メンバーがのびのびやってると、お客さんも集まってくる(とだげんいちろう)
──で、そこから1年経ちましたが。この1年は、いかがでしたか。
カニ:ライブは減りました。やりすぎだと思って。なんか、おかしいじゃないですか?
──(笑)いや、僕もおかしいと思ってたんですけど、メンバーがそうしたいんだろうな、と。
カニ:いや、断ってたライブも何本もあったんですけど、厳選してもあのぐらいの本数になっちゃっていて。誘われまくってたんですよね、単純に。で、「ここに出るのに九州に行くなら、こっちにも出よう」とかやってるうちに、月に12本とか15本とかになって。けど、ずっとそういうスケジュールでライブをやりまくっていくと、精神がすり減っちゃう。自分の無意識の中で、1本のライブの価値がどんどん下がっちゃう。これは良くないな、と思って。今もいっぱい誘われるんで、とだげんが厳選してくれているんですけど。
とだげん:もう友達のイベントか、誘われたときにハッと心が動くイベント以外は断るようにして。それでやっていく中で、1本1本が密なイベントというか、心の距離が近いイベントが増えた。出演者とも、主催の人とも。だから、自然といいライブをやれることが多くて。
カニ:いっぱいやってた頃は、対バンとか、主催とか……音楽に対して全然誠実じゃない人もいっぱいいたんで。すごいむかつくこともあったんですけど。今はまったくないので。
とだげん:そういうふうに、メンバーがのびのびやってると、お客さんも集まってくる感じはしていて。今、ちょっとずつだけど、お客さん、増えているのがわかるので。だから、いいペースなのかな、という気はしています。
カニユウヤ(Gt.)
大武茜一郎(Gt.Vo)
──最新アルバム『ナチュラル・ボーン』は、突然少年に戻るタイミングで出そうと?
とだげん:いや、そこ、曖昧でした。初恋のファーストアルバムにするのか、突然少年に戻ってから出すのか。そもそも、突然少年に戻るかどうかも……そのまま初恋でもいいんじゃないか、という考えもあったので。
茜一郎:2022年の3月に、大阪でレコーディングを。ファーストアルバムを録ってくれた人にお願いして。どう出すかは、録っている段階ではまだ決まっていなかった。でも、それまで録ったどの作品よりも、自然体でレコーディングに臨めた感じはします。
──このアルバムのリリース・ツアーで、各地を11本回ってみての手応えは?
茜一郎:それまでライブが多くて、年中あちこちに行ってたから、わざわざ「ツアーです」って銘打ってやることが、意外となくて。結成10年目にして初めてそれができた。そうやった意味が、ちゃんとあった気がします。
とだげん:お客さんも一番来たんじゃないかな、今までの中で。ちょっとオーバーに盛って「初ワンマンツアー」ってコピーを付けて情報を出したので。厳密に言ったらワンマンじゃないんですけど、でも、それも効果があったのかな。昔来てた人たちがまた来てくれたり、新しいお客さんも来てくれたり。
茜一郎:僕は、「突然少年ってなんだろう?」っていうことを考えながら、回っていた気がします。10周年で、しのけんが入って、突然少年に戻って、広範囲でツアーを回って、そこに集まってくれるお客さんたちがいて、その人たちの前で、ライブをやりながら……考えましたね。突然少年ってどんなバンドなんだろう、なんなんだろう、自分にとってどういう存在なんだろう、とか。べつに答えが出た、とかでもないんですけど。