CASANOVA FISHという名の海へ連れて行きたい
──今回のアルバム作りを終えて、ライブのアプローチに変化が出るようなことはありましたか。
西牧:落ち着くところが落ち着いたと言うか、ライブの流れに緩急をつけられるようになってきました。「夢で逢えたら」とか「今夜は私も眠れない」とかまだライブでやってない曲もあるし、それを今後やっていくのも楽しみです。
熊田:アルバムの曲はリリース前に頑張って抑えてやらないようにしてるんですけど、我慢できずにやっちゃってるのが何曲かありますね(笑)。
西牧:「マイランドスケープ」は最近全然やってないね。レコーディングした後に数回しかやってない。逆に「少年と海」はよくやってますけどね。
──アルバムはシェルターのレーベルからのリリースなのに、レコ発はなぜかシェルターではやっていただけないんですね。
矢満田:シェルターは自分たちが大好きだったバンドがライブをやってる場所という認識があるので、ライブをやるタイミングを大事にしたいんですよ。私たちはまだ自信満々でシェルターでライブをやれる状況じゃないし、いつかやれるなら満を持してやりたいですね。シェルターのレーベルからCDを出すからって、いつでもシェルターに出られるっていうのも甘えてるようでイヤだし。やるからには絶対にソールドアウトさせたいし、それくらいの自信とお客さんがつくように頑張るのが今だと思っています。
──なるほど。ちなみに現時点で持ち曲はどれくらいあるんですか。
熊田:私が入ってからライブでできるのはギリ20曲ないくらいだけど、3人時代や弾き語りを入れると50曲くらいあるんだっけ?
西牧:いや、結成当初から数えたらもっとあるね。
──レパートリーが20曲弱あるならワンマンをやれるのでは?
西牧:お客さんがいればできます(笑)。
──増やしていきましょうよ、せっかく全国流通盤も出ることだし。近い将来、バンドとして実現させたいのはどんなことですか。
西牧:もっともっといい曲を作って、いい演奏をするバンドになるのが目標と言うか、それは常にテーマとして考えてますね。
矢満田:私は目先のことよりも一番近いところから考えるので、こうして全国流通盤を出させていただけることになった以上、一人でも多くの人にアルバムを届けたい。今はそれしか考えられないです。
勝田:僕は地元の人にもっと知られたいですね。最初のアルバムも地元のCDショップではかなり宣伝をしてくれたんですけど、まだまだ知られていないので。
熊田:私は野外でライブをやってみたい。野外の大きいステージでやると気持ちいいと思うので、一度は体験してみたいです。あと、自分たちがいいと思う音楽に対していいと思ってくれる人が増えれば嬉しい。
──今さらなんですが、海に対する愛着と憧れがあるからバンド名をCASANOVA FISHにした、なんてことは…ありませんよね(笑)。
西牧:僕が浜田省吾さんと同じくらい好きな佐野元春さんの曲に「HEART BEAT(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド)」というのがあって、“CASANOVA”はそこからです。当時は意味が分からなかったけどいいワードだなと思って、あとで〈女たらし〉って意味を知ったんですけど。
──ということは、“FISH”は「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」から?
西牧:違うんです。当時、サカナクションとかSHISHAMOとか魚系のバンド名が多くて、“FISH”を付けたら売れるんじゃないかと思って(笑)。
熊田:それは初めて聞いた(笑)。
西牧:いや、やっぱり「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」から取ったことにしておこうかな(笑)。
──お世辞抜きで本当に良いアルバムが完成したことだし、今後ブリやスズキのように出世魚として成長することに期待しています。
西牧:今回はセカンド・アルバムだけど、この4人になってからのファースト・アルバムでもあるし、今のCASANOVA FISHの最初のアルバムとしてはすごくいいものができた自負があるんです。だから〈このトンネルを抜けて〉早くブレイクしたいですね(笑)。「ブルーブルーブルー」で僕が“Hey baby, I wanna take you seaside!”とシャウトしていますけど、みんなを連れて行きたいんですよ、海へ。CASANOVA FISHという名の海まで(笑)。