どうあがいても超平均的な街にはならない
──ここまで地元に根ざしてるのは凄いと思います。そんなお二人から、下北沢の街がどんどん変わってきてますが、どう感じていますか?
金田:どの時期もつまんない事って往往にしてありましたからね。中学のときからレコード買いに下北来てて、その頃と比べるとキャッチーでポップな街になったなと。
──それは良い意味で?
金田:ダブルの意味で。昔は怖かったし、人を選ぶ街。というのに憧れてた男の子だった。レコード屋があって、古着屋があって、古本屋があって。あやうい街が魅力のひとつだったし、ラブ人間組んだときもそういうのがちょっと残ってた。今は悪い意味では平均点にどんどん近づいていってるんですけど、良い意味では暮らしやすい街だと思うんです。どっかに足伸ばさないと手に入らなかったものが下北で手に入るとか。あとは、友達が独立して新しい個人商店がどんどんできてるんです。そういうのが街の中のディープポイントになっていけば良いかなって。どうあがいても超平均的な街にはならないと思います。こないだ「シモキタエキウエ」がオープンして、ヤキトリてっちゃんができたんですけど、そこがHMVが付いてるやきとり屋なんです。そこで、オープニングパーティでDJやったんですけど、DJブース一歩外でると改札見えるもん。大爆音でDJしてる。異常だもんねあの光景。駅ビルができるって言葉だけで考えると、凄い平均的なものができる感じするけど、その中の内容が濃い、異常ってのがポイントだなと。他の街では出来ない事を成し遂げてるなぁって。めっちゃ駅員さん怒ってましたけど(笑)。
ツネ:アンダーグラウンドにずっといるような街ではないなって、凄く思うんですよ。ライブハウスとか劇場がこんだけ多くあると、街は変わっていっても来る人はずっと同じ人が来る気はしてて。もちろん新しい人も来ると思いますけど、その人達がそういうのに触れる機会が増えていけばいいなって。
──ちなみに、お二人の好きな穴場スポットとかありますか?
金田:今でもレコード屋がとにかく減って、レコード人としては困ってたんですけど、ELLA RECORDSって店があって、あそこは無茶苦茶面白いレコードが置いてますね。しんきろうのまちってバンドのボーカルのヨウスケが働いてて。下北でずっと仲良い後輩で。
──ツネさんは?
ツネ:穴場ではないけど、「大衆酒場よっちゃん」とか1回は行ってみて欲しいな。定食屋の千草とかぶーふーうーとか、下北っぽい店って結構なくなってるから。
金田:この10年で1番良かったのは、サンドイッチクラブ、スタンドかげんとか、友達が今自分の店を構えてるんですよ。ラブ人間始めてから友達に会いにこの街に来るという感覚なので、SHELTERとかも本当そうで(笑)。ひとりぼっちにならないで済む街ですね。
──イベントの話に戻すと、今回のラインナップで楽しみにしているアーティストは?
金田:井乃頭蓄音団のフィーチャリングで、ムーンライダーズの鈴木慶一さん、中村一義さんもはじめて下北沢出るのもありますし、2年ぶりになんですがPIZZICATO ONE、小西康陽さん。PIZZICATO FIVEのイメージが強いですが、ひとりになってからの音楽がもの凄くて、何十年たっても色褪せないんだろうなって曲を、90年代からやっている。そんな人のライブを観れるって凄いなって。
──金田さんがブッキングされたんですか?
金田:小西さんとは、アナログでまわすDJイベントがあって、そこで一緒になりました。
ツネ:大御所はね、若い子には観て欲しいよね。若手だと、CRYAMY、東京初期衝動、シャンプーズ、ROKIとか、そのときしか出せない音をめっちゃ出してるのに憧れた。今絶対出せない、めちゃめちゃな音。10年後も変わらず出してるよって言っても、10年やると、もっとこうした方が良いって知識が付いちゃうから。
金田:失われて欲しくないなって、尊いなぁと思います。
知ってもらえるきっかけになってくれたら
──ところで今インタビューさせてもらってる、こちらの「空き地」もできましたが、ここは?
ツネ:もともとは機材の管理をしてくれと商店街から言われて。ステージを組むから、必要な機材まわりは何が良いか? って僕に話がおりてきて。小田急の場所なんですけど、その受けをうちがやってます。空き地がシモニテの本部になるのと、世田谷区と交渉して、当日フェンスがなくなって駅から歩いて、空き地までこれます。フェンスからあっちが世田谷区、こっちが小田急…とにかく調整がスーパー大変!
──お疲れさまです(笑)。では最後に、シモニテに向けて一言お願いします!
ツネ:駅から降りてすぐの場所が使えるのが今年のポイントかなと思ってるんで、空き地のステージも無料ですし、知ってもらえるきっかけになってくれたら嬉しいです。
金田:下北沢にてはどことも違うメンツが揃ってるのが誇りなので、老若男女来てくれたら嬉しいのと、ラブ人間も今年10周年で良いライブしてるので、是非観てください。2日間出ます!
──あくまでもラブ人間の自主企画ですからね!