この1年、バンド名を「初恋」に変えて活動してきたが、今日から「突然少年」に戻すこと。サポートドラマーのピエール畳(篠原賢)が、正式にバンドに加入したこと。それまで所属していたマネージメントとも、メジャーレーベルとも離れて、DIYでやっていくこと。
以上の3つを、2022年6月1日の下北沢シェルターでのワンマン(コロナ禍の規制下での限界値くらいの満員だった)で、発表した突然少年。それ以降の1年で、彼らはニューアルバム『ナチュラル・ボーン』を発表し、そのリリースツアー(全国11本)を回り、ファイナル公演を収めたライブアルバム『The Meeting Place 20230324』を、6月30日にカセットテープ(ライブ会場限定発売)と配信でリリースする。
というタイミングで、ここまでの突然少年の5年間をふり返るインタビューを行なった。ファンの方はもちろん、まだこのバンドにぐっさりやられていない方も、これを機に、彼らの音やライブに触れてもらえれば、と、切に願う。(Interview:兵庫慎司 / Photo:杉本根人)
契約満了までは突然少年という名前で活動できなくて、「初恋」に変えた(カニユウヤ)
──まず、一時期、メジャーのレーベルと契約して、リリースをしていましたよね。
とだげんいちろう(ベース / 以下、とだげん):はい。フジロックのレッドマーキーに出たとき(2019年7月26日)、そのレーベルの人が初めてライブを観て、突然少年をやりたいと思ってくれたみたいで。
大武茜一郎(ボーカル&ギター / 以下、茜一郎):その直後に、初代のドラマーが脱けて、「どうしよう?」っていうときだったんですけど。でも、とにかくこのバンドの活動を止めないっていうことに、すごく躍起になっていたので。じゃあCDをリリースしよう、と言っているときに、そのメジャーから話があって。
──で、契約したと思ったら、2020年から世の中がコロナ禍になって。その年の9月にシングル「ボール」、10月にアルバム『心の中の怪獣たちよ』を出しましたけど、その後、レーベルも事務所もやめたわけですよね。
とだげん:はい。契約してから、突然少年の活動をどうしていくのかとか、そういう話を、レーベルのスタッフとマネージャーが決めるようになって。そのミーティングに参加させてくれないというか、ふたりで話がどんどん進んでいくようになって、「決めるときに自分たちが入っていないのはまずい、このままだとやらされている感じになってしまう」と思って。だからいったん離れたい、という話をしました。レーベルもマネージメントも、どっちも離れないと意味ないなと。マネージャーとは長かったし、大きな決断ではあったけど。
カニユウヤ(ギター / 以下、カニ):で、契約満了までは、突然少年という名前で活動しちゃいけないというのがあったらしくて。それで名前を「初恋」に変えて、しのけんが入って、契約期間が終わって半年後にバンド名を戻した。
──しかし、しのけんさん、そんなときによく正式加入しましたね(笑)。
ピエール畳(ドラム / 以下、しのけん):(笑)
とだげん:「こんなタイミングなんだけど、ほんとに入って大丈夫?」って訊いた気がする。
ピエール畳(Dr.)
──最初はどう知り合ったんですか?
しのけん:2019年に初代のドラマーがやめて、サポートドラマーを募集してるのをツイッターで見て、俺が応募して──。
とだげん:応募してくれた中から、良さそうな何人かに、何本かずつ叩いてもらって、メンバーを決める、ということをやっていたんです。
しのけん:それで10日くらいのツアーに行って、そのあと(岩本)斗尉が入ったんですけど。で、2020年の冬に……それまでは埼玉に住んでたんですけど、東京に引っ越して、とだげんとまた交流を持つようになって。「斗尉がいなくなっちゃうから、もう一回サポートで叩いてほしい」と言われて。
──サポートをやって、一回落とされてるんですよね。斗尉くんが選ばれたんだから。
しのけん:そうですね。
──なんで落としたんですか?
とだげん:うますぎたんです、演奏が。
とだげんいちろう(Ba.)
──(笑)
とだげん:これは自分たちと釣り合いが取れてない、自分たちが負けると思って。でも、そこから1年経って、また音を合わせてみたら、いい感じで。だから、その1年の間に、自分たちが、ちょっとしのけんに追いつけたんじゃないか、と思うんですけど。
しのけん:僕は、突然少年までは、バンドとかやってなくて。音楽の大学に行って、ジャズドラムを学んで、卒業してから、いろんなジャズのライブハウスで叩いたりとか、人のサポートとか、レコーディングとか。だから、違うフィールドに飛び込んだ感じでした。
──じゃあドラムが仕事になってたんですね。なのに、なんでわざわざ?(笑)
しのけん:ロックバンドでドラムを叩いてみたい、というのは、ずっと思っていたので。