2013年11月22日(金)O-Crest
In 197666 | idea | リリースツアー ワンマンライブ
In 197666
2013年10月9日にリリースしたミニアルバム『│idea│』のリリースツアーファイナルが、11月22日に O-Crestで行なわれた。11月9日(土)福岡スパイラル・ファクトリーを皮切りに、11月10日(日)心斎橋Clapper、11月12日(火)名古屋ell.SIZEと回ってきたツアーのファイナルとなる。
メンバーが登場すると会場には大きな歓声が上がり、西 勇輔(Vo,Gt)が「ツアーファイナル、ワンマンライブへようこそ! 最後の一音まで楽しんでいってください。よろしくお願いします!」という言葉を言い終わると同時に、『│idea│』収録の『Listen to me』のイントロが鳴らされた。アップテンポのこの曲では、原 琢矢(Ba)と森下大輔(Gt)がステージ前方に出て手拍子で客席を煽り、ステージも会場もいっきにヒートアップ。続く『Another part of me』では、西がいつも以上に伸びやかで艶のある歌声を聴かせ、このツアーがバンドのレベルアップという意味でもとても充実していたものであることが感じられた。続く、三浦明展(Dr)の深く突き刺すようなリズムで始まった『音の無いメロディー』では、森下が鳴らす美しいギターのメロディーが琴線を揺さぶっていく。
4曲目を演奏し終えたところで、「リリースツアーですけど、『│idea│』の曲をほとんどやっちゃいました」とおちゃめなMCをした西だったが、「(ワンマンなので)ひさびさの曲も聴いてください」と、2年前にリリースされた『IQ:64(あいくるしぃ)』より『未完成メロディー』を披露。これからの季節にぴったりの『from Snow…』では、西がギターから鍵盤に変え、美しいピアノの旋律に歌声が重なり、会場に凛とした雰囲気を作り上げていく。また一言一言をお客さんに語りかけるように真っ直ぐな目で歌う姿も印象的だった。この後、ツアーの思い出を話す4人。メンバー同士の仲の良さはステージ上で言わずとも雰囲気で漏れ出ていると思うが、ライブが終わって、夜中の4時に“5分後にお風呂場に集合ね”とお風呂にみんなで入った話や、ホテルに帰って寝たそうにしているリーダー(三浦)をつかまえてひたすら話を続けたとか(森下談)、ほのぼのトークに客席に笑顔がこぼれていた。
続いて、「昔この曲を演奏した時は一音目が出なかった」というエピソードを交えながら、原のベースから始まった(この日は一音目からちゃんと音が出てました)『楽園』は客席に無数の手があがり、エッジの効いたバンドサウンドで強烈なインパクトを与えた『D』で会場を沸かす。
ライブは後半戦に突入。英詞で歌われる『OVER TO YOU』ではお客さんがサビでタオルをまわして、再び会場の熱気が高まり、『砂時計』では骨太なロックサウンドで客席を揺らす。ラストの曲に入る前に西が「『│idea│』をリリースして1ヶ月半ぐらい経ち、ツアーの何カ所も来てくれるお客さんや、今日ここに集まってくれたお客さんに感謝しています。恋愛をきっかけに音楽を始めて、今でもラブソングを書いているというのはラジオやインタビューで耳にした人もいるかもしれないですけど、ライブという場所においては、全部さらけ出してあなたたちのために歌っていこうと思っています。どうしても歩き疲れた時とか、立ち止まらなければいけない時は確かめに来て欲しいです。最後まで付き合ってくれてありがとうございました」と言って歌われたのは、In 197666の曲の中でも特に強いメッセージを放つ『Fly』。三浦がタイトなリズムを刻み、前の3人は力強いサウンドを鳴らし、ポジティブなグルーヴが会場を包む中、大団円で終了した。
アンコールで呼ばれた4人は清々しい顔をして登場し、『天気予報』を披露。会場に手拍子が起こり、歌詞の一部をお客さんに歌ってもらう場面も。そして森下の「ツアーをやって、いろいろな人に支えられてやってるなと思いました。これからもよろしくお願いします」という言葉から、西の言葉へ続く。「新しい曲を作って、いつ出せるかわからないけれど、次回作は半分ぐらい出来ています。これからもたくさん曲を出していくけれど、この曲に何度も助けられていくと思います。それはあなたたちのことを心から歌った曲だからです」と歌われたのは『IQ:64(あいくるしぃ)』。ステージと客席の溢れ出る思いが一音目からぶつかり合い、出だしのサビから大合唱が起こっていた。原と森下はステージを所狭しと動き回り、今日はこの曲で最後だということを噛みしめながら、お互いが最後の力を振り絞りながらステージを楽しんでいるようだ。白熱したステージは、演奏後、原のマイクコードが西に絡まったりとグチャグチャの状態。そうしてすぐにステージから降りられないでいる彼らに客席から「もう1曲お願いします!」という、新たなスタイルのアンコールがかかり、ラストにもう1曲。演奏に入る前に、「“有名になっていくと遠くなるような気がして寂しい”って言ってくれる人もいるんだけど、一回一回ライブするごとにお客さんが増えなかったら、俺たちの歌を聴きたいと思っても歌を作ることさえも出来なくて、バンドが大きくなっていくのは遠くなることじゃなくて、バンドを愛してくれる人の愛の濃さが薄まるんじゃなくて密度が高くなるんだと思う。10年先もずっと俺たちはみんなに寄り添う歌を歌い続けたいと思っているから、ひとつひとつの約束を重ねながらずっと俺たちのことを支えてください。みんなの力が必要です」と、今のバンドの思いを真っ直ぐに伝え、最後は『シキサイの種』を。「きっと十年後の未来もまだ 変わらず二人で歩いて行こうよ」というこれからに向けた歌詞を、西がキーボードを弾きながらじっくりと聴かせ、トータル1時間半のライブはあっという間に幕を閉じた。
リリースツアーという形で4箇所でツアーを行ない、少しずつ一歩一歩を踏み出しながら彼らが成長していることをこの日の回のライブで感じることが出来た。In 197666は、ライブ中にも言っていたように、すでに新しい曲を作り始めているとのこと。独特の世界観や、西の伸びやかな歌声、強靱なバンドサウンド、そして見せることを意識し始めたステージングなど、スタートラインに立ったばかりなのかもしれないが、今彼らは必死で次なるステージを目指しながら進んでいる。年内はまだまだライブが決まっており、彼らの情熱を一度ライブで感じてもらいたいと切に思う。(やまだともこ)
PHOTO BY:森久
※写真はクリックすると拡大出来ます
SET LIST
1. Listen to me
2. Another part of me
3. シンパシー
4. 音の無いメロディー
5. 未完成メロディー
6. from Snow…
7. 楽園
8. D
9. Laugh More Baby
10. Candy2
11. OVER TO YOU
12. 砂時計
13. Fly
EN1. 天気予報
EN2. IQ:64(あいくるしぃ)
EN3. シキサイの種