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トップレポート【ライブレポート】11月9日(土)・10日(日)Zher the ZOO YOYOGI「うたのありか2013ツアー 〜リクオ×中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)〜」

【ライブレポート】11月9日(土)・10日(日)Zher the ZOO YOYOGI「うたのありか2013ツアー 〜リクオ×中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)〜」

2013.12.04

11月9日(土)Zher the ZOO YOYOGI
『うたのありか2013ツアー 〜リクオ×中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)〜』
リクオ×中川敬
GUEST> 岸田繁(くるり)

11月10日(日)Zher the ZOO YOYOGI
『うたのありか2013ツアー 〜リクオ×中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)〜』
リクオ×中川敬
GUEST> 直枝政広(カーネーション)

 

 リクオと中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)による『うたのありか2013ツアー』が、11/3の北海道から11/24の宮城まで計12公演行なわれた。東京はZher the ZOO YOYOGIにて2デイズでの開催となった。両日、それぞれゲストを交え、アコースティック楽器を基調としたライブが繰り広げられた。昨年に続き、恒例となりつつあるリクオと中川敬のツアー。元々、2006年にソウル・フラワー・ユニオンの地方巡業用アコースティック・ユニット「ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン」にリクオが参加して以来、ことある毎にお互い共鳴し合い、現在に至っている。

 

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 初日。まずはリクオと中川敬の2人が「男はつらいよ」のテーマとともに登場。ソウル・フラワー・ユニオンの「死ぬまで生きろ!」で始まったライブは、続いてリクオが歌う「明日へゆく」と交互にヴォーカルをとって進む。
 数曲して、それぞれのソロ・パートへ。中川はラジカル且つユーモアあるMCでジワジワと笑いを誘いつつも、曲が始まると涙腺を刺激し、心の底にある感情を喚起させる歌を聴かせる。昔から好きだったという浅川マキのカヴァー「少年」も披露。
 そして初日のゲスト、くるりの岸田繁を中川が呼び込む。岸田のソロ・パートは、アコギ1本でくるりの「虹」や鹿児島の民謡「おはら節」などを披露。
 リクオは急遽、キーだけを伝え岸田と1曲セッションを。息の合った2人の演奏は初対面だったとは思えないほどで、まさに音楽で会話しているようだった。
 3人のソロ・タイム後は、リクオと中川で数曲を。中川の新曲「地下鉄道の少年」から、美空ひばり「愛燦燦」のカヴァーに聴き入り、リクオの「ミラクルマン」ではロックンロールなピアノに心躍った。
 そして、再び3人によるリラックスした中にも刺激し合う空気が心地よい時間へ。くるりのライブでも披露されていないという「三日月」、来年2月にリリースされるというリクオの「ハッピー・デイズ」など、グイグイ引き込まれる曲が続く。そしてソウル・フラワーの「満月の夕」が凛と響きわたる。哀しみの果てから、それでも生きるんだ!と鼓舞されるような強く優しい歌に包まれた。さらに「アイノウタ」では会場一体となったグルーヴに身体ごと持って行かれて本編終了。
 アンコールで再び登場した三人。岸田が歌う「宿はなし」は、どこかソウル・フラワー・ユニオンの影響が感じられる。くるりのアルバム『図鑑』収録のこの曲、実際、アコーディオンでソウル・フラワーの奥野氏が参加している。最後はリクオの「光」から、ソウル・フラワー・ユニオンの「荒れ地にて」で、その流れには思わず涙があふれた。
 先輩・後輩という垣根を越え、お互いリスペクトし、仲むつまじくもあった3人。この日だけしか生まれなかった名演と歌が確かにあった。


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 2日目。まずはリクオと中川の二人によるソウル・フラワー・ユニオンの「ラヴィエベル〜人生は素晴らしい!」からライブは始まる。前日に続き中川は人を食ったようなMCでフロアの観客を沸かす。ユーモアの中にもシニカルさがあるから信用できる、僕にとって中川さんはそういう人だ。それは楽曲にも表れていて、特にニューエスト・モデル時代の楽曲に特に顕著だ。ちなみにこの日披露されたニューエスト時代の楽曲は「もぐらと祭」とボブ・ディランの日本詞カヴァー「嵐からの隠れ家」の2曲。どちらも、今の時代を射抜く力を持った楽曲だ。
 その後は各々のソロ・パートへ。
 まずは中川から。新しめの楽曲「世界はお前を待っている」や新曲「地下鉄道の夜」で感じられるのは、年輪を重ねた分、激しくアジテートするだけでなく、勇ましさの中にも切なさや郷愁が滲み出る感じ。だからこそ歌が説得力を増して響く。
 そして、ゲストの直枝政広(カーネーション)が登場し、中川とソウル・フラワー・ユニオン屈指のラブソング「クレイジー・ラブ」を共演。
 続く直枝はカーネーションの名曲やトッド・ラングレンのカヴァーを狂おしいほどの歌声で聴かせる。今年12月に30周年を迎えるカーネーション。12月に東名阪ツアーを開催し、12/18にはトリビュート盤『なんできみはぼくよりぼくのことくわしいの?』もリリースされる。
 直枝はリクオとも1曲セッションで「口笛吹いて」を披露。ピアノの絡み具合が絶妙だった。その後、リクオのソロ・パートへ。軽快でグルーヴィな楽曲の連発に、ホットな気持ちにさせてくれた。
 そして、リクオと中川によるパートへ。ソウル・フラワー・ユニオンの最新作から「踊れ!踊らされる前に」など数曲、MCも相変わらず笑わせてくれる。
 最後は再び3人でのパートに突入。それぞれの楽曲をこの日だけの編成とヴァージョンで聴けるという贅沢な時間が過ぎていく。「海へゆく」から「アイノウタ」へと続く大きなグルーヴに身体と心を持っていかれたまま本編終了。歌とアコースティック・ギターとピアノで、あんなにも濃厚なグルーヴを放つ彼ら、やはりただ者ではない。
 アンコールでは島倉千代子の「愛のさざなみ」のカヴァーを披露。元々、カーネーションは以前からレパートリーとしていた曲で、3人がこの日のリハーサルをやっていた11/8に訃報が飛び込んできたという。万感の想いを込めて直枝が歌う。その後、中川が「満月の夕」を、リクオが「光」を歌う。悠久に続く、生への渇望。命の鼓動を感じながら夜は更けていった。終演後のBGMは今年10月27日に亡くなったルー・リードの楽曲が流れていた。
 ライブ後の打ち上げも含め、贅沢で濃密な夜となった2日間。東京公演だけでなく全国各地で大盛況にて終えたリクオ&中川のツアー。また来年も2人がツアーを行ってくれることを期待したい。年末まで重要なライブも目白押しなだけに、それぞれのライブに足を運ぼうと思う。
 今後の彼らのライブ予定はそれぞれのWEBサイトをチェック!

※写真はクリックで拡大出来ます。

 

11月9日
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11月10日
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撮影:上野祥法
文:田代洋一(Zher the ZOO YOYOGI)

Live Info.

リクオ『リクオのスペシャル忘年会 2013!』
12月13日(金) 名古屋 TOKUZO
12月19日(木) 渋谷 gee-ge.
12月28日(土) 大阪 Martha


ソウル・フラワー・ユニオン『年末ソウルフラワー祭 2013』
12月 6日(金) 名古屋 CLUB QUATTRO
12月 8日(日) 梅田 CLUB QUATTRO
12月14日(土) 恵比寿 LIQUIDROOM
12月15日(日) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
※内海洋子、全公演参加決定!

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