鼻毛通知代理サービス「チョロリ」で、バズると仕事が来ることに気付いた
──そこでスイッチが入ったわけですね。
山根:これはゴミ袋を被っただけの「妖怪ごみあし」というキャラクターなんですけど、これを映像のアワードに出そうと思って。おもしろ映像の中でごみあしをやってたんですけど、このキャラクターが気に入って。しかもコスプレとして簡単なので何度かイベントでやったりとか。御堂筋を貸し切ってのイベントがあってそこでやったり、そのときはもうちょっと社会性を持たせなあかんかったんで、「ゴミはちゃんと捨てようね~」みたいなテーマをつけて、ウチらは遊びたいだけなんですけど。
──ゴミの化身みたいなテーマをつけて。
山根:そう、このキャラクターが気に入ったんで今でもやってます。最近、Instagramでアカウントもつくったんですよ。
──ちゃんと独り立ちして。
山根:「合体アートコンゴウ君」は当時アートストリームってイベントがありまして、天保山にあるアートミュージアムって美術館があったんですけど、みんなは普通自分が作った手作りアートとか、ポストカードとかを売るイベントだったんですけど、どうせやるんだったら変なことしようって、その場に持ってるもの2つを入れてくれたら、うちらがその場で合体させて口から出しますよ、みたいな。そういうパフォーマンスをやりまして、ここでうっかり賞を頂いて、これでも賞取れるんだと。そういうのを探り探りやっていた感じですね。で、梅田ロフト前でもやらせてもらったりとか、で、もらったものを人前でガンガン破壊してボンドで全部くっつけていって、一瞬で作品を作るパフォーマンスをやったりしてましたね。で、それっぽい名前つけるみたいな。こんなんばっかりなんですよ。
──膨大な作品の量ですよね。
山根:特にこのへんは作品ばっかり作ってるんで、異常に多いですね、いま考えると。
山根:これは此花区の空き家を活用したアートプロジェクトに参加したんですが、「コノハナクエスト」と言いまして、家の中全体をRPG風ドット絵にしまして、真ん中に画面が映ってるんですけど、人が歩くとこの中の映像も連動して動いて、その人がこれ見てるなと思ったらメッセージが出てくる。
──え、すごい。こんなのできるんですね。
山根:どういう仕組みでやってるかというと、僕が2階で見てまして、その人の動きに合わせてキーボードで操作するという、ずっとついてないといけないということですね。センサーとかAIとか使ってなかったので。このへんは今の作品作りに繋がっているような、デジタルはこういうふうに使えるんだ、プラス、インスタレーション的な仕組みを使った、というのがありますね。で、なんだかんだありまして、毎週のように花岡さんと企画会議やって、メモにバーッと書いて、何かこんなことしたいなというのがあったら作ってみる。とりあえずこのときにこれは花岡がやりたがったやつなんですけど、「妖怪タクシー」とかはバーっと作って1回走っただけでしたね。
──人を乗せて移動する車輪付き箱型の妖怪?
山根:そうですね。木の箱を作って、そこに車輪付けただけなんですけど。で、走るみたいな。
──なんなんすか? これ。
山根:前が見えなかったですね、これ。
──そうですよね。
山根:だから上に乗ってる人がちゃんと方向指示しないと動けない。だけど、コロコロがうるさいし、あんま聞こえへんということがわかった。作ってみないとわからないですもんね。邪魔やったんで、その日のうちに解体しました。このへんが「チーム人間」時代の作品ですね。で、さすがにこんなことばっかりやってて、30歳も近くなって、これをちゃんと平日にやりたいなと思いまして。
──ちゃんと仕事にしたいなと。
山根:そろそろ形にしたいなと、それで独立することになりまして。
──なるほど。
山根:僕はそれまでweb制作会社にいまして、デザインからwebのことまでいろいろできるようになって、花岡さんも途中でフリーランスになったんですが、真面目な職場でギリギリを攻めるディレクターとして実力をつけて。うちら2人ならなんとか食っていけるだろうということで独立しました。それで最初に出したのはこれなんですね。鼻毛通知代理サービス「チョロリ」。
──???
山根:これどういうサイトかというと、僕のバイト先での思い出なんですけど、同僚の女の子の鼻毛が出てたんですよ。それを直接言ったら怒られたんですね。なんで怒られるんだろう? と思って、じゃあもうちょっと安全に通知できるシステムがないかなと思って。いわゆるメールフォームを使って、名前とメールアドレスと、穴の右か左か、その人との関係性と、その人にどうして欲しいかを入れると、文章が自動生成されて送れますと。これがその当時のTwitterでバズりまして、会社になってからこれが初めてバズったんですけど、気付いたのはバズると仕事が来ると。