ジョーン・ジェットのようなロックの化石になりたい
──せっかくなので一曲ずつ伺いたいのですが、まずタイトルトラックの「モアジェット」。バンドのジェットに火をつけるにはやはりセクシーガールの存在が欠かせないといったところでしょうか(笑)。
セイジ:何だろう、とにかく頭に浮かんだんですよ。セクシーな女の子がハイキックしてぶっ飛ばしてる姿が。
──“I'm thirsty!”と繰り返されるセイジさんのシャウトから言葉以上の言葉が伝わるし、あの渇ききった叫びの中にロックの本質が宿っているように感じます。
セイジ:自分としては何か新しいものが欲しいといつも願ってるんです。新しいライバル、新しいアイデア、新しい何か。それを求めて喉が渇いて常に“I'm thirsty!”で、もっとジェットにぶっ飛ばしてぇ! と願ってる。そういう自分の気持ちの表れですね。
──シャウトといえば「100Mガール」の最後の“ガッ! ガッ! ガッ!”という気迫の籠った雄叫びもまた圧巻なのですが、ボーカルは何度か録り直すものなんですか。
セイジ:うまく唄えなかったときはもちろん録り直します。でも数は少ないですね。何度も唄うとへたって勢いがなくなるので。
──三人の合奏もあまり録り直さない?
セイジ:そうですね。パワーみたいなものが減るので。もちろん三人の息がちゃんと合ってないとダメなので、そのためにいつも気合いを入れてやってます。だからレコーディングはライブ以上に疲れるかな。
──「バッキャローザムーン」はいわゆる本作におけるヒットチューンの一つですね。
セイジ:こんなパターンの曲ができるとやっぱり嬉しくて。歌詞もただめちゃくちゃなんだけど(笑)。
──とはいえ、抱え込んだ孤独や不安を晴らすために月に吠えたくなるような衝動は誰しも身に覚えがあると思いますが。
セイジ:うん。そういう瞬間が男も女もきっとあると思います。めちゃくちゃな歌詞ではあるけど、書いたときの気持ちや気分は正直。叫びたくなる衝動に駆られたときはめちゃくちゃな気分なんですよ。
──それにしても、セイジさんが南沙織をお好きだったとは(笑)。
セイジ:みんな好きでしょう、あの時代を過ごした人は(笑)。いや、そこまでファンだったわけじゃないけど、ふと南沙織のことが頭に出てきて。南沙織って名前も格好いいので歌詞にしました。
──その辺りも含めて、抑えきれぬ初期衝動を真正面から唄った佳曲ですね。
セイジ:月の曲なので、何かインパクトが欲しくて『美少女戦士セーラームーン』の歌(「ムーンライト伝説」)をよく聴きました(笑)。「ごめんなオレは! 素直じゃなかった!」って歌詞は、その歌の「ゴメンね素直じゃなくて」からいただきました(笑)。でも、ホントにその通りだなと思って。「ごめん! オレは素直じゃなかった!」と懺悔したくなる思い出が頭に浮かんで、いろんな感情が混ざってる曲ですね。
──リトル・リチャードの「ロングトールサリー」は、今までレコーディングしていなかったのが意外に感じたカバーでした。
セイジ:TAKUROが入ってからまたやり出して、ビリーがいた頃からやってはいたけどどうもうまくできなくて。しかしGOTZのボーカルにハメたらうまくいくだろうと思ってたら、見事読みが当たりましたね。
──GOTZさんのボーカルでカバー曲ということは、前作の「ギミサムラヴィン」のような位置づけですね。
セイジ:それプラス、スペンサー・デイヴィス・グループ以前のパンクの初期衝動を記録しておきたかった。一発目にズガーン!と豪速球を投げれるような曲って、自分は「ロングトールサリー」以上にあるかな? と思ってるんです。それくらいの凄さを「ロングトールサリー」に感じてて。ビートルズもカバーしてるし、前々からやりたかったけどついにGOTZとTAKUROの力を得て完成することができて良かった。
──「シーラカンスギャラクシー」は“アンモナイト”や“ブラキオザウルス”、“三葉虫”といった言葉が羅列されたユニークな曲ですが、こうした歌詞は澱みなく書き上げられるものなんですか。
セイジ:「シーラカンスギャラクシー」みたいな歌詞は、自分はわりあい得意としてるかな。かといってこの手の曲をいっぱい作ってるわけじゃないけど。でもこういうのはアイデアが降りてくると得意になって書き出しますね。
──シーラカンスの身になって「ブラキオザウルス あいつはまだガキ、まだガキ!」なんて歌詞を書けるのはセイジさんくらいでしょう(笑)。
セイジ:いやいやいや、他の人でも書けると思いますよ。
──化石をテーマにしたパンクロックナンバーなんて、世界中を見渡してもセイジさん以外に書けないんじゃないでしょうか。
セイジ:自分はもともとロックンロールの化石みたいな人間になりたいと思ってるんです。格好いい姿のまま長く残るみたいな。以前、ジョーン・ジェットが『SUMMER SONIC』に出たとき、雨が降る中で客は少なかったんだけど、俺は思わず涙ぐんでしまった。ジョニー・サンダースやラモーンズといった自分の好きだった70年代のパンクロックのヒーローはみんな死んでしまったけど、ジョーン・ジェットはまだ生きてる! と思って。この人だけは当時の雰囲気をそのまま持ってここに立っている、まるでロックの化石だと思って、“俺も化石になりたい!”と。「シーラカンスギャラクシー」はそういう化石みたいな存在の格好良さに対する憧れを唄ったのかもしれません。















