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INTERVIEW

トップインタビューハシヤスメ・アツコ(BiSH)『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』- ありのまま演じようと臨んでいます

#2『レコンキスタ』ハシヤスメ・アツコ×大喜多正毅 - ありのまま演じようと臨んでいます

2022.06.08

『レコンキスタ』とは718年から1492年に行われた再征服活動を意味するスペイン語だ。エレベーターという密室で過去の自分・叶わなかった理想と対峙し苦悩しながら自らを再征服していく姿を描いた本作。負の感情を爆発させ、それを乗り越えていく感情剥き出しの作品を演じ切ったハシヤスメ・アツコに本作について聞いた。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]

役を演じるということが怖かった

 
――『レコンキスタ』はトラウマと対峙する・打ち倒す内容で、6作品の中でも攻撃的な要素が強めな印象を受けました。
 
ハシヤスメ・アツコ:密室の中でもがき苦しんでいるんですよね。自分自身もやりながらもがき苦しみましたし、いろんな感情になりながらやらせていただきました。
 
――最初に受けた本作への印象を伺えますか。
 
ハシヤスメ:私のことを凄く見てくださっているなと感じました。大喜多正毅監督は私と組むことが決まってから物語を作られたそうですが、私の過去のインタビューでの発言や、BiSHに入ってからの私のことを凄く見直して作品に反映してくださっていました。大喜多監督からは「ファンになりそう」と言ってくださって、凄く嬉しかったです。
 
――初めて映画にトライされていかがでしたか。
 
ハシヤスメ:映画をやると聞いたときは、演技をするのが少し怖いなと思いました。
 
――同じ映像作品でもMVとはまた違いますもんね。
 
ハシヤスメ:そうですね。音楽以外で自分の感情を台詞で言うのは違いますね。BiSH はLIVEでコントをしていますが、それとも違いました。最初は役を演じるということが怖かったのですが、ほかのメンバーもそれぞれに主演をやるオムニバス作品になると聞いたとき、怖さよりメンバーの作品・演技を観られるという楽しさにシフトチェンジできました。
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怒りの感情を取り戻す時間が必要でした

――物語はほぼエレベーターの中で物語が繰り広げられていて、メインで対峙するのは過去の自分になります。密室劇の上に対峙する役も自分となると誤魔化しが効かない、役者としての力が試される作品なのではと思いますがいかがでしたか。
 
ハシヤスメ:いい意味で場面転換が全然なかったので、役に集中することができ凄く考えながらやりました。対峙するのも過去の私をモデルとしていたということもあって、忘れていた感情を思い出させてくれる時間になりました。私はコメディやコントのイメージがファンの中にあり、いつもニコニコしているので、怒りの感情を忘れている部分もありました。なので、作品を撮るにあたり怒りの感情を取り戻す時間が必要でした。
 
――それはストレスになりませんでしたか。
 
ハシヤスメ:ストレスでした。日頃ポジティブ思考でいるので、過去の自分の嫌だなということを思い出すのは大変でした。撮影中は今の私では有り得ないくらい、近づかないでほしいオーラを纏っていたと思います。それほど感情的になれたのは、私を深く考えて脚本を作ってくださったからなのでとても感謝しています。
 
――普段とは真逆の自分を演じるにあたり、監督とお話されたことはあったのでしょうか。
 
ハシヤスメ:撮影前や撮影中だけでなく、台本を作っている段階でも直接お会いしたタイミングでお話をしてくださいました。撮影時にも自分ではこの言い回しは言わないなという部分は相談すると「自分の言いたいように、自分の感情のままにやっていいよ。」と言ってもらえたので救われました。自然な自分を出していいということが支えになりありがたかったです。
 
――ハシヤスメさんの素の部分を上手く作品に載せてくれたんですね。普段からBiSHとご一緒されることが多いとのことですが、大喜多監督はどんな方ですか。
 
ハシヤスメ:優しいお父さんみたいな方です。大喜多監督とはBiSHがまだ右も左もわからない頃に「オーケストラ」という作品で出会って、「My landscape」では海外に一緒に行ったりとか、大喜多監督の誕生日をお祝いしたり、本当に深いお付き合いをさせていただいています。作品作りの際は、メンバーそれぞれに作品に対してのプランを丁寧に教えてくださるので、とてもやりやすいし、イメージも湧きやすいです。本当に親身になってくださる方ですね。
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――だからこそ、作中のハシヤスメさんは演技っぽくなかったんですね。本当にこういうトラウマを抱えているんじゃないかと思いました。
 
ハシヤスメ:それが出せていたのなら嬉しいです。
 
――怒りは生きていれば誰しも湧いてくる感情ですが、それを演技として出してくれというのは難しいことですよね。
 
ハシヤスメ:そうですね。私はどちらかというと笑顔のほうが出しやすいので、より大変でした。怒る方も疲れるじゃないですか。だからこそ仕舞っておいたので、そのスイッチを取り出すのには時間がかかりました。

メンバーじゃないとできない唯一無二の表現に

――「音楽以外でも心を動かすことができる、と確信しました」とおっしゃられていますが、それはどういった部分で感じたのかお伺いできますか。
 
ハシヤスメ:私は映画を観終えて感動しました。私自身BiSHには演技のイメージがどうしてもなくて、観る前は「正直、演技とかできないんだろうな。」とも思っていました。
 
――音楽活動がメインですから、そう考えられるのも無理はないと思います。
 
ハシヤスメ:なので、観る前は「観ていて恥ずかしくなるのかな。」とも思っていました。順位をつけてやろうくらいの気持ちで観に行ったら、余りにも引き込まれてビックリしました。音楽では自分たちで作詞をするので引き込まれることもありますが、映像作品でもこんなに引き込まれてしまうBiSHってとても良いなと改めて感じました。6人6色でみんな違っていて、それぞれの作品がそれぞれのメンバーじゃないとできない唯一無二の表現になっていて感動しました。
 
――わかります。1作品あたりはそんなに長いわけではないんですけど、それぞれの作品も濃かったですね。満足感もあるけど、もっと先を観たいという作品ばかりでした。
 
ハシヤスメ:回を重ねることでまた違う目線で観れるとも思っています。
 
――ご自身の作品を観てみていかがでしたか。
 
ハシヤスメ:普段は自分が出た作品やバラエティーは恥ずかしいのであまり観れないんですけど、この映画はすんなり観ることができました。それは自分の中で凄いことで、役に入り切れていたからこそ観れたのかなとも思います。でも、自分に対して怖さを感じた部分もありました。
 
――怖さを感じたというのは。
 
ハシヤスメ:こんな怒り方をするんだと思ったんです。怒っているときに鏡を見ることはないじゃないですか、映画を観て自分の表情がこんなに変わるんだということに驚きました。
 
――それは密室劇のシンプルさだからこそ、より際立ってくる部分なのかもしれないですね。
 
ハシヤスメ:撮影中はずっとエレベーターの中にいて太陽の光を浴びなかったので、気持ちが暗くなりがちでしたね。でも、本作ではそれが今回の役を演じるうえでは良かったのかもしれないです。
 
――この特異な環境が負の感情を出すという面では効果があったということですね。ハシヤスメさんは対峙する役もご自身で演じられていたわけですが、役の切り替えはどのようにされたのでしょうか。
 
ハシヤスメ:一一度外に出てリフレッシュしたりして切り替えていました。どの役も特に役作りをしたというわけではなく、本当にありのまま演じようと臨んでいます。
 
――6本観終えていかがでしたか。どれも刺激が強い作品だったので、私は1本の映画以上の満足感を感じました。
 
ハシヤスメ:私はBiSH凄いと思って思わず拍手してしまいました。一緒に観たメンバーたちと観終えてからこの映画に対して話し込んでしまいました。6本分の作品なのでどれだけ話しても時間が足りなかったです。
 
――それぞれが違うアトラクションのようで遊園地みたいな映画ですよね。
 
ハシヤスメ:作品ごとの色が全く違いますよね。本当にみんな違ってみんないいということを凄く感じました。凄く個性的な作品だらけなので、映画館で観てほしいです。映画館のスクリーンだからこそ観える繊細さだったり、音楽の迫力だったりを感じることができる作品だと思います。ぜひ大きなスクリーンといい音響でこの作品を感じてほしいと思います。
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© WACK INC.
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LIVE INFOライブ情報

映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』
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6月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
 
#1『リノベーション』 〈主演〉アイナ・ジ・エンド×田辺秀伸監督
#2『レコンキスタ』 〈主演〉ハシヤスメ・アツコ×大喜多正毅監督
#3『オルガン』 〈主演〉アユニ・D×エリザベス宮地監督
#4『VOMiT』 〈主演〉リンリン×山田健人監督
#5『PEACH CHAOS PEACH』 〈主演〉モモコグミカンパニー×渡辺淳之介監督
#6『どこから来て、どこへ帰るの』 〈主演〉セントチヒロ・チッチ×行定勲監督
 
企画・制作:WACK
配給:松竹ODS事業室 /新領域コンテンツ室
映倫:PG-12
主題歌:I have no idea.(BiSH/avex trax)
 
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