昔の歌詞を一語一句添削してやりたい
──今回、お三方に出演していただく総勢30組のアーティストによる30日間連続ワンマンライブ『LOOK BACK ON THE 1991-2021』について説明させていただくと、10月1日を1991年、2日を1992年、3日を1993年…と各日を年号に見立てて、その年を代表するバンドがほぼ時系列順に出演する趣向なんです。怒髪天が出演する10月1日は上京した1991年、フラカンが出演する10月3日はシェルターに初出演した1993年、SAが出演する10月9日は再始動した1999年という意味合いがありまして。
増子:ああ、なるほどね。今初めて聞いた(笑)。
──だから怒髪天なら1991年、フラカンなら1993年、SAなら1999年当時をそれぞれ彷彿とさせるセットリストに多少はなるのかなと。
増子:なるだろうね。今年は俺ら上京30年でさ、古い曲ばっかりやらされてるから(笑)。古い曲を唄うとじんわりきて、悲しい気持ちになることもあるよね(笑)。
鈴木:当時のことを思い出して?
増子:そう。基本的に恨み節で暗いんだよ。
TAISEI:あるよなあ、そういうの。
──TAISEIさんでもありますか?
TAISEI:SAは今の3人になって来年で20周年なんだよ。こないだリハで、3人で作ってたアルバムの中のすげえ渋い曲を今度のシェルターに向けてやろうってことでやってみたんだけど、20年も経つと歌詞がダサすぎてね…。
増子:自分で添削したいよな。そこはちょっと違うだろって。1991年の上京した頃の俺なんて、もう首絞めてやりたい(笑)。
TAISEI:古い曲をやると、そりゃその時はそう思ったのかもしれないけど…っていうの、ない?
鈴木:めちゃくちゃありますよ。
TAISEI:あるよね。でもやればウケるじゃん? みんな好きなんだなあ…って思うしさ。
増子:めったにやらないからウケるし、喜ばれるんだよ。
鈴木:だけどウケない時もあるんですよね。何のためにやってんの、これ?! みたいな(笑)。
増子:あまりに古すぎて誰も知らないレベルで、逆に新曲と思われたんじゃないかっていう(笑)。
TAISEI:SAはそういう古い曲を10月9日に何曲かやろうと思ってる。だけど昔の曲って歌詞が入ってこないのよ。
増子:俺らにも「もういい加減にしろ!」って曲がいっぱいあるよ。「何を言ってんだ?!」っていうのがさ。
TAISEI:あるよね。「お前、甘いぞ!」って言いたくなるもん。
増子:もうホントに赤ペンで「ここはこう、そこはこう」って逐一書き直してやりたい。
鈴木:それをやったら僕の歌詞なんて“全赤”ですよ(笑)。この曲は今でも唄えるけど、あの曲はやっぱり恥ずかしいって感じで分かれますね。
──でも、そういうことがあるからこそ今なお新曲を発表し続けているんでしょうしね。
増子:まあそうだよね。SAはないと思うけど、フラカンは若い頃に舐められたくない、若く見られたくないって思いからよりシブい方向に行きがちだったでしょ?
鈴木:そうですね。
増子:俺らもそういうのがすごいあった。そして当時はそれがちゃんとできてなかったんだよ。だから昔の曲は今やったほうが逆にしっくりくるんだけど、歌詞だけが幼いんだよね。
鈴木:分かります。音はシブいんだけど、歌詞だけが納得いかない。
増子:歌もフラットしたりシャープしたり酷いもんなんだけど(笑)、歌も演奏もちゃんとやると昔の雰囲気が出ないんだよ。
TAISEI:上手くなりすぎちゃったところは確かにあるかもしれないね。
増子:だから部分的にちゃんと間違えてないといけない。すごい複雑な話だけどね(笑)。でも、24、5で上京した当時の曲はシブすぎるから。ジジイじゃねえんだからっていうさ。
TAISEI:ああ、ブルースっぽい感じの曲が?
増子:そう。今やすっかりジジイになったからちょうどいいんだけど(笑)。