Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー山岡トモタケ(FLAMYNGS)×山田将司(THE BACK HORN)- 新宿LOFT・Barステージでの"武者修行"弾き語りイベントもいよいよ佳境。自分らしい歌い方とは、歌を届ける、聴き手に寄り添う感覚とは何なのか

新宿LOFT・Barステージでの“武者修行”弾き語りイベントもいよいよ佳境。自分らしい歌い方とは、歌を届ける、聴き手に寄り添う感覚とは何なのか

2025.06.14

 バンド・FLAMYNGSではフロントマンを務める山岡トモタケ(通称・山さん)が月に1回開催してきた弾き語りイベント『One Loom - Premium -』もいよいよ佳境。新宿LOFT・Barステージで今春から月に一度のペースで出演順に、渡邊忍(ASPARAGUS)、稲村太佑(アルカラ)、藤井敬之(音速ライン)と、山さん曰く"憧れの先輩"を招いてのツーマンを開催してきた。アンコールでは"プレミアム"のタイトルにふさわしくこの日だけのセッションも飛び出したり、山さん自身が"武者修行"と言っている通りに修行ができているのではと思う。
 そんな山さんの武者修行、4人目にお迎えするのは、THE BACK HORNのボーカル・山田将司。バンドとして全国ツアー、さらに日比谷野外音楽堂でのライブも終了したばかりのタイミングでの登場である上、イベント出演等も含めて休む間もないほど歌う予定がぎっしり。ボーカリストとして日々マイクに向き合いまくっている山田と対峙する6月16日(月)、山さんは新たに何を得て何を感じるのか。ちなみに個人的には、タイトルの『One"Loom"』に山さんが託した思いにぴったりの真打登場と思います。その意味を対談を読み進めながら紐解いて、チケットも残りわずかのこの日に集え!(Interview:高橋ちえ)

大学時代はTHE BACK HORNのカバーでギターを弾いてました(山岡トモタケ)

山岡:山田さんにもこのイベントのタイトルを簡単に紹介すると、『One“Room”』ではなく『One“Loom”』なのは、新宿LOFTの“L”をかけているのと、“Loom”という単語に“酔いどれ”とかの意味があるスラングでして。

山田:おお、なるほど、なるほど!

山岡:お客さんも一緒になって皆で酔っ払いながら音楽を楽しみたいのと、音速ラインの藤井さんもそうですけど(笑)新宿LOFT出身の先輩たちって、酔っ払いでも音楽的にすごくカッコいい先輩たちが羽ばたいているイメージで。僕もそういう先輩に追いつけるように、なれるようにという希望を込めて。僕が大好きな先輩方とツーマンをさせてもらう弾き語りイベントが『One Loom – Premium –』です。

山田:ありがとうございます。酒という意味ではね、藤井くんではあると思うけど(笑)。山さんはね、俺の弾き語りを440(下北沢)まで観に来てくれてね。

山岡:それこそ僕は大学時代のサークル内でTHE BACK HORNのコピーバンドを代々受け継ぐというルールがあって、THE BACK HORNの曲をギタリストとしてコピーしてまして。4人のメンバーで、ボーカルの家でDVDを観ながら「ピンクソーダ」(1999)を弾いたり、10曲ぐらいはコピーをさせてもらってました。

山田:あはははは、そうだったんだ!

山岡:その後、WHITE ASHになってからはツアーでご一緒して。

山田:そうそう、2013年につくば(茨城)、山形、郡山(福島)と。MAN WITH A MISSIONとスリーマンで回ったのかな。

山岡:郡山のライブ後に打ち上げも完全に終わって解散した後、郡山のデパートのシャッターが閉まった深夜に、ベンチ前で山田さんと(菅波)栄純(THE BACK HORN/Gt)さんと僕の3人で缶ビールを飲んだんですよ。そこで音楽の話を熱く語った記憶がありまして。

山田:えー!?

山岡:「山さんは、そのままで良いよ」とか「カッコいいギターリフをずっと作り続けろよ」とか言ってもらった覚えがあって。そこから僕の意識もちょっとずつ変わっていった、そんな時があったんですよ。

山田:相当、酔っ払ってたんだろうな……ちゃんと思い出したい(一同笑)。ライブの打ち上げが終わってから栄純が外で飲むなんて多分、最初で最後かもしれないもん。栄純は本当に、山さんとギターの話がしたかったんだろうなと思う。

山岡:僕はそれが、すごく嬉しかったんです。そして今、僕は弾き語りを始めて、それこそ440で山田さんの弾き語りを見て。何て言うんでしょう……(かつての)思い出の涙と、そうではない違う涙が溢れ出た感じで。山田さんといま、絶対に弾き語りでご一緒したいと思って会場でお声をかけさせていただいて。今回、実現するのが僕は幸せです。

山田:山さんがライブを観に来るのは知らなかったけど、一番奥のほうに「何か、見たことのあるシルエットの人がいるな」とは思ってて(笑)。

山岡:チケットがあると良いなって思いながら、普通に当日券で行きました。それで(ライブ後に)お手洗いに行ったらたまたま、山田さんとお話しできて。

山田:そこで今回のツーマンに誘ってくれたんだよね。(バンドの)ピンボーカルと(弾き語りで)ギターを持って歌うのは全然違って。自分の呼吸で歌えるという弾き語りの良さはあるけど、本当に別物だから。山さんがコピーをしてくれていたり思い出があったりしたとしても、弾き語りとして今回、山さんが誘ってくれたのは、俺は単純に、嬉しかったな。

山岡:確かに、“自分の呼吸で歌う”という弾き語りの時は、THE BACK HORNのライブを観るのとは景色が違って感じましたね。

ギターを弾ける人が歌う歌、俺には気持ちいい(山田将司)

山田:俺が弾き語りを始めたのは14年ぐらい前なのかな。当時、事務所の先輩だったFLYING KIDSの浜崎(貴司)さんが誘ってくれたのが人生初ステージで。その後、東日本大震災もあって東北に弾き語りだと行きやすいのもあったし、ご時世的に弾き語りがちょいちょい増えていたのもあって。

山岡:そうだったんですね。

山田:俺は、弾き語りでしか見せられないこの呼吸感を絶対に大切にしたいと思ってて。自分の声というものとアコースティック・ギターしかないから、伴奏と歌(それぞれ)という存在ではなく、一心同体で空間を作っていく。その感じは、他の楽器や他のメンバーがいたりすると……テンポ感が云々とかではなく、どのタイミングでブレスをするのかとか。呼吸やギターを弾くタイミングも全部、瞬間瞬間に合わせて自分で作っていける。それは弾き語りならではの魅力だろうなと思ってて、大切にしたいなと思ってやっていて。

山岡:その感じは僕もライブを通して伝わってきました。バンドの時とは届く言葉がちょっと変わってくる感覚というか、歌詞の中で“ここのフレーズが響く”っていう瞬間があるんですけど、バンドの時とは違う言葉が刺さったりしたのは、ギターであったり呼吸の違いなんだろうなとは思っていて。

山田:そういうの、確かにあるよね。山さんはギターから、歌を歌おうと思ったきっかけみたいなものは何だったの?

山岡:WHITE ASHが2017年に解散して、でも音楽は続けたいなと思っている時に新潟のイベンターさんに「『RAINBOW ROCK』っていうサーキットイベントがあるから、山さん弾き語りで来なよ」って言われまして。

山田:おお(笑)、無謀だなぁ。

山岡:ですよね、全く曲もないのに。それで解散してから数カ月後の『RAINBOW ROCK』までに頑張って弾き語りの曲を4曲ぐらい作って、1人で行って。ライブはズタボロだったんですけど、歌い始めたのはそこからで。それで、曲とか自分の魂的なところをどうしたら良いんだろうと思った時、自分は福島出身だから東日本大震災であったりとか、自分の気持ちが素直に出せる部分を言葉やメロディにしたら歌えるかもしれないと思って。福島各地を周っていただいた言葉を曲にしたりし始めて。なので歌う(本格的な)きっかけは地元・故郷というところが大きいんですけど、音速ラインの藤井さんと対談した時(記事はこちら)「山さん、もっと明るい曲を作りなよ」って言われまして。ライブハウスではお客さんとハッピーになりたいですし、バンドはソロとは別な感覚で最近、バンドのほうではちょっとハッピーになれるような感じで(ライブを)作れるようになってきて。

山田:うん、いいね。踊れる感じの、ね。

山岡:そうやって歌うことをずっと続けてきたら、ギターも、歌うことも、楽しくなってきました。

山田:それは素晴らしいことだね。ギターを弾ける人が歌う歌っていうのはやっぱり良くて、聴いてて気持ち良いなと俺は思ってて。リズムの感じとかもそうだし、山さんの歌ってナチュラルで優しくて、綺麗な声で歌うけど、ちゃんと山さんっていう。俺が山さんという人間自体に感じてることだけど……自分からズカズカ行くような感じにはあまり見えないし、それこそこの前の俺ら(=THE BACK HORN)のライブも観に来てくれて挨拶しても「今度はライブでよろしくお願いします」みたいな感じで、タタタタって行っちゃう。だけど根っこには、このライブを観て感じたことを絶対に自分の血肉にするんだろうなという感じを強く受けると言うか。もちろんライブを楽しみに観に来てるけど、同じ音楽家として。経験としても学びにも来てるんだろうなっていう感じを、山さんからはすごく感じて。山さんの真ん中にはその真面目さとか真っ直ぐさが、ズドンとあるなという感じがあるよね。

山岡:メチャクチャ嬉しいです。

山田:それがそのまんま、ギターを弾いて歌う感じと歌の存在の仕方にも強いものがあって。故郷のことを歌ったりして声は優しいけど、強いものがすごくあるなと。何気ない日常でも美しいことをもっと感じたいっていうその雰囲気、そしてその、強さみたいなものが。すごく魅力的だな、と思います。

山岡:ありがとうございます……。あの場では確かに感想はあまり言えなかったんですけど、長くならない程度に松田(晋二/Dr)さんには連絡しました(笑)。

山田:あ、本当?(笑) どんな?

山岡:あの日はTHE BACK HORNのメンバーは皆それぞれが言霊を持っていて、その言霊がかたまりとして飛んでくる感覚がすごくあって。新しいアルバム(『親愛なるあなたへ』/1月29日リリース)も今までにないことにチャレンジしながらも、僕は新曲を聴いたライブの中盤ぐらいから涙が止まらなくなって。新曲で泣けるというのは自分の中で思い出ではなくて、今のTHE BACK HORNの音で泣ける感覚なんだなと。バンドって(結成から)27年経ってこんなにも、ずっと進み続ける進化というものができるんだ、って。

山田:わぁ、嬉しい。ありがとうございます。

山岡:僕は今バンドでフロントマンもやっていて、こんなに大変なんだとすごく感じてもいるんですけど(笑)、純粋にこういうバンドになりたいなって。THE BACK HORNはそれぞれが歌詞も曲も書いて、メンバー皆に主張がある。それで成り立っているところも魅力的だと思うんですけど、楽曲を全員が作る作らないではないところで。僕らも、それぞれが持っている言霊であったり思いが、かたまりになるようなバンドになりたいな、と。すごく思いました。

このアーティストの関連記事

山岡トモタケ from FLAMYNGS
『One L/Room』

ライブ会場限定CD
*デジタルリリースも同日解禁
発売日:2025年3月26日(水)
発売元:Yohaku Records
定価:1,700円(税込)

iTunesStoreで購入

【収録曲】
1. 相変わらず
2. 無力
3. Overlap(#11)※CD Only

LIVE INFOライブ情報

山さん山田.jpg

山岡トモタケ×BAR THE LOFT presents『One Loom - Premium -』
【日程】2025年6月16日(月)
【時間】開場19:30 / 開演20:00
【会場】BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
【チケット】前売一般¥4,000 / 前売学割(20歳以下)¥2,000 / 当日一般¥4,500
LivePocketにてチケット販売中
【問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 

OneLoom差し替え.jpg

山岡トモタケ×BAR THE LOFT presents『One Loom - Premium -』
2025年3月26日(水)▷6月8日(日)昼帯に延期|BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
*公演終了
 
2025年4月17日(木)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
*公演終了
 
2025年5月22日(木)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
*公演終了
 
2025年6月16日(月)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
LivePocketにてチケット販売中
 
2025年7月9日(水)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
LivePocketにてチケット販売中
 
※全日程:開場19:30 / 開演20:00
※6月8日(日)振替公演は開場12:00 / 開演12:30
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻