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INTERVIEW

トップインタビュー山岡トモタケ(FLAMYNGS)×山田将司(THE BACK HORN)- 新宿LOFT・Barステージでの"武者修行"弾き語りイベントもいよいよ佳境。自分らしい歌い方とは、歌を届ける、聴き手に寄り添う感覚とは何なのか

新宿LOFT・Barステージでの“武者修行”弾き語りイベントもいよいよ佳境。自分らしい歌い方とは、歌を届ける、聴き手に寄り添う感覚とは何なのか

2025.06.14

“自分らしい”歌い方であったり弾き語りってなんだろう(山田将司)

山岡:その時のTHE BACK HORNのライブで、岡峰(光舟/Ba)さんが“わりと新宿LOFTに入り浸ってた”的なMCをされていて。あの話、面白かったですね(笑)。

山田:光舟が確か2001~2002年ぐらいまで新宿LOFTで働いてたのかな。BARスペースのほうで働いてたから、俺も入り浸ってたことがあるんだよね。「山ちゃん、飲め飲め!」って、たまに甘えてご馳走にもなったりして(笑)。

山岡:僕もLOFTの方に聞いたことはあったんですが、(THE BACK HORNが)27年経って、しかもZepp Shinjukuでそんな話を聞くのも何だか特別だなと思って。今、僕はLOFTが弾き語りでお世話になれている場所で、なんだか繋がっている感じもありましたし。そのライブを観に行く前のお昼に、延期になった音速ライン・藤井さんとの弾き語り公演があったんですけど、藤井さんとのライブも特別でアンコールでボロ泣きしちゃったし、THE BACK HORNも自分にとっては特別だし。福島つながりでこんなに感動できる1日ってあるんだなと。

山田:そんな日だったんだ。それも歌舞伎町のど真ん中でね(一同笑)。でも俺は今回、LOFTに行くのもライブをやるのもかなり久しぶりだなぁ。LOFTはインディーズで出した「風船」(2000)っていうシングルのレコ発で初めてワンマンをやって。メジャーデビューしてからもLOFTは俺らにとってはホームみたいな場所で。水戸のバンド・COCK ROACHと企画をやったりもしたし、LOFTには出演しまくってたので。俺も楽しみだけど、お客さんも楽しみにしてくれてるんじゃないかなと思いますね。

山岡:そうですよね、お客さんも楽しみだと思います。

山田:東日本大震災の後に、水戸ライトハウスの店長・稲葉(茂)さんと茨城の食の風評被害をなくすために『よかっぺBAR』っていうイベントを数回やらせてもらって。茨城の食材を使った料理を提供しながら俺と稲葉さんがバーカウンターに入ってお客さんにお酒を作って、ホールのステージではライブをやって、っていうのをオールナイトでやった時もありましたし。結構、新宿LOFTにはお世話になってますね。

山岡:へぇー! そもそも山田さんは、BARのほうでライブをやったことはありますか?

山田:もうわかんないな……ライブの打ち上げをLOFTでやった時、その場にいる人たちと流れで弾き語りをやったような記憶はあるけど、ちゃんとライブとしてやったことはなくて、初めてかも?

山岡:これまでご一緒してきた3人の先輩方は全員が憧れの先輩ですけども、皆さん色が違うけども近い感覚がどこかにあるなという不思議な感じを受け止めていて。ライブで向き合って、それを壊して立ち上げるのを繰り返して糧にしてるんですけども、アルカラの太佑さんとご一緒した時は「ライブで影響を受けすぎて、本来の自分が出せなかったんじゃない?」とLOFTの方に言われて。残り2人の先輩とご一緒して、山岡トモタケという自分が、もっとでき上がっていけるように頑張りたいなと思っています。

山田:そうか、自分か……。自分らしさって何なんだろう、と思って。俺はやってるもん。

山岡:え?

山田:俺らしいっていうのを、自分ではあんまり自覚してなくて。この曲がうまく歌えたら良いなとか、そういうことばっかり考えてて多分……ダダ漏れしちゃってるんだろうね(笑)。

山岡:意識せずとも山田さんから溢れまくっているもので、ライブを観てる皆が溶けていく感じになってるのはあるかもしれないですね。

山田:俺は、無自覚かもしれないなぁと。だから脆いっちゃ脆いのかなぁ。THE BACK HORNのボーカルとしてもずっとそうだし、ボーカリストとして自分のスタイルを作り上げてきた感もなくて。曲によって表現したい世界観が違うのに、曲によって気持ちも変わるから声も変わるだろう、みたいな感じが昔から強かったから。「腐って死ね」みたいな曲を歌う時の声と、横に寄り添って「大丈夫」っていう曲が絶対に同じ声になれるはずがない。それは同じ、人としての感情ではあるかもしれないけど、横に寄り添ってる時に「腐って死ね」みたいな口調にはならないし。だから本当に会話、話すような感じで思いを伝える、そういうことかなと思ってて。自分は歌い方に“自分らしさ”というものがない、それが弱いなと思ってて。俺が弱いって話になっちゃって申し訳ないけど(笑)。でもそうやって、やって来たこの感じが自分なんだなと。自分を慰めてる感じがあるかな。

山岡:曲や言葉に寄り添う感覚って、できるようでできないと言うか難しいと思うんです。THE BACK HORNは、栄純さんが書いている歌詞であったり松田さんが書いていたり、岡峰さんも書いていたりしますし、曲に寄り添うというのがまさに答えなのかな、と。それこそがTHE BACK HORN・山田さんになっている、としたら。弾き語りを観た時にすごく、THE BACK HORN愛というものを感じたんですよね。歌の力とか曲の力って言葉にするのは難しいですけど、山田さん一人で、自分の呼吸でTHE BACK HORNを歌っていても、メンバーが見える。そういう感覚になったんです。

山田:おおー、嬉しい。そういうこと、違う人にも言われたことがあるのよ。

山岡:山田さんの弾き語りは、バンドとはまた濃さが違う感覚があって。だから届いてくる言葉も違ったのかなと思って受け止めたんですけども。届く、という意味では自分の中では、良いライブをしたい欲と、届けたいという欲と。そういうのが強すぎるのかもしれないです。前に別のインタビューでも話したんですけど、千葉LOOKのサイトウ(ヒロシ/店長)さんに「お前は伝えたいのが強すぎて、届いてないんだよ」って言われたことがあって。

山田:深いね、それはすごい。その言葉は刺さるなぁ。

山岡:自分の中で伝えたいことが、押しつけになっていたら。いや、なっちゃっていたのかもしれないとハッとしまして。届けるというのは、届けたいことを糧にして、目の前にいる人の何かに寄り添える感覚。それが届けるということなのかなと思って。僕もちゃんと届けられる方向に向かいたいですし。

山田:伝える、っていうのはこちら側の視点・視線のものでしかないからね。相手がいて、っていうこと、相手がいるから届くことになるんだからね。当たり前の話だけど。

山岡:山田さんの弾き語りもTHE BACK HORNというバンドでも確実に、届いてる感覚があったから。僕も(弾き語りでもバンドでも)、そうなりたいなと思ってます。ツーマンの時にガツンと音楽でぶつかれば良いのに、その前にいろいろと話したいことを喋っちゃって申し訳ないです。

山田:いやいや、(話せて)良かったよ。

山田将司&山岡トモタケでコラボします!

山田:ところで、今までツーマンした相手とは一緒に何かしてるの?

山岡:アンコールでカバーをやっていただいています。忍さんとはスピッツと安全地帯のカバー、太佑さんとはCHAGE and ASKAが好きなのもあって「WALK」をカバーしました。

山田:うわー、それは良い曲を選んでるけど、弾き語りでやる曲じゃないよ(笑)。

山岡:太佑さんは全然できてましたけど、確かに難しすぎました(笑)。この前の藤井さんとは、WHITE ASHが解散した時に僕の心の支えになった音速ラインの「ありがとね」(2013)っていう曲があって。どうしてもこの曲をやらせてもらっていいですか、ってお願いしてやっていただきました。今回もし可能であれば、僕は山田さんと……THE BACK HORNの曲をやりたいなと思っていて。

山田:もちろん、もちろん! それで行きましょう!

山岡:曲もリクエストがあって……「夏草の揺れる丘」(2002)を。

山田:おっ、キター!(笑)

山岡:大学時代にギタリストとしてコピーした1曲でもありますけど、今聴いても改めてすごい曲だなと思ってますし。この曲に福島の景色も見えるし、心の拠り所といいますか。

山田:やりま……しょう、って、俺がやれるかな? って感じだけど(笑)。

山岡:僕はギターを弾くだけでも一緒に歌わせていただくことも、いかようなパターンでも大丈夫なように準備をしておきますので!

山田:じゃあ、当日のリハ前とかにちょっと話して、諸々は決めましょう!

山岡:この日は、大学でコピーを一緒にやってたメンバーとか、THE BACK HORNのコピーをやってた先輩も仕事を休んで観に来るって言ってました(笑)。大学時代の仲間にこんなステージを見てもらえるのが僕は、すごく嬉しいです。

山田:そうだよね、でも……マジか。プレッシャーになってきた。俺もこの日、頑張らないとな。野音でワンマンをやった2日後で身体がバッキバキだと思うから、早めにLOFTに行って飲んで、いい感じにほぐしておこうかなと。『One“Loom”』に出る人間として、しっかりそうしないと失礼でもあるしね(一同笑)。

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山岡トモタケ from FLAMYNGS
『One L/Room』

ライブ会場限定CD
*デジタルリリースも同日解禁
発売日:2025年3月26日(水)
発売元:Yohaku Records
定価:1,700円(税込)

iTunesStoreで購入

【収録曲】
1. 相変わらず
2. 無力
3. Overlap(#11)※CD Only

LIVE INFOライブ情報

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山岡トモタケ×BAR THE LOFT presents『One Loom - Premium -』
【日程】2025年6月16日(月)
【時間】開場19:30 / 開演20:00
【会場】BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
【チケット】前売一般¥4,000 / 前売学割(20歳以下)¥2,000 / 当日一般¥4,500
LivePocketにてチケット販売中
【問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 

OneLoom差し替え.jpg

山岡トモタケ×BAR THE LOFT presents『One Loom - Premium -』
2025年3月26日(水)▷6月8日(日)昼帯に延期|BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
*公演終了
 
2025年4月17日(木)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
*公演終了
 
2025年5月22日(木)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
*公演終了
 
2025年6月16日(月)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
LivePocketにてチケット販売中
 
2025年7月9日(水)BAR THE LOFT(新宿LOFT内)
LivePocketにてチケット販売中
 
※全日程:開場19:30 / 開演20:00
※6月8日(日)振替公演は開場12:00 / 開演12:30
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