全世界を股にかけて泣く子も黙るジェットロッキンロールを掻き鳴らす、日本が世界に誇る至宝級ロックバンド、ギターウルフが実に7年振りとなるオリジナル・アルバム『MORE JET』を完成。現在、CAMPFIREのサイトで予約販売を受け付けている。「火傷する熱いジェットのアルバムができました!」というバンドの顔役であるセイジの言葉に偽りはなく、聴き手の脳天をぶち抜き、熱量も情熱も昂揚も焦燥も渇望も規格外に迸る疾風怒濤のロックンロール・アルバムと相成った。「シーラカンスギャラクシー」「エロ本惑星9pm」「バッキャローザムーン」という本作に先駆けて7インチ・シングルとして発売された楽曲群を主軸としつつ、思春期に影響を受けたカルチャーとロック・アイコンを掛け合わせた、発明と言うべきセイジ独自のミクスチャー感覚が貫かれたソングライティングはもはや匠の域。4年前のトオル脱退によるドラマー交代の紆余曲折も乗り越え、バンドが今また何度目かの黄金期を迎えつつあることを実感できる作品と言っていいだろう。今作に懸けた思い、楽曲の制作意図や制作中の逸話、日本を世界ナンバーワンのロックカントリーにするための気骨など、40年近くにわたりロックンロールを背負って立つセイジに話を訊いた。(Interview:椎名宗之)
新しい曲を書けるようになったのはGOTZとTAKUROの影響
──前作『LOVE&JETT』から7年ものタイムラグが生じたのは、なかなか定着しなかったドラマーが固まってから制作に取り掛かりたいという思いがあったからですか。
セイジ:そういうわけでもなかったけど、メンバーが固定しないと曲が作れないので。自分に新たなインフルエンスを与えてくれるメンバー、影響や刺激をくれるドラマーがいないとなかなか曲を作ることができない。新しい曲を書けるようになったのは3年前にTAKUROが入ってから、TAKUROとGOTZの影響でしょうね。
──この7年のあいだには、新型コロナウイルスの世界的大流行によって活動が大幅に制限されたこともバンドに与えた影響として大きかったと思いますが。
セイジ:でもコロナ禍がきっかけでYouTube配信を始めたり、自分で動画や音を作る技術も学べたし、少しラクになったところもあるので悪いことばかりじゃなかった。いちいち他人に動画を作るのを頼まなくて良くなったし。YouTube配信を始めたのは2020年の『シマネジェットフェス』のためだったけど。
──あの年の『シマネジェットフェス』はコロナのパンデミックでオンライン・フェスティバルとして開催されましたね。
セイジ:コロナ禍は一時的なものだと思ってたし、オンラインでフェスをやるっていうのもそれはそれで面白いと感じてました。普通なら登場できないジョーン・ジェットが出てくれたりもしたし。翌年は無観客ライブを配信する形で開催したけど、大変なときには大変なときなりにやれる方法や多岐にわたる手段があったし、自分としてはコロナの時期も面白かった。
──今回の『MORE JET』もまたギターウルフにしか生み出し得ない快作で、バンドが体現するジェットロッキンロールの最新型がギュッと凝縮した逸品ですね。
セイジ:ありがとうございます! 嬉しい!
──“MORE JET”=“もっと速く! もっとデカく! もっとジェットに!”という作品の指針はどんなところから着想を得たんですか。
セイジ:やっぱりGOTZとTAKUROからもらった影響がデカいと思います。アルバムや曲のアイデアは一人で考えるけど、バンドなので三人の力や情熱が結集しないと熱くいい曲にはならない。俺一人のアイデアだけである程度まで曲は作れるけど、三人が揃わないとダメ。
──“MORE”=“もっともっと!”というワードから閉塞した時代の空気を打ち破ってやるぞ! という気概みたいなものを感じます。
セイジ:今の気持ちの表れです。もっとぶち抜きたい! もっとジェットでぶっ飛ばしたい! という気持ちそのものです。
──本作のリリースに先駆けて7インチアナログシングルレコードとして発売された、「シーラカンスギャラクシー」「エロ本惑星9pm」「バッキャローザムーン」辺りから収録曲が完成したんですか。
セイジ:「シーラカンスギャラクシー」と「エロ本惑星9pm」はクラちゃん(トオル)がいた頃から断片はあったんだけど、TAKUROが入ってから新鮮なアイデアが出てきて完成した感じです。
──これまでも「チラノザウルス四畳半」や「メソポタミアロンリー」といった曲がありましたが、「シーラカンスギャラクシー」もまたセイジさんの古代文明に対する憧れやロマンを主題にしていますね。
セイジ:恐竜も古代魚も古代文明も大好きですね。宇宙、古代文明、幽霊というのは、自分にとってオートバイや女の子と同じ次元で欠かせないものなんです。
──7インチとして発売した三作はPeace Musicの中村宗一郎さんに録音を依頼していましたが、本作は岡山県岡山市にあるduskline recording studioで録音したそうですね。
セイジ:そうです。エンジニアの南石君(南石聡巳)のスタジオで。
──南石さんは1997年発表の『狼惑星』、1999年発表の『ジェットジェネレーション』のエンジニアを務めて以来の付き合いですが、セイジさんは南石さんの手腕をどう評価しているのでしょう?
セイジ:南石君はぶっといものを残しながらアルバムとして自分の表現を爆発させてくれる。それに対して、Peace Musicの中村宗一郎さんはシングルとしてはっきりとわかりやすい格好いいミックスにしてくれます。
──今回もせーの!で一発録りだったんですよね。
セイジ:そうです。ボーカル以外は。
──duskline recording studioへ出向いて短期集中レコーディングしたということですか。
セイジ:4日間で録りました。
──事前にPeace Musicで6曲の録音を済ませていたこともあるし(本作に収録されたのはすべて新規の別テイク)、スムーズな作業だったのでは?
セイジ:もちろんです。『LOVE&JETT』のときも録りは4日くらいだったんじゃないかな。もちろん岡山へ行く前に三人で何度も何度も練習して合わせるようにして、スタジオでバーン!と録るような感じでした。















