BorisとCOTDの海外ツアー
──ありがとうございます。ところで、先ほど清春さんとのオーストラリアツアーの話が出ましたが、実際に行ってみてどうでしたか。
Atsuo:清春さんも何度も「海外の洗礼を受けた」と口にしてたし、僕らもロックスター清春さんの洗礼を何度も受けましたね。面白かったです。やっぱり、言葉が通じなくても会場を巻き込んで場をヴィヴィッドにしていく清春さんの存在感が凄かったし。やり方は全然違うけど、場を高みに導いていこうとする在り方がお互いに良かったですね。
──持ち時間はそれぞれどのくらいでしたか。
Atsuo:うちらがアンコール込みで70分。清春さんが60分でした。それで、お互いに1曲ずつ参加しあって。
──清春さんのセットは今回はどんな感じでしたか。自分が昨年4月に新宿でソロ公演を観た際は、ストレートな歌ものと凄まじいジャム展開が自然に入り混じる構成になっていましたが。
Atsuo:ジャムっぽいというのも違うんだけど、その場の人を巻き込んでいくようなアプローチは増えてたね。初めて観る現地のお客さんを相手にするということもあって。ロックのオマージュみたいなのも入れながら、コールアンドレスポンスしていったりとか。ツアーの中で作っていく感じはありました。セットリストも一応組むんだけど、ライブ中に変えてたし。信じられないことをやってる感じでしたね(笑)。
Takeshi:周りもよく対応できるよね。
Atsuo:バンドも凄かった。それで、清春さんは、慣れみたいなことを嫌っているところがあって、その場その場で反応して、その瞬間、瞬間どうするかということをずっと判断して行動している。本当に凄かったですね。僕らは逆に、徹底的に練習するんですよ。リハを。何も考えなくても演奏できるくらいまで練習して、本番でその場に起こることに集中する。どちらも今を大事にしてるんだけど、やり方が全然違う。すごく面白かったですね。
──納得です。ところで、DEAD ENDの「冥合」を一緒に演奏されていましたが、これはどういった経緯で決まったのでしょうか。
Atsuo:僕らはMORRIEさんを介して出会ったので、やっぱり共演するならこの曲だなと思いました。
──名曲ですからね。日本でも観たいので、ぜひやっていただきたいです。
Atsuo:ぜひ観にきてください。(11月30日と12月1日に川崎、12月4日に梅田での対バンを開催予定)
──ちなみに、ツアー中の生活で特に印象的だったことはありますか。
Atsuo:清春さんが僕らのペースによく合わせてくれたな、というのはありましたね。こんなに毎日ライブやる生活に。本当にやり方が違うから。僕らはどんな状況でもある程度のアベレージで演奏できるようにするやり方なんだけど、清春さんは環境から良いものを作って、さらに良いライブをしていこうというやり方なので。それが、僕らのやり方に合わせてくれた。実際トラブルも多かったからね。その中で最後までやってくれたのが本当にありがたかったです。
──そういったお話も踏まえた上で伺うと、DEEPERSと一緒に海外ツアーに行かれるとしたらどうでしょう。やっぱり海外は行かれたいですか。
NARASAKI:もちろん。だけど、途中でドロンするかもしれないですね(笑)。すいません、もう立てませんみたいな。
一同:(笑)
──行くとしたら、最初はアメリカでしょうか。それともヨーロッパか。
Atsuo:清春さんとオーストラリアに行ったのは、ビザとかいろんな問題も鑑みてそこが手始めにやりやすいという判断に至ったからで。なので、やるんだったらヨーロッパかオーストラリアかな。アメリカはビザとかいろいろ面倒なので。
Takeshi:あと、期間的にね。アメリカはやっぱり長くないと。
Atsuo:準備の段階でもハードルが高いのはアメリカかな。
NARASAKI:途中で書き置きして「やっぱり帰ります」みたいな(笑)。Melvinsとのツアーのスケジュールを見て「うわー!」って思ったね。
Atsuo:数々の人体実験を通過してきましたからね。自分たちの体で(笑)。DEEPERSの場合は、イヤモニなども含めて裏方のサウンドシステムが複雑なので、あれを海外のいろんな会場でやるのは結構ハードルが高い気もする。
NARASAKI:だからそれ用に洗練させるというのもありますね。もっとコンパクトに、パッと出てパッとできるように。
Atsuo:そうじゃないと厳しいかもしれないですね。
──セトリはどんな感じになるでしょうか。どのアルバムから選曲するとか。
NARASAKI:1stアルバムをリアレンジして出したのも(『REVENGE OF THE VISITORS』2021年)、ツアー用に考えていた面もありましたね。小さめの編成でできるように。それが、コロナで流れたという。
──本当に実現してほしいですね、海外ツアー。海外から日本の音楽を掘っているようなマニアも、DEEPERSの音楽に直接触れる機会がないからうまく掴めていない文脈みたいなのも少なからずあると思うんですよ。なので、向こうの音楽ファンの人たちからしても、すごく来てほしいんじゃないかと思います。
NARASAKI:うん。Bandcampを勧められて始めたら、意外に支持があるなという手応えもありました。
Atsuo:普通はあんなに一気に増えないですよ。フォロワーとか。
──海外の音楽ファンの人たちも、日本の人たちが思っている以上に、Rate Your Music(通称RYM。ユーザー投票スコアのAverageは3.5を超えていたら高得点の部類で、DEEPERSのアルバムは大半がそこに該当)など経由で「日本のバンドで凄いのは何か」みたいな共通認識を得ているので。Bandcampを始めたことで、これからどんどん広がっていくんじゃないかと思います。フィジカルを手に入れたい人も多いでしょうし。
NARASAKI:なんかね、単純に嬉しいですね。わざわざ買ってくれるというのがね。励みになります。