Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

駆け抜ける青春!
恋愛至上主義“THEラブ人間”が歌う究極のラブソング!

2011.09.05

 THEラブ人間!? と思う読者の方もいるだろう。THEラブ人間とは、2009年1月に突如現れた音楽集団で、メンバーは金田康平(歌手)、おかもとえみ(ベース)、谷崎航大(バイオリン)、服部ケンジ(ドラムス)、ツネ・モリサワ(キーボード)の5人からなる。そして、この度、メジャーデビュ−作品となる1st.EP『これはもう青春じゃないか』を8月24日にリリースした。フォークソングを基調としたサウンドに、作詞・作曲を担当する金田の赤裸々でリアルな言葉が紡がれ、恋愛と青春の焦げ臭さを高らかに歌っている。
 この作品をリリースし、リリース当日から2ヶ月に渡るツアーを行ない、中盤の9月17日には、初めて新宿ロフトのステージにも立つ。これまで憧れのバンドを見るために何度も訪れていたというロフトで、どのようなライブを見せてくれるのか楽しみでならない。
 今回は、THEラブ人間の金田康平とおかもとえみにインタビューを敢行した。個性的な彼らが、どんな人間なのかもとても興味があった。(interview:やまだともこ)

毎日一生懸命生きてます

── まずはメジャーデビューおめでとうございます。初の全国流通ですが、出来上がった手応えはいかがですか?
金田:良いものが出来たかなと思います。
おかもと:みんなに聴いてもらいたいなという、全員の気持ちが詰まった作品じゃないかと思います。
── 私は『これはもう青春じゃないか』を聴いて、歌詞から見える風景がたくさんあって情報量がすごく多い作品だなと思ったんです。
金田:歌詞は頭は使わないで、まんま書いているんですよ。ありのままを字面にしているだけ。それがこだわりです。見たものや思った事をそのまま書く。曲を書く以外の時間に頭を使うんです。
── 曲を書く以外の時間に頭を使うとは?
金田:今こうして取材を受けている時もそうですけど、歩いてる時や飯を喰ってる時にボーッとしないで頭をめちゃくちゃ使って、いろんなことを考えたり、風景を見て自分が思った事を覚えておくんです。曲を書く時と、SEが流れてからライブが終わるまでの2つだけが何も考えない時間。
── あとは常に何かを考えてる、と?
金田:それが作詞・作曲の肝ですね。
── その頭を使っている時というのは、歌詞の元ネタを探しているという状態になるんですか?
金田:そうとも思ってなくて、毎日一生懸命生きて、頭使って自問自答する事が曲と歌詞につなるんです。だから歌詞を書く時は、毎日蓄積していたものをサッと書くだけ。曲や歌詞を書く時に頭を使うとすごくつまらなくなるとわかっているので頭は使わない。
── となると、いざ歌詞を書くという時は早いですか?
金田:一瞬ですよ。1曲書くのに、1曲の演奏時間と同じぐらいで書きます。5分の曲なら5分で書ける。吸う・吐くみたいな感じで曲と歌詞を書いています。
── 曲も同じような感じで書けるんですか?
金田:歌詞を書き終わったらすぐにギターを持って、速攻録ります。そのパターンが多いですね。でも、行き詰まる時もあって、『これはもう青春じゃないか』は、歌詞はパッと出たんですけど曲が8パターン出来たんです。でもどれも良くなくて、かわいそうだけどお蔵入りにしようかなと思った時に、スタジオでえみとドラムのケンジがファンクっぽいメロディーを作って演奏していて、「ん?」って。ちょうどキューバ音楽を聴いていた時期でもあって、歌詞を読んでいたら、近親相姦とかレイプとか、妹が殺されたみたいな歌詞をめちゃくちゃ明るく歌うんです。キューバ音楽ってそういう様式美なんでしょうけど、それが思い浮かんで、この暗い歌詞にめちゃくちゃ明るいリズムとメロディーで歌ったら面白いんじゃないかって、その場でコードをなぞってやってみて、家に持って帰って、バージョン9の状態が今回入っているんです。タイトルも歌詞も一緒の曲が9曲あるという感じですね。でも、メンバーはバージョン9の状態しか聴いてないんです。弾き語りで作った曲の中から、バンドで歌いたいと思った曲、これは面白いことになるぞという曲、アレンジした時に何かをやってくれるだろうという期待が出来る曲しか持っていかないので。歌の印象と根底にあるものを薄まらせないで濃くするというのが得意ですね、うちのバンドは。要領が良いというか、頭が良いというか、偉いというか。
── 褒めまくり(笑)。
金田:懐が広いので、全く違う状態にしてくれたりもするし、面白いです。メンバーが何倍にも曲を良くしてくれるんです。
── でも、それは金田さんのボーカルの力もすごくあると思いますよ。歌とサウンドがうまく絡み合っているから、言葉の情報が入ってくるというか、何かをしててもついつい手を止めてCDに集中させるパワーがあるんですよ。
金田:BGMっぽい曲にはしたくないですからね。

青春映画のようなミニアルバム

── 手を止めてしまう理由のひとつに、言葉がリアルすぎるという部分もありますけどね(苦笑)。
おかもと:「え?」って思う事は多々ありますね(笑)。自分の本心的には嫌な事を言っていたりすることもあるけど、そこは金田くんの考えた歌だし、それに合うベースラインを作ることが私のやることですから。
金田:えみは、その歌詞になっていない音を作るのが得意なんです。文字として表れてない情報も歌詞にはたくさん入っていて、そういう情報を取り込むんですよ。
おかもと:『若者たちの夕暮れ』の歌詞にある“黒い鉄球”の音をベースで出してみたり、好きな女の子の手紙をロッカーから盗んだという歌詞では、ロッカーの暗証番号をベースラインに取り入れたりしました。3468なので、3フレット4フレット6フレット8フレットで鳴らしてみたりとか。
金田:暗証番号は、女の子がロッカーを使っている時に盗み見たんですけど、それが3468で、歌詞には描いてないけど見えないところをきちんと演奏に取り込んでいるんです。まず曲をみんなに聴かせる段階で、誰に向かって歌っているとか、どんなことをこの時は思ったのかとかを説明して、場所とか、歌詞に具体的に書いてあること以外を話すんです。そういう細かいアレンジも聴いてもらいたいです。
── 歌詞は自分の体験を書かれているとのことでしたので、金田さん大丈夫かなと思ってしまった部分はありましたが…。
金田:リアル過ぎるとか激しいとか言われますけど、奇をてらっているわけでもないんですよ。むしろ、他のヤツのほうがおかしいと思っているぐらい。誰でも思ってることをなんで自分の言葉で言わないのかって、今のロックバンドは。だから、自分の言葉で話をしたらこうなるというのを提示しているんです。これが人間として当たり前のこと。自分の身に起きている出来事が普通の人としてダメと言われていることなので、それをひた隠しにする人が多いけど、今回のコンセプトである“自分が忘れたい黒歴史”や“青春時代”はちゃんと詰まっていて、それを決して忘れてはならんのだよというアルバムなんです。普通に語られるほど青春って生易しくもないし、生温かくもない、すごく手強くて手厳しいものなんです。簡単に言ってしまえば“やりたいのにうまくいかない”ってことなんですよね。それを、青春時代は美しいとか、綺麗という言葉だけで片づけちゃうのはどうかなと思って。今回のミニアルバムは全編を通して青春を歌っているんですが、それを目の前にして怖がって逃げたくないんですよ。プールの飛び込み台でガタガタ震えてるのはかっこ悪いと思うわけで、飛び込んでみたというアルバムなんです。
── 最後の『どうせ、慰時代』の歌詞もインパクトありますし。
金田:その曲の美しさはけっこう深いところまであるんですけど、それは誰にも話さないでいようと思っているので話しません。読み取れた時の壮快感があると思うので、みなさんたくさん聴いて下さい。
── なるほど。でも、この曲はデモっぽい音ですね。一番生々しい感じはしましたけど。
金田:それだけ僕が録音したんです。4曲は大阪にあるスタジオで録って、これだけ家で録ってます。1曲目から聴いていると、5曲が“青春”をテーマに背骨をまっすぐにさせてるから、青春映画を一本見終わったような感じになると思うんです。1曲目にパーンと始まって、4曲目の『西武鉄道999』はドラマによくある最終回のラスト10分のところで表示される“そして1年後”って主人公の髪型が変わってるみたいな、それで最後の『どうせ、慰時代』につながる。ドラムのケンジも短編映画っぽいって言ってました。ちょっと荒い、学生が撮ったような感じの。ノイズが入っちゃってるような。
── それわかります(笑)。でも改めて思いましたが、5曲しか入ってないんですよね。時間も23分でそんなに長くないですが、すごい濃厚だったので、もっと入っている感覚がありました。
金田:昨今のロックバンドにしては、1曲が長いですからね。THEラブ人間を組む前にハードコアをやってましたけど、その時は1曲が10分ぐらいあったんです(笑)。『若者たちの夕暮れ』は1st EP『恋街のすたるじい』にも入っているんですが、それはプラス1分半ぐらい長いんですよ。まん中にノイズセクションが入っていて。
── ということは、年々音はシンプルになってきているということですか?
金田:当時は知識もなくて、一緒に大きい音で演奏しているってだけでまずは満足。だから、聴きやすさとかは何も考えてないですよね。今は、自分たちが気持ち良いと思う位置が聴きやすさなんだと思っていて、やって気持ちいい、歌ってて気持ちいいという、シンプルなところに来ていますね。
おかもと:伝えたい事がシンプルにあるから。
金田:そこはブレてないです。

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THEラブ人間
これはもう青春じゃないか

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01. これはもう青春じゃないか
02. 抱きしめて
03. 若者たちの夕暮れ
04. 西武鉄道999
05. どうせ、慰時代

LIVE INFOライブ情報

炸裂する思春期ツアー ライブハウス編
9月17日(土)LOFT⇔LOFT BAR STAGE⇔MARZ⇔Marble⇔Motion⇔OTO【ETERNAL ROCK CITY.2011】
9月18日(日)長野 J
9月19日(月・祝)名古屋Rock'n' Roll
9月24日(土)埼玉スタジアム【ぐるぐる回る 2011】
9月28日(水)渋谷O-WEST【バックドロップシンデレラ 3rd Albumレコ発東京編「渋谷でウンザウンザを踊る」】
10月13日(木)岡山PEPPERLAND
10月14日(金)広島 Cave Be


炸裂する思春期ツアー 学園祭編
9月25日(日)東北芸術大学文化祭

レコ発インストア
9月11日(日)大阪マルビル 木かげの広場 15:00〜
9月22日(木)ヴィレッジヴァンガード下北沢店 20:00〜
10月9日(日)TOWER RECORDS渋谷店B1F 17:00〜

11月27日(日)下北沢にあるライブハウス5会場を使ったライブハウスサーキット型イベント開催!!

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