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INTERVIEW

トップインタビューギターウルフ - もっと速く! もっとデカく! もっとジェットに! 実に7年振りとなるオリジナル・アルバムでありジェットロッキンロールの最新型『MORE JET』が堂々の完成!

もっと速く! もっとデカく! もっとジェットに! 実に7年振りとなるオリジナル・アルバムでありジェットロッキンロールの最新型『MORE JET』が堂々の完成!

2026.01.28

自分が思春期に受けたカルチャーが一番強烈

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──ユニークさ、特異性でいえば成人向け雑誌と宇宙を掛け合わせた「エロ本惑星9pm」は「シーラカンスギャラクシー」に比肩する出来ですね。

セイジ:中学校2、3年のときにエロ本を借りに行ったときの思い出を歌詞にしました。『ウルトラセブン』に出てくるUFO団地に似た団地が近くにあって、夕方にそこを通るといつの間にか貸本屋ができてたんですよね。誰も人がいなくて入りやすそうな店で。

──エロ本を貸本屋で借りるという感覚も、今の若い世代には伝わりづらいかもしれませんね。

セイジ:エロ本といっても『GORO』とかなんだけどね(笑)。それでも当時の中学生にとっては充分なエロ本だったし、ビニ本前夜だったから。

──“9pm”という時刻も絶妙なフックだと思うんです。人目のつかない時間帯にこそ当時の青少年は妄想を掻き立てるわけですし(笑)。

セイジ:そこはおそらく『11PM』に引っかけてるんでしょう。いま気づいたけど(笑)。

──「三億円ノイズ」は、言わずと知れた三億円事件をモチーフにした曲で。

セイジ:金に困った話、ノーマネーの歌を作ろうと思ったら三億円事件のことが重なってきて。三億円あったらいいなあ……っていう。

──三億円事件発生時、セイジさんは5歳。時効が12歳のときでした。事件についてどう感じていましたか。

セイジ:歌詞に書きましたけど、ジュリー(沢田研二)が『悪魔のようなあいつ』というドラマで三億円事件の犯人役をやってたんです。それが印象的だったから、犯人は格好いい人のように感じてました。事件自体、誰も傷つかず、誰も死なず、大きな被害はなかった。盗まれた三億円にしても、保険が掛けられていたので予定通り支給されたっていうし。こないだもNHKの『未解決事件』でやってたけど。

──三億円事件やエロ本、南沙織といったキーワードから察するに、自身の人格形成の上で吸収したものが今もセイジさんにとって大切な要素であることが窺えますね。

セイジ:そうですね。自分はいつも何かに影響を受けたい、そんな思いから格好いいバンドを観に行ったりするんだけど、やっぱり自分が思春期に受けたカルチャーが一番強烈かな。

──「カンフービキニ」もそうですよね。憧れのカンフーとビキニを合体させるという大胆不敵な楽曲ですが(笑)。

セイジ:最初は自分で唄うのが照れくさくて、ニートビーツの眞鍋君(眞鍋“Mr.PAN”崇)にあげたんです。ニートビーツに合ってるんじゃないかと思って。で、一度渡して眞鍋君も何回かチャレンジしてくれたみたいなんだけど、完成には至らなかった。『MORE JET』の制作中に突然「カンフービキニ」のことを思い出して、眞鍋君に電話して「ごめん! やっぱりあの曲返して!」って連絡した(笑)。

──最後の「アッタタタタタタター! アター!」という雄叫びは眞鍋さんよりセイジさん向きでしょうね(笑)。

セイジ:自分はあの「アター!」が一番簡単だと思ってたんだけど、眞鍋君はその「アター!」が一番難しかったみたいで「どうすればいいのかわからなかった」と言ってた(笑)。眞鍋君がいつか再チャレンジしてニートビーツ・バージョンが出てもいいと思いますけど。

──そんなふうに、このバンドにはこんな曲が合うはずだと曲をプレゼントすることがよくあるんですか。

セイジ:ニートビーツで二回目かな。前はGASOLINEに「ガソリン子守唄」って曲を渡したりした。歌詞を見たら「できません」ってレコーディングしてくれなかったけど(笑)。向こうが格好いい曲に仕上げて、あわよくばそのアレンジをいただこうと思ったんだけどね(笑)。

──逆に、これはギターウルフに合うはずだと楽曲提供を受けたらどうします?

セイジ:チャレンジしますね。歌詞が俺にピンとくるものであれば。あと、ちょっと自分なりに変えてもいいのであれば。

──でもハードルは高そうですね。「スーパーソニックイーハトーブ」というタイトルだけでも発明品のような曲を書き上げるのは至難の業でしょうし。“イーハトーブ”とは宮沢賢治の心象世界に描かれた理想郷のことですけれども。

セイジ:宮沢賢治は童話作家の中で一番好きかもしれない。イーハトーブという言葉を初めて聞いたのは、昔、ホンダのバイクにイーハトーブというのがあってね(TL125S IHATOVO)。何だろうと思って調べたら宮沢賢治の追い求めたユートピアだった。大正から昭和の初めに“銀河鉄道”とか“イーハトーブ”といった言葉を作り出したことが凄い。ちょうどGOTZが岩手出身なのでイーハトーブをテーマにした曲を作れるかもしれないと思った。GOTZがいたからできた曲なので、これはGOTZに唄ってもらってます。

CAMPFIREでアルバムの制作費を募る理由

──ちなみに、ギターウルフはいわゆる曲先なんですか。

セイジ:いや、詞が先です。その前にタイトル。タイトルが浮かばないと何もできない。

──なぜ今さらそんなことを訊いたのかというと、「スーパーソニックイーハトーブ」が本作の中でもとりわけタイトルと歌詞とメロディの三位一体が際立っているように感じたからなんです。

セイジ:たまたまじゃないですかね。ただ、歌詞を書くときには自然と節々が唄えるようなメロディになってきてるから一体感はあると思います。歌っていうのは詩じゃないし、詞といってもある程度唄えるように作りますからね。何というか、“イーハトーブ”ときたら頭に付くのは“スーパーソニック”しかなかった。あとは俺たちの青春の気持ちというか、あの頃の素晴らしかった出来事はどれも“スーパーソニック”で飛んでったような感じだったというか。その思いを宮沢賢治のユートピアに乗せてGOTZに唄ってもらったという。

──TAKUROさんにボーカルを任せてみる曲は今回はなかったということですか。

セイジ:今回は時期尚早ということで(笑)。ビートルズでいえば「イエロー・サブマリン」みたいな曲がないか、探ってはいます。

──最後の「ジェット赤ちょうちん」もタイトル大賞級の秀作ですが、このタイトルとテーマになったのも、アルバムの終幕を飾るのも“だってしょうがないだろう”ということなんでしょうね。

セイジ:うん。この曲じゃないと締め括れないと思ったし、途中に来てもヘンだし。これは歌詞が一気にできました。“ジェット”と“赤ちょうちん”が合体した途端にすらすら書けた。何でも“ジェット”を付けたらいいってもんじゃないだろうと思ったけど、“赤ちょうちん”に“ジェット”を付けたら何だか面白い感じがして。

──こうして本作の収録曲を振り返ると力作揃いだし、今のバンドがいかに好調なのかが窺えるアルバムに仕上がりましたね。

セイジ:そう思います。バンドはいつもいい状態だと思ってるけど、メンバーが固まらないと曲は作れないので。今はバンドがガチっと固まって凄くいい状態ですね。

──昨年11月に新宿LOFTでカネコアヤノさんと対バンしていただきましたが、ああいう異種格闘技戦のようなライブでも共演者の観客に向けてバンドの特性を余すところなく伝える凄みと懐の深さを感じたし、ギターウルフがいま凄く良い状態にあることを実感したんです。

セイジ:ありがとうございます。あのカネコアヤノさんとのライブは楽しかったなあ。何というか、カネコアヤノさんは尾崎亜美さんっぽいハイセンスな曲を作る人だなと思った。それをカネコアヤノさんに伝えたら、尾崎亜美さんのことは知らなかったけど。

MoreJet販促イメージ.jpg

──本作『MORE JET』は現在、CAMPFIREのサイトで予約販売を受け付けていますが、クラウドファンディングで制作費を募るのはどんな意図があるのでしょうか。

セイジ:CAMPFIREなら宣伝もできるし、アルバムの制作はいつも赤字なのか黒字なのかよくわからないケースが多い。制作費を取り戻せないことも多いので、受注という形式をCAMPFIREでやろうと。

──CAMPFIREのサイトには「ギターウルフというバンドが存在する為にも黒字にしなければなりません」という勇ましい文言が書かれていますね。

セイジ:最高のアルバムを作ったからには黒字にしたいので。今までは売り上げ的にこんなもんなのかな? みたいに感じながら四苦八苦やってきたけど、お金をある程度確保しなければバンドが元気に進んでいけないのもまた事実で。なので今回はCAMPFIREという手段を使わせてもらうことにしました。

──今日(1月20日)の時点で支援総額は1,929,771円で、目標金額の5,000,000円に向けた達成率は38%のようです。受注開始から約2週間でこの数字はだいぶ健闘しているのでは?

セイジ:どうですかね……まだまだじゃないかな。でもギターウルフはいつも後半になって伸びると言われているので。『シマネジェットフェス』のクラウドファンディングも締切の直前になってバーッと集まるんです。

──Tシャツやトートバッグ、セイジさんの直筆歌詞カードや新曲発表ライブへの招待などリターンも豊富だし、選択肢が多いのはファンも楽しめるでしょうね。

セイジ:ああ、そうですか。まあ『シマネジェットフェス』ほどは多くないんですけど、何点か用意させてもらいました。目的はあくまでレコードを買ってもらいたいということなので。

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New Album『MORE JET』

発売日:2026年3月(予定)
※2026年2月21日(土)までCAMPFIREホームページにて受注受付
エンジニア:南石聡巳
レコーディングスタジオ:duskline Recording Studio

【収録曲】
1. モアジェット|MORE JET!!
2. 100Mガール|100MGIRL
3. バッキャローザムーン|BAKKYARO THE MOON
4. ロングトールサリー|Long Tall Sally
5. シーラカンスギャラクシー|Coelacanth Galaxy
6. エロ本惑星9pm|9pm Porno Mag Planet
7. 三億円ノイズ|3 million dollar Noise
8. カンフービキニ|KUNG FU BIKINI
9. スーパーソニックイーハトーブ|SUPER SONIC IHATOV
10. ジェット赤ちょうちん|Jet Aka-chochin

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