厚的で身肌の細胞一つ一つまで震い立つドラムサウンドと共に、彼らは加速し続けた。
突如、幻怪奇抜でどこか神妙的なGt.溝渕翔平のギターサウンドで始まった”俺もそう”は、
これまでの情熱で爆発的なフロアから、一気に冷静で冷ややかさを感じさせるリアルへ連れて行かれるような感覚であった。
 
「フルコースで言えば完全に俺らはメインディッシュの脂身な訳で、いくら食っても食い足りない病み付きになるバンドです。
俺らはやるしかねえんですわ。」
と言葉を掲げた新曲”波紋の行方”が披露され、”あの頃の僕には”では高々と強く握った拳が感情を乗せて天を貫くようであった。
 
「音楽で世界を変える事は限りなくむずい話やとは思いますが、聴いてくれた誰かの何かを変える事は出来ると信じてます。」
ラスト”最期”まで、彼らに土足で踏み込まれたこの30分間の痕跡は、彼らの音楽で何が変わった痕跡となった気がした。
【裸体】のライブは、まるで日常的なワンシーンのようであった。非日常感と切り離せない日常感。
前に進むべきか、はたまた後へ進むか。どちらにせよ進み続ける事の大切さを彼らの音楽で教えられた。
 
《SETLIST》
1:言い聞かせる事
2:原動力
3:俺もそう
MC
4:波紋の行方(新曲)
5:あの頃の僕には
6:最期
 
2016.3.16 uguis.jpg
【uguis】
 
結成から2年目を迎える本日の主役【uguis】がいよいよ登場だ。
 
この日は今イベント『ウグの音返し』開催2回目、
そして記念すべき2nd mini ALBUM『ただいま、もう何処にも行かないよね』のレコ発ともあり、
お祝い事尽くめの彼ら自身の熱の入り具合はどうもスタート前から爆発寸前であったように伺えた。
 
深海のような深く静かな碧色の光と、水のせせらぎを漂わせる神秘的で心地の良いSEに包まれ4人がステージに現れた。
少しばかりの穏やかな空間、引ききった潮は荒波のように一曲目”煩い”へと形を変えて一気に押し寄せた。
これまでの【uguis】の世界からでは、なかなか想像し難い激情的な新しい一面を見せつける。
会場の熱の上昇し続け、リズミカルで音同士が戯れる世界を魅せる”七人のディスコ”、
柔らで彩り豊かなGt.須藤ぐるめ館の奏でるギターサウンドが降り注ぐ”アクター”が続いた。
 
「我の名はCK☆FRである」と【uguis】のライブの見所の一つとなっている恒例Ba.CK☆FRによるユーモラスに溢れる物販紹介も
会場を和ます大事な彼らの持ち味である。
 
Vo.臼井慎哉の淡い光が差し込むような歌声、Ba.CK☆FRの温厚で安らぎと、
潜む影を見え隠れさせるベースサウンドに乗せた”知ってることだけ”で儚さの中にある美しさを匂わせた。
続く”夜明けの甲州街道”では、街中に煌めくネオンや移り動く風景をDr.フミキ・モト・フミゾウ(ぽ)の壮麗で丁寧に刻み、
確実に入れ込むドラムサウンドがストーリーを展開させ続ける。
 
「来月で僕らはバンド結成2年を迎えるわけですが、この2年間が間違いだったのかと思う事もありました。
それでも今日このステージに立って、間違いではなかったと心から思えます。
またどこかで必ず会いましょう。」
 
この日言葉数は少なかったように感じたが、ラスト”呼吸を問う”、EN”嗄声が終わるまで”で
これまでの彼らの2年間、これからの彼らの時間を指し示すような時間であった。
 
この『ウグの音返し vol.2』は果たして彼らのバンド史の1ページにどう刻み込まれたのだろうか。
【uguis】へ更なる期待と、vol.3開催をまでのこれまで以上の成長を今後も見届けて行きたい。
 
《SETLIST》
1:煩い
2:七人のディスコ
3:アクター
MC
4:知ってることだけ
5:夜明けの甲州街道
MC
6:呼吸を問う
 
EN:嗄声が終わるまで
 
 
レポーター【新宿LOFT 横溝英梨】カメラマン【ハヤシサトル】
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