完璧なんてことはあり得ない。完璧じゃないからこそ面白いし、続けていける
──1曲目の新曲「DISPERFECT DAYS」のことは後で聞くとして、2曲目は初期のナンバー「SET ME FREE」。
NICKEY：生き返ったって感じの曲。ライブでも10年ぐらいやってなかった、1回はやったかな。どうも上手くいかない、何が悪いんだろ？ って思ってた曲で。でもライブではやりたい。だから今回も入れたくていろいろ考えて。ギターが凄くカッコよくなったと思う。やっと生き返った。
──「嵐の季節」のギターもいいよね。
NICKEY：いいでしょー。
──このテンポ感、スピード感がいいし、ギターが後ろでちょっとノイジーな音を出してまさに風の音みたいな。
NICKEY：あー、なるほど。ギターはLINA。「嵐の季節」も全然納得いく歌を唄えてなかった曲で。ずっと封印してたぐらいなの。CROSSとアコースティックでやったことあったかな？ それぐらいで。何かが良くないってずっと思ってたの。だけどこれはキーボード入ったら凄いポップになるんじゃないかって話して。
──ストリングスみたいなのも入ってる。
NICKEY：やってますね。元と違うからLINAも驚いたかも？（笑） これも生き返った曲ですね。
──元を活かす曲もあり、元に囚われない曲もあり。
NICKEY：ですね。2、3曲目ぐらいはとにかくポップに仕上げたし、勢い重視で歌も仮歌でOKって曲もある。今回、大口君が作った「CRAZY TROUBLE BOY」、あと「POWER & GLORY」は勢いでいっちゃおうってね。
──ポップでメロディアスでライブでも盛り上がる「BIG LOVE」がちゃんと入ってて嬉しい。
NICKEY：「BIG LOVE」はいつも通りにやろうって感じで。
──これやってくれるか！ って思ったのが「SOS」。泥くさい曲だよね～（笑）。
NICKEY：泥くさいでしょ（笑）。初期のナンバーでKEIGOの曲ですね。ARBっぽいでしょ（笑）。あたしは当時大嫌いだったの。あ、ARBがじゃないですよ（笑）。あたしには合わないなって。でも好きな人が多い。
──ARBのような曲をニッキーさんが唄うのがいいんだよね。
NICKEY：当時もそう言ってくれる人がいて。この泥くさいのをニッキーが唄うのがいいんだよって。今も泥くさいなって思うけど（笑）、みんなが好きならいいかなって（笑）。
──「DREAMS」はレアですよね。
NICKEY：以前はいつもライブでやってたんですけど最近はやってなくて。なんていうか、やり終えた感じがあったの。でもこの間ライブでやったんですよ。それで入れた。
──そしてアルバムのタイトルになった新曲「DISPERFECT DAYS」。これまでとちょっと違う、まさに新曲。
NICKEY：いいでしょ。新しいことに挑戦しました。
──UKロック、といってもモッズとかではなくて、ギターのフレーズとかオルタナな感じがする。
NICKEY：そうそう。80年代UKでメロディアス。CROSSが作ってきて凄いいいじゃん！ って。言ってしまえばパンクではない。パンクって何がパンクなの？ 何をパンクって言ってるの？ って思ってて。こうだからパンク、ああすればパンク、そういうルールがあるものじゃなく、自由なものじゃんって思っていて。今回この曲を唄えて凄い嬉しい。こういう曲をWARRIORSで唄えるのは意味があると思うしね。枠とか作らずにやりたいことをやる。長いことやってても新しいことをやる。それができたんだから。ただレコーディングはしたけどあたしの中ではまだ完成形ではないなと。
──それは「DISPERFECT DAYS」ってタイトルに通じるね。“DIS”って否定を意味するよね。
NICKEY：そうなんだけど、でもこの“DIS”は否定って気持ちは全くなくて。40年やってきて完璧なんてことはあり得ないって思ってるんですよ。完璧じゃないからこそいいんですよ、完璧じゃないから面白い。完璧じゃないからまだできる、続けていく。そういう日々の積み重ねだなと。
──可能性ってこと？
NICKEY：うーん、可能性っていうか、完璧じゃないそれ自体が素晴らしいんですよ。あたしは完璧って素敵だとは思わなくて。今作の話でも綺麗にまとめるのはつまらないって言いましたが、完璧じゃないことを楽しむっていうか。先日、昨年亡くなられたイラストレーターの穂積和夫先生の『追悼・穂積和夫の世界展』に行ったんですが、穂積先生は「オシャレは8割にとどめるのが品の良さ」っておっしゃっていた。それに通じるんじゃないかな。100%にしない。穂積先生はオシャレでダンディーだけど、なんかね、不完全を楽しめばいいって。世界は不揃いだから美しいって思うし。そもそも完璧なんてありえないんですよ。
──『DISPERFECT DAYS』はメンバーが流動的で、その人が持つ個性を音に出したアルバムだと思う。今の話と通じますね。
NICKEY：ですね。完璧に魅力を感じないし、完璧じゃないことはネガティブなことじゃないんですよ。
