ドサ回りも宣伝もすべてDIYで楽しむ
大森:僕はツアーを回るのが楽しいんです。4人だけで車で移動して、地方のラジオ番組に出たりして。自分は俳優としてはそれなりに名前が売れているので(笑)、地方の劇場へ舞台挨拶に行くと扱いがすごくいいんです。それがバンドになると急にショボくなるんです(笑)。ラジオ局へ行っても入口でずっと待たされたりして。自分ではその違いをけっこう楽しんでます。
──そういうドサ回りもこの4人なら楽しそうですね。
大森:すごく楽しいです。僕はサービスエリアに寄るのが大好きだし(笑)。
塚本:「ジャンボフランクないの?」とか言ってますからね(笑)。マネージャーも特にいないし、全部自分たち主導なので大変ですけど、今までわからなかったスタッフの大変さを知れましたね。打ち上げ会場を選ぶだけでも大変だし、行ったことのない所だから上手くたどり着けないし…。
大森:全然ロック・バンドのインタビューらしくない話だね(笑)。まぁでも、いい歳してこんなことをやれてる幸せは実感してます。
──長野さんはどうですか。この5年で印象深かったこととは。
長野:やっぱり『スッキリ』に出させてもらったことですかね。朝早く日テレに行って演奏させてもらって、そこから福岡へ移動したんですよ。
山崎:そうだ、ツアーの合間だったもんね。
長野:朝が早くて絶対に遅刻できないので、僕と史朗君は潤君の家に泊まらせてもらったんですよ。男3人、ひとつの部屋で一緒に寝て。
大森:部活の合宿みたいだね(笑)。『スッキリ』に出た時は出演者の皆さんにCDを渡したんです。スタジオの出口で待ち構えて、加藤(浩次)さんたちに「よろしくお願いします!」って(笑)。
塚本:若手バンドのように腰を低くして(笑)。
大森:ジョー・ストラマーが晩年やっていたメスカレロスは全然売れてなくて、アメリカの地方を回った時におばちゃんから「あなた、ジョー・ストラマー?」って訊かれたことがあるんですよね。ジョーは「そうだよ」と答えて、チラシを渡して「今日ライブがあるから来てよ」と言うんですけど。僕はそのエピソードが大好きなんです。
塚本:それに倣って、僕らも仙台や大阪でチラシを配ったんですよ。
──本当に何から何までDIYで活動しているんですね。
大森:それがすごく楽しいんです。いいライブができた時、いい曲をかけた時ももちろん楽しいですし。これでもっとお客さんが増えたら申し分ないんですけど(笑)。もうちょっとバンドでテレビに出たほうがいいのかな?とか思ったりもして。
──大森さんの知名度ならやろうと思えばできますよね。でもそれは敢えてやらずに、バンドの力だけで何とかしたいのでは?
大森:そうなんです。僕らが十代の頃、テレビに一切出てこない佐野元春さんが格好良く思えたりもしましたし。まぁでも、もうちょっと知られたいとは思います。興味を持ってアルバムを聴くなりライブを観るなりしてもらって、それで好きなり嫌いなりを言ってもらうのは全然構わないので。だから今は少しでも多くの人に知ってもらいたいです。何と言うか、芝居よりも音楽のほうがお客さんもハッキリしてるんです。ライブが良くなければ次のライブには来てもらえないですし、CDも売れないですし。
──新宿LOFTでの結成5周年記念ワンマンは『歌舞伎町インシデント』というタイトルですが、どんなインシデント=事件を起こそうと考えていますか。
大森:歌舞伎町のど真ん中で一体どんな事件が起きるんだろう?という思いで付けたんですが、(長野に)どんな事件が起きると思いますか?いきなり司会になってますけど(笑)。
長野:この日限りの何か面白いことはしたいですよね。
大森:今までやってこなかったことをやりたいよね。(塚本に)どう考えてます?
塚本:今までやってきたライブやツアーの集大成でありつつ、最近やってなかった曲をもう一度見つめ直したり、この4人全員で考えながら中身を詰めたいですね。ワンマンだからいつもと違って尺を伸ばしてもいいだろうし。いろんな人たちの手を借りながらいろんなことをやりたいです。
長野:今までで一番いいライブにしたいですね。月に吠える。なりのライブの楽しさをぜひ知ってほしいです。
──今回はゲストに頼らずに4人だけでやり切る予定ですか。
大森:いや、ゲストは考えてます(笑)。みんな雑誌の付録は好きじゃないですか(笑)。
塚本:ワンマンはそういう楽しみもあっていいと思うんですよ。僕たちも刺激を受けるし。