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LONE 主催『BKB vol.1』で"ただ音が大きいだけではない"爆音系バンドが一堂に会したSHELTERの熱い夜

2023.05.06

 大阪を中心に活動する4人組ロックバンド・LONE(ロン)によるライブイベント『BKB vol.1』が、2023年4月8日(日)東京・下北沢SHELTERにて開催された。この公演のタイトルを目にしたとき、きっと誰もが一度はこう思ったのではないだろうか。「“BKB”って何?」
 
 まず一番手として登場したのは、シークアル
 昨年5月に“アバランチ”から改名し、新しく始動。「君が死ねない理由の一つになるバンド」とその在り方を掲げ、東京を中心に大阪や甲府など、各地で精力的に活動している4人組ロックバンドだ。LONEはかねてより交流があり、彼らの改名にも対バンというかたちで立ち会っている。
 

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 そのアバランチ時代からの代表曲「五月になるまえに」で、この日のライブはスタート。ボーカルとギター、メロディーラインの表現力が高いのはもちろん魅力的なのだが、ベースとドラム、リズム隊の安定感がそれを支えていて、演奏力の高さを感じずにはいられない。Vo&Gt.千野洋平の歌唱力も相まって、多くは語らずとも観客は楽曲の世界観に引き込まれていく。
 MCでは千野から「“BKB”、爆音系バンドということで、呼んでくれてありがとうございます」と盟友LONEへのメッセージが。ここで“BKB”の意味を知った観客も多いだろう。「そんなに音量大きいかわからないですけど、感じてください」と、その後も「N・O・T」や「気が狂れる」といったライブチューンに、ミドルバラードの「クチナシ」など、ライブハウスという限られた空間の中で、シークアルの世界観を余すことなく表現していった。
 たとえば桜の花を見て去年の春を思い出すように、自分たちの音楽が、日々の生活の中での一つのツールになれたら、と話す千野。ラストソング「オリオン」では、会場の照明によって星空が作り出され、フロアをやさしく包み込んだ。千野の気持ちのこもった歌声は、多くの観客に強く印象を与えたのではないだろうか。
 

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 続いて登場したのは、Large House Satisfaction
 ステージ転換後のサウンドチェックから会場は熱量が高く、準備万端という雰囲気の観客にVo&Gt.小林要司が声をかけ、そのまま一曲目「LEAD YOUR OWN LIFE IN GOOD FACE」に突入する。この日は「ドッグファイト」や「偉そうにすんな」など、これぞ爆音系バンド、と思わせるハードなサウンドの楽曲が中心だった。観客はリズムに、声に合わせて、拳を上げ体を揺らす。「音がでかいっていうのは、うるさいって意味じゃない」と、“爆音”についてMCでも言及されたが、まさにそのとおりだ。体を震わすような音圧、耳を突き刺すような演奏、荒々しい歌声が、会場の熱気を高めていく。
 

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 フロントの二人が実の兄弟ということで、その掛け合いや、尖った発言の多いMCもLarge House Satisfactionの持ち味の一つかと思うのだが、この日もたびたびフロアでは笑い声が上がっていた。ライブ後半、観客によるシンガロングシーンでは「(それくらいなら)俺のほうがかっこいいわ」と観客を煽る小林要司。コロナウイルスによる制限で、長いあいだ禁止されていた観客の声出しが解禁された今、メンバーと共に歌えることはもちろん、こうして煽られることも、観客にとっては大きな喜びであるに違いない。
 

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 最後は今後の展望も少し話しつつ、物販でのCD販売やサブスクでの音源配信についてPRしたものの「CDにもサブスクにもない曲をやって終わります」と、あくまで自分たちのやり方でライブを締め括った。またライブハウスで、ということなのだろう。
 
 そして、いよいよLONEの登場だ。
 2020年に発表したアルバム『ラウンドエンドランドリー』から「ヰタ・ヒエロファニー」の印象的なイントロに始まり、Vo&Gt.毛利翔太郎による開幕の合図で、会場は一気にLONEの世界観に包まれる。続いて「アディラート」では観客が音に合わせて体を揺らし、「スプリットシングル」ではメンバーと共に声を上げて歌い、会場の一体感は高まっていく。
 

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 ところが、ここでリードギターに機材トラブルが。Ba.牛首の「BKBというタイトルを考えたのは山本くんなので、山本くんを褒めてください」というコメントに「違うんですよ! 違うんです!」と言い訳をしたそうなDr.山本浩之──というなごやかなMCのあいだに解消すればと思われたが、長引きそうな雰囲気を察した毛利が「なんか歌おか」と、即興でこの日の予定になかった「イエスタデイを」などを披露する。その後トラブルは解消されたのだが、再開するまえに毛利から観客へメッセージが。これがとても印象深かったので、一部ではあるがここで書き記しておきたい。
 
 「バンドって大変やなぁ。なんで続けてんのか、もうわからへん。(中略)さっきも歌いながら思ってたんです。長い時間かけて、昨日の夜から出て、朝着いて、車でみんなで寝て、パーキングエリアのシャワー浴びて、ここに重たい荷物運んで、リハーサルして、ご飯食べて、今ここに立って。すごい時間をかけて、この40分、45分、1時間、そのために来てます。なんでなんやろうなって、いつも、出番まで思うんです。でも、こうやってみんなの前に立たせてもらって歌ってると、なんでなんやろうな、なんて、この瞬間だけは本当にまったく思いません。(中略)この中で、僕が一番音楽が好きです。でも、みんなもそうやと思う。こんな非日常なライブハウスっていう空間に、わざわざ時間を割いて足を運んで、今日のLONEのライブを見に来てくれている、みんなもほんとにそうやと思う。いろんな音楽との出会い方があってここまで来てると思うけど、何か生活に影響がなかったら、こうやって来てもらえないと思っています。だから、僕たちの音楽も、しっかりと届いていると思っている。(中略)今僕がここに立てているのは、ここにいるみんなが、いつも会いに来てくれるからです。だから、今日も来てくれてありがとうございます。こんなにいっぱい喋ってしまって申し訳ないですが、残り、短い時間、真剣に、精一杯歌いますので、どうか楽しんでください。そして、また必ず、会いに来てください」
 
 観客からの大きな拍手に包まれる中、披露されたのは「幸福の奴隷」。真摯な言葉を受けたあとでは、切ない歌詞とメロディーがより強く胸に刺さるようだった。多くの観客がその歌声、演奏に聴き入り、再び会場の一体感が増していくのを感じた。その後も「ワンダーアンダーテイカー」「夢の中の幽霊」とお馴染みのライブチューンで、観客をLONEの世界観へ深く引き込んでいく。
 

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 まだ足りない、と言わんばかりのアンコールに応え、人気曲「テロルチョコ」「マリッジグルー」の2曲を披露し、会場の熱気は冷めないまま『BKB vol.1』は幕を閉じた。
 
 爆音とは、ただ音が大きいだけではない。まさにそれを体現するような3バンドとの熱い夜は、きっと観客の耳に、心に、焼きついただろう。3組の今後の活躍に期待するのはもちろんだが、vol.1と銘打ったこんな夜が回を重ね、また新たな爆音系バンドに出会えることを願っている。
 
 
文:たまきあや/下北沢Flowers Loft
写真:ニイミココロ
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