バンドを一生懸命やることが格好いい
──スキル・アップした甲斐あって、お声がかかったんですね。
SUSIE:8月にマネージャーから「一緒にやらないか?」と誘われて、9月にそうるさんがマネージャーに「FIXを何とかしてやれないの?」と言ってくださったそうなんです。そこまで言うならサウンド・プロデュースをやってくれとマネージャーが強引にお願いしたらしいんですけど(笑)。
──そうるさんがそこまでFIXを推したのは、何か光るものを感じたからですよね。
Taku:透さんは「50歳になっても上手くなるんだね」と感心してたみたいです(笑)。普通は僕くらいの歳になったら趣味でバンドをやる感じで、まず上達はしませんからね。
──TakuさんはFIXを趣味の領域ではなく、もっと大きなフィールドで活動するバンドにしたかった?
Taku:ここ3年くらいかな、特にそう思うようになったんです。リズム隊が上手くなると、今度は僕の歌のヘタさが目立つわけですよ。それで50歳にして初めてボイトレに通うようになったんです。そうなると、もっとバンドを活性化させたい欲が出てくるんですよね。以前からライブのMCでも冗談で言ってたんですよ、「“ロック界の最年長デビュー・バンド”を目指す!」って。
──それが晴れて実現したわけですね。苦節14年にしてやっと。
Taku:FIXの前にやってたバンドを含めると、苦節35年ですけどね(笑)。
SUSIE:遅咲きにも程がありますよね。51歳と10カ月でメジャー・デビューだなんて(笑)。
Taku:先がないのに大丈夫か? って感じですけど(笑)。
SUSIE:私とYUEちゃんにもメジャー・デビューしたい気持ちがここ数年ずっとあったんですよ。周りの人たちは呆れてましたけどね。昔は私たちもひねくれていたので「別にメジャーなんて関係ないや」なんて思ってましたけど、一周まわった今は、バンドを一生懸命やることが格好いいと思うようになったんです。純粋な気持ちで「メジャーに行きたい」と言うことの何が悪いんだろう? って。
──楽曲はバラエティに富んでいて演奏も確かだし、両手に花のバンドの佇まいも見栄えがいいし、メジャー向きだと思いますけどね。
SUSIE:見栄えがいいだなんて言われる日が来るとは思わなかったですね。長いあいだずっとくすぶっていたし、劣等感がものすごくあるので(笑)。
──ところで、『Heaven knows』というアルバム・タイトルにはどんな思いを込めたんですか。
Taku:「神のみぞ知る」という意味なんですけど、ネイティブの人は「そんなこと言っちゃって」とか「冗談だろ?」みたいに使うこともあるそうなんです。僕らも長くバンドをやってきて、そんな感じのことをずっと言われ続けてきたので、自分たちにぴったりな言葉だなと思って。「50歳を過ぎて最年長デビューなんて冗談だろ?」みたいに思われていたので(笑)。
──50歳を過ぎてメジャー・デビューできたのなら、還暦を過ぎて武道館デビューしたっていいじゃないですか。ここまで来たら何事も遅すぎることはないわけで。
Taku:いいですね、“ロック界の最年長武道館デビュー”。“最年長紅白デビュー”でもいいかな(笑)。でも武道館は本気でやりたいと思ってるんです。武道館で外道にオープニング・アクトをやってもらえたら最高ですね。
SUSIE:加納さんが弾きまくって、オープニング・アクトが2時間くらいやったりしてね(笑)。
Taku:まぁ、そんな夢物語も周囲の反応は『Heaven knows』(冗談だろ?)かもしれませんけどね(笑)。