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INTERVIEW

トップインタビュー石崎典夫(ロフトトーク部門統括部長)の『関西カルチャーの気になる人に話を聞きたい』第1回「山根シボル(株式会社人間 代表取締役)」- 変な仕事を通して大阪から変な空気を作っていけたらいい

変な仕事を通して大阪から変な空気を作っていけたらいい

2025.09.02

 現在大阪に出張中の、ロフトトーク部門統括部長・石崎が、関西で気になる人にインタビューする連続企画(決して左遷されたわけではございません)。第一回目は、大阪で広告・webメディア中心に「何か変なことやっている人たち」株式会社人間さんにインタビュー。「株式会社人間」とは果たしてどんな集団なのか? 代表の一人・山根シボルさんと広報のはまだみかさんにお話を伺いました。(Interview:石崎典夫 / LOFT PROJECT)

「めざますテレビ」と「はじめてのクリック」で賞を穫り、自己肯定感が爆上がり

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──僕が今ちょっと大阪にヘルプで来てまして……大阪の知人とかに情報収集も含めて、いろいろ会いに行ったんですよ。その中で「株式会社人間」さんの話がすごいよく挙がってきて……。関西で活動するのであれば、まず挨拶に行ったほうがいいと思い、お話を聞きに来ました。でもホームページとか拝見したんですど、いまいち実態が掴みにくいですよね?

山根:ですよね、我ながら思います。イチから紐解きましょうか?

──お願いします!

山根:「株式会社人間」って会社になる前はチームとして活動してたんですが、HALっていう専門学校に入学した最初のクラスに花岡ってやつがいて、課題でちゃんと笑い取ろうとしてるやつおるなと思って話しかけたのがきっかけなんですよ。

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──同じボケてるやつがいると。

山根:それから学校の課題で一緒にふざけるようになって、その流れで放課後に花岡とホームページを作るようになったんですが、そのときの名前が「人間」なんです。専門学校の1年生からずっとやってるんで、もう出会ってから25年ですね。

──長いですね。

山根:いま年表見て気付きました。親よりも長く付き合ってる。

──会社にしたのは、どのタイミングからなんですか?

山根:29歳のときなんで、出会って10年後ぐらいですかね。学生時代はホントに不謹慎な作品ばっかり作ってて、今やったら炎上するんですけど、最初の人間のホームページこんなんやったんですよ。

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山根:チラシに落書き書いてそれを載せるとか、そのときFlashが流行ってたんですよ、それでコンテンツを作るとかをやってました。二人とも同じ就職先を探して、僕がデザイン志望だったんですけど、デザインが上手くなかったんで、家を作る会社に就職したんですけど、そのとき履歴書に「趣味はお笑い」って書いてあったんで、「お前ら会社説明会で漫才しろよ」って言われまして……。

──忘年会で何かやれみたいな。

山根:そのときに面白いからやろうと思って、花岡と2人で漫才やってどんずべりしたんですけど、その勇気に免じて入れてもらったみたいな感じで入りました。で、その会社がまた変な会社で、そこで会社って何やってもいいんだって学んだんですけど、まず机がなかったんですね。

──机がない?

山根:フリーデスク制っていって、いわゆる全部キャビネットと折りたためるデスクしかなくて……。朝来たらそのデスクを出してきて、自分の席を作って仕事するみたいな、毎朝隣に違う人がおるみたいな。

──へぇー。

山根:朝礼はwebカメラで映して世界に流すとか。あと趣味で留学の学校もやってるとか、自由放任な会社でしたね。でもその会社が2年ぐらいで傾くんですよ。

──傾いた。

山根:で、その会社を脱出してから本格的な活動が始まっていくんですけど、そのときに会社にいたのは1年ぐらいで、その後、花岡はその会社がやっている別の会社に行って、僕はweb制作会社に行って、ただ週末にみんなで集まって、作品を作るようになったと。そこから「チーム人間」時代が始まって。僕と花岡とプログラマーの河本と、3人で組んでいろいろ作ってました。

──遊びの延長みたいな感じで?

山根:そうですね、遊びの延長です。平日は働いて金曜の夜に集まって会議して作品を作るみたいなことをやっていたと。

──へぇー。

山根:そのネタを、さっき言った「人間」のサイトで公開していました。ドメインが「bokeru.com」だったんで「ボケるドットコム」って呼んでたんですけど。

──ボケルドットコム?

山根:もうサイトはFlashがなくなったので見れないですね……。冷蔵庫にいろんなコンテンツが貼ってあるというコンセプトでやってたんですけどね。そのときにいろいろ人を集めて、「関西ボケフェス」っていわゆる大喜利イベントですね、街中でボケるイベントをやったりとか、今のYouTuberっぽいことばっかりやってたんですよ。

──なるほど。

山根:「スポーツ花火2006発」は、2006発のロケット花火を買って、それ打ち合って遊ぶみたいな、今やったら絶対炎上するやつですけど。20年も前の話ですからね……。

──まだ穏やかな時代だったんですね。

山根:24歳の誕生日のときに、僕のお面をみんなに付けてもらって梅田を歩き回るとか、座布団でできるスポーツをみんなで考えたりとか、あと「めざますテレビ」は、さっき言った最初の就職先がwebカメラのシステムを持ってたんですね。当時、生配信ってめっちゃ珍しかったんですよ、それ借りれたから勝手に使って花岡が寝てる様を映すようにしたんですね。で、webサイトのボタンを押すと花岡の携帯が鳴るようにしてたんです。で、誰でも花岡さん起こせますよっていう遠隔操作ができる。画面上に「明日何時に起こしてください」って書いて寝る、それを半年くらいやってて。

──結構やってたんですね。

山根:あと花岡が手術することになって、入院中もやってました。そのときナースコール風にして。あと、リクルートさんが「1-click Award」っていうwebコンテンツのアワードをやってたんですが、それに毎年応募してまして、その1年目に、2つ作品を出したんですけど、それで1位と2位を取れたんです。それが「めざますテレビ」と「はじめてのクリック」って作品なんですけど。どっちもweb上のワンクリックで、どれだけ人の心を動かすかっていうアワードだったんですけど、こっちはワンクリックで人を起こせるシステム、こっちは初めておっぱいを触る人が、ワンクリックするまでの軌跡を追うという。審査員が大物だったんですよ。箭内道彦さんとか、kaibutsuの木谷さんとか、いろんな人がいて、自己肯定感が爆上がりしたんですよ、東京で大物に評価されたっていう。そういう意味では賞穫るって大事ですよ。

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▲めざますテレビ

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▲はじめてのクリック

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