メンバー6人×監督6人で作られた『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』。特異でありながらもそれぞれのメンバーらしい色となっている六組六色のオムニバス作品。どのようにしてこの映画が動き出したのか。監督としても参加している渡辺淳之介に今回の映画製作について伺った。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]
好きに作ってほしいと伝えていた
――今回、なぜBiSHを主人公とした映画を制作することになったのですか。
渡辺淳之介:僕は昔から映画が大好きで学生の時は1日に3本・4本観ているような映画少年だったんです。なので、いつか映画を撮ってみたいというのは思いがありました。その中、今作に参加しているエリザベス宮地監督と山田健人監督と「映画やりたいよね。」と話をしたのが最初のきっかけだったと思います。その時にBiSHで撮るのが一番いいだろうと盛り上がり、「一人一人を主役にしての短編であれば、二人も監督ができるんじゃない。」とも話していたんです。
――過去にあったグループが主演の作品だと、例えばSMAPの『シュート!』などがそうですがメンバー全員が主演で同じ物語の中でドラマを紡いでいくというのが多いですが。エリザベス宮地監督と山田監督のお二人とお話をしたことがスタートということであれば、どちらかが監督・どちらかが脚本のようなタッグの組み方もあったと思いますがそういった考えはなかったのでしょうか。
渡辺:最初からオムニバスで行く予定でした。僕は『Jam Films』や、SMAPの草彅剛さん・香取慎吾さんを複数の監督が撮った『Smap Short Films』などが好きだったので、違和感がなかったです。
――それぞれのタッグ作品の色が全く違うので、6倍の刺激を受ける作品でした。6倍の情報量があったので、いい意味で観終わって少し疲れました。
渡辺:そうですよね、分かります(笑)。監督のみなさんには好きに作ってほしいと伝えていたのですが、まさかこんなに重ためな作品ばかりになるとは思いませんでした。
――渡辺さんの作品が唯一のコメディでしたね。私は『PEACH CHAOS PEACH』の主人公に一番感情移入ができましたね。思春期のあのエロに対しての感情は凄く解ると。
渡辺:ありがとうございます(笑)。意外だと感じたのは『リノベーション』で、僕は田辺秀伸監督がポップな作品を作るイメージを持っていたので意外性があってビックリしました。
――メンバーのみなさんにお話を伺う機会があり、その際「演技をするのが怖い。」というお話をされるかたもいらっしゃいました。
渡辺:BiSH解散が決まって彼女たちと今後について話す機会もあるなかで、全員ではないですが演技をやってみたいという話を聞くことも多かったので、「やりたかったんじゃないの。」と驚いています。
――初挑戦は何でも不安が大きいですから。全作品とも攻めた内容だったので、最初の殻を破るという意味では凄くいい作品だったなと思います。
渡辺:そうですね。
――スタートは渡辺さんも入れて3人、さらにプラスして3人の監督を連れてくるのは大変ではなかったですか。『どこから来て、どこへ帰るの』行定勲監督は映画をメインで監督されているので、お仕事での絡みはそれほどないのではと思いますが。
渡辺:行定監督はWACKに所属しているアーティストたちを大好きでいてくださっていて、交流もあったんです。MVでご一緒している監督だけでもいいけど、せっかくご縁があるのであれば行定監督にも入っていただければ作品が締まるんじゃないかなと思いダメもとでお願いしました。
――それが実現したと。
渡辺:学生時代に『GO』を観て最高の映画だなと思っていたので、本当に嬉しかったです。