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トップインタビューOLEDICKFOGGY - 世界の"夜"が明け始めるなか新たな地平を切り開く、ポップで先鋭性溢れる渾身のフルアルバムが堂々の完成

世界の“夜”が明け始めるなか新たな地平を切り開く、ポップで先鋭性溢れる渾身のフルアルバムが堂々の完成

2023.03.20

ポツンと孤独な歌詞、ポップだけど決して軽くないアルバム

──うん。今作の「満月とポイズン」や「さよならセニョリータ」は、今までだったら遊んでるタイプの曲ですよね。こんなことやっちゃって~って笑える曲。でも今回はそういう曲でありながら、アルバムの中で違和感なく治まってるっていうか。いい曲だなってうっかり思っちゃうんですよ(笑)。

伊藤:いい曲ですけどね(笑)。

順堂:遊んではいますけどね(笑)。

伊藤:馴染んでるってことですよね。

──そうそう。馴染んでるし、遊んでる曲を真面目にやってるなって。

スージー:あぁ、けっこう「さよならセニョリータ」は真面目にやっちゃってたかも。

──ボーカルはスペイン語みたいな唄い方で。

伊藤:空耳アワー的な(笑)。

──歌、上手くなりましたよね。

伊藤:そこで言う(笑)。

スージー:この曲で褒める(笑)。

伊藤:でも得意なものを見つけたって感じはします。

スージー:実際、真面目にやっちゃいましたね。メチャメチャ高いクラシックギターを借りてやっちゃいましたから。

──幅が広がったともいえるし、軸が定まって太くなったともいえるし。今までの雰囲気も出てるしね。1曲目の「消えて行く前に」は「いなくなったのは俺の方だったんだ」(2013年)に近いし、「エンドロール」は「いいえ、その逆です」(2012年)に近い。

スージー:近いですね。「いいえ、その逆です」と「エンドロール」の曲は俺で、単調なバラードが好きなんですよ。

──いいですよね~。私も好きです。あとスウィングの曲もあったり。

スージー:朋ちゃんが得意で。前のバンドでやってたんだよね。

朋子:スウィングとかカントリーっぽいものをやっていたんです。今回、曲を聴いて、めっちゃやりたい! めっちゃ合いそう! って思って。

スージー:朋ちゃんはシンセも弾いてるし。ジャズも好きだからね。イヤらしい音を弾いてます(笑)。

大川順堂(Drum).jpg

大川順堂(Drum, Chorus)

伊藤雄和(Vocal、Mandolin).jpg

伊藤雄和(Vocal, Mandolin)

──で、1週間で書いた歌詞についてですが、どういうふうに作るんですか? 曲から呼ばれる感じ?

伊藤:呼ばれないですね、全然(笑)。世界観のイメージは浮かぶんですけど、そこから言葉が、しっくりくる言葉が全然降りてこない。だから探しに行くんです。夜の街を、聴きながら歩く。歩いてるとだんだん妄想が…。男なんて子どもの頃から妄想してますからね。(鹿児島に向けて)な。

鹿児島:え? 妄想って下ネタをですか?(笑)

──伊藤さんの歌詞ってどこか孤独じゃないですか。ポツンとしてる。今回の「消え行く前に」も以前の「いなくなったのは俺の方だったんだ」も、誰かが消え行くのか、自分が消え行くのか。ポツンと一人で立ってる感じで。

伊藤:あぁ、はい。もうこの世界観しか書けなくなってるのかもしれない。いやそんなことはないけど。

──深くて面白い歌詞だと思います。今作、バラードはないですね。どの曲もポップ。でも決して軽くないアルバムだと思うんですよ。

伊藤:なんででしょう。馴染んできたんでしょうかね。

──今日ここに来る前に「夜光虫」のMVがちょうどアップされて。川口潤監督のカッコイイMV。かなり孤独ですよね。

伊藤:実際、俺が駅前の通りで倒れてるシーンがあるんですけど、みんな心配もせず、スマホで普通に撮るし、俺の上を跨いでいく奴もいるし。都会はみんな冷たいですよ(笑)。

スージー:でも一人、おばさんが声をかけてきたよね。

伊藤:そうそう。「荷物とか何も持ってないけど大丈夫なの?」って。置き引きにあった酔っ払いだと思ったみたいです(笑)。

──撮影してるのは気づかれずに。

伊藤:歩道橋の上で撮ってるから。たぶんね、川口監督はわざとだね。俺が倒れてる時間をわざと長くしてた(笑)。

──MVを見て、去年亡くなった小説家の西村賢太さんを思い出しました。

伊藤:そうですか……。

──影響は受けてますよね?

伊藤:それが自分の曲に出てるかどうかはわからないけど、読んでたし好きでした。今も好きです。

──孤独も西村さんの世界観に通じるんじゃないかと。なんか、孤独を否定してないというか。

伊藤:でもあの人は本当に、いろいろ辛い思いをして生きていたと思います。俺はそこまで辛い思いをしてないですよ。

──あぁ、そういう歌詞、ありますね。どれだっけな…。

スージー:「エンドロール」ですね。

──そうそう。“世界を裏返すほど強くはなくて 誰も救えないほど弱くはなくて 僕はあの日のまま”。いいですよね~。やっぱポツンと孤独ですよね。

伊藤:やっぱりそういう世界観しか書けなくなったんですかね(笑)。

──でもとても自然で正直だと思います。

伊藤:そうなのかもしれないですね。

──妄想は現実に着地してると思うし。とにかく今作、私はとても好きです。

スージー:今作がダメなら引退します。

──えー、引退しないでください。

スージー:それほど自信作ってことです(笑)。

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残夜の汀線 -ZANYA NO TEISEN-

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【Tracks】
01. 消えて行く前に
02. 夜光虫
03. 満月とポイズン
04. 少し飲んで帰ろう
05. 仄灯 -HONOAKARI-
06. 残夜の汀線
07. ゆらゆら
08. さよならセニョリータ
09. また今日が終わる
10. エンドロール
11. デリバリーヘルスウィング

LIVE INFOライブ情報

OLEDICKFOGGY『残夜の汀線TOUR 2023』
出演:OLEDICKFOGGY(ワンマン)
2023年3月21日(火・祝)東京 新宿LOFT
OPEN 17:30 / START 18:30
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チケットはイープラスにて発売中、OLEDICKFOGGY予約受付フォームにて受付中
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OLEDICKFOGGY『残夜の汀線TOUR 2023』
3月21日(火・祝)東京 新宿 LOFT(ワンマン)
3月26日(日)大阪 心斎橋 LIVE SPACE CONPASS
4月01日(土)岡山 PEPPERLAND(ワンマン)
4月02日(日)愛知 名古屋 CLUB UPSET(ワンマン)
4月08日(土)福島 いわき CLUB SONIC IWAKI
4月16日(日)東京 下北沢 BASEMENT BAR
4月22日(土)新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE(ワンマン)
4月23日(日)宮城 仙台 LIVE HOUSE ENN 2ND(ワンマン)
4月28日(金)広島 CLUB CONQUEST
4月29日(土)静岡 沼津 MUSIC & BAR QUARS(ワンマン)
5月03日(水・祝)千葉 LOOK
5月04日(木・祝)埼玉 熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1
5月06日(土)群馬 高崎 CLUB JAMMER'S(ワンマン)
5月13日(土)三重 四日市 CLUB CHAOS(ワンマン)
5月14日(日)静岡 浜松 G-SIDE
5月20日(土)兵庫 姫路 LIVE HOUSE BETA
5月21日(日)京都 MUSE
5月27日(土)福岡 博多 LIVE HOUSE QUEBLICK(ワンマン)
5月28日(日)滋賀 大津 U-STONE
6月03日(土)岡山 鏡野 赤壁邸
6月04日(日)愛知 豊橋 CLUB KNOT
6月10日(土)和歌山 NO.11(ワンマン)
6月11日(日)岐阜 柳ヶ瀬 ANTS
6月17日(土)福島 OUT LINE(ワンマン)
6月18日(日)神奈川 横浜 BUZZ FRONT
6月24日(土)高知 CARAVAN SARY
6月25日(日)兵庫 神戸 MUSIC ZOO KOBE太陽と虎
7月01日(土)静岡 FREAKY SHOW
7月02日(日)大阪 心斎橋 LIVE HOUSE ANIMA(ワンマン)
7月08日(土)愛知 名古屋 HUCK FINN(ワンマン)
7月09日(日)長野 CLUB JUNK BOX
7月15日(土)東京 渋谷 WWW X(ワンマン)TOUR FINAL
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