先輩ドラマーである浦田賢一とはどんな存在か
──池畑さんにとって浦田さんとはどんな存在ですか。9歳ちょっとの年齢差があるようですが。
池畑:ドラマーとしてはタイプが違うかもしれないけど、根本はどこか似たところがあると思う。プロデューサー気質っていうのかな。浦田さんはドラムに対する探究心が強いし、鍵盤も弾けるからコード感や音楽理論を理解した上で譜面も書ける。歌も唄うしね。今度のライブでももちろん唄ってもらう。俺は叩きながら唄うタイプじゃないけど、HAKATA BEAT CLUBと似たようなことを実はそれ以前からやっていた。ルースターズをやめて九州へ戻ったときに地元のミュージシャンを集めて、自分たちの好きなルーツ音楽をセッションするというHAKATA BEAT CLUBと似たことをね。そこにアップビートでデビューする前の広石(武彦)がいたりしてさ。地元でそういうことをやった流れでレッドスティック&スペクターズというバンドを結成することになり、それが発展してゼロスペクターになった。
ゼロスペクターがアルファに残した3枚のアルバム全曲と貴重音源を収録した『ZEROSPECTRE ~EARLY YEARS』(2005年7月発売)
──浦田さんに誘われる前から、気心の知れた仲間たちとルーツミュージックを奏でるという浦田さんと同じようなアプローチをしていたと。
池畑:そのスタイルがのちの突撃隊やROUTE 17にも繋がっていくし、やってることは昔から一貫しているんだね。
──リズム&ブルースやロックの古典といったルーツ音楽を受け継いでいく豊かな土壌が福岡に根付いたのはなぜだと思いますか。やはりサンハウス周辺のディープな音楽愛好家の果たした役割が大きいのでしょうか。
池畑:俺はサンハウスの前に、村八分の影響が比重的には大きかったけどね。もちろんその後にサンハウスの洗礼も受けたけど。結局、みんなが心酔した音楽がそこだったってことじゃないかな。でも俺の場合はルーツ音楽に固執したわけじゃなく、柔軟に何でも聴いていた。新聞配達のご褒美でバイト先から貰ったラジオから流れるいろんな音楽を分け隔てなく聴いていたから。ベンチャーズも舟木一夫も一緒くたでね。ドラムを叩き始めた頃はハードロック全盛だったけど、遡ってビートルズを熱心に聴いていた頃はドラムを叩いてなかった。歌は唄えてもドラムは叩けなかったね。
──最初に手をつけた楽器はバイオリンだったそうですね。
池畑:そう。あとは大太鼓とか、ハーモニカとか笛。
──話を戻すと、池畑さんと浦田さんの共通項をあえて言えば、役者の経験があるということなんですが(笑)。
池畑:浦田さんは俺と違って片手間に芝居をやるんじゃなく、家族のためにドラムをやめて役者に専念したからね。そういう生半可なことをしない生き方は素晴らしいと思う。子育てがひと段落したところでまた一からバンドを叩き始めたのが凄い。それがHAKATA BEAT CLUBの頃で、当時はほぼ叩けてなかったところから猛特訓を重ねたっていうんだから。
──そんな浦田さんとの対バンはどんな感じになりそうですか。
池畑:多分、浦田さんは俺がROUTE 17や突撃隊みたいなことをやってるのを知らないと思う。浦田さんから受け継いだ部分がちゃんとありますよと見せつつ(笑)、浦田さんとどんなリズムの刻み合いや叩き合いをできるのか自分でも楽しみだね。
──花田さんや細海魚さんといった重複するメンバーもいらっしゃるし、選曲も似た傾向になるのかなと思いましたが、どうなのでしょうか。
池畑:楽曲については似て非なりというか、浦田さんとはビートが微妙に違うから、仮に同じ曲をやっても違う聴こえ方になると思う。今回、あえて同じ曲をやってみようかなと思ったけど、バランスを考慮してあえて外した。それに浦田さんの音楽的志向は俺よりもルーツに根差した感じだし、自ずと違いが出るんじゃないかな。たとえば同じリトル・リチャードの曲をやるにしても、俺の場合はCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)を経由した「Good Golly Miss Molly」なんだよ。浦田さんがCCRの曲を叩いても俺とはまた違うものになるだろうし、ドラマーとして元にあるものの微妙な違いを楽しんでもらえると思う。
──福岡発のリズムとビートの礎を築いてきた両者が相まみえるのは22年ぶりですし、本来ならフジロックでしか見られないような演目なので必見ですね。
池畑:HAKATA BEAT CLUBの後も浦田さんとは何かやろうよと言いながらやれてなかったのもあって、やっと共演できることになって良かった。でもタイミングってあるからね。やれないときに無理にやるものじゃないし、ああ、もしかしたら今かもしれないっていう頃合いみたいなものがある。ROUTE 17でもゲストボーカルの候補が何人かいる中で「今じゃないだろうな」という勘が働くから。ある瞬間にふっと「いまお願いしたらいいかもしれない」と感じる流れがある。
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FUJI ROCK FESTIVAL 2025|Photo by suguta|協力:石飛智紹(SMASH)
──八代亜紀さんや加山雄三さんをROUTE 17でゲストに迎えたときも、そうした流れがありましたしね。事前に共演する機会を経てオファーが実現したという。
池畑:そうそう。鳥羽一郎さんと突撃隊で共演できたのもその流れ。
















