なんでこんなことしてるんだろ?
――さて4月10日にLOFT9で開催する『ハブ1GP』なんですけど、これはいつ頃から始めたイベントなんですか?
キクチ:いつからかはちょっとハッキリしないんですが、今回の『ハブ1GPグランドチャンピオン大会』でハブさんが優勝した場合、ちょうど60連覇になりますね。
――すごいですね。
ハブ:何回か王者陥落の危機はありましたけどね。
キクチ:一回、僕がイベント中にクソを漏らした時は僕がチャンピオンになりかけましたけどね。
ハブ:あれは『ハブ1GP』の長い歴史の中で一番盛り上がりましたね(笑)。
――最大のライバルがキクチさんだったとは。そもそもどういったイベントなんですか?
ハブ:ワケわかんないだろうな、という前提で説明しますけど、僕の「タイツのネタ」64個と「ギャグ」64個をそれぞれ戦わせて、僕の今年一番面白いネタを決定するという大会ですね。……これでちゃんと説明してるつもりなんですけど、わからないですよね?
――んー、とりあえず「自分自身との闘い」ということですか?
キクチ:スポーツ選手が「自分が最大のライバルです」とよく言っているのを耳にしますけど、『ハブ1GP』の出場者はハブさんだけですし、そういう意味では世界一自分と戦っているんじゃないかと思いますね。
ハブ:自分の中でそれぞれのネタに好き嫌いがあるんですよね。「このギャグは嫌いだ」とか「このタイツは二度とやりたくない」みたいなことになっても、そこは心を鬼にして、平等な気持ちで全力でやりきるという。また自分が嫌いなネタほどよく勝つんですけど、それが勝った時の憎たらしさたるや(笑)。きっとそんな葛藤を現場にいるキクチ君はわかってくれてると思うんですけど。
キクチ:いや、そんなにはわからないんですけど、「セッティングの大変なネタ」が嫌いなんだろうな、とは思いますね(笑)。
ハブ:好きなギャグが一回戦で負けた時とか、嫌いなタイツが準決勝までいったときのイライラとか、ほんとにそういうのはナマじゃないとわからないことだと思いますね。
キクチ:あと特殊な点としては、「トーナメント」なので、勝ち上がったネタはもう一度見ることになるんですよね。そうすると初見では気づかなかったような細部までもう一度見ることができたり、初回のネタが思わぬ形で進化を遂げていたり。
ハブ:たしかに審査のコメントとかキクチ君のツッコミを参考に、現場で手直しをしているところはあるかもしれないですね。
キクチ:ネットで配信もしてるんですけど、視聴者の方のコメントも素晴らしくて。秀逸な解釈をしている人がいると、そこから想像も膨らんでいきますしね。
ハブ:彼らはセンスはいいんですけど、現場には来ないですね(笑)。カネは持ってないみたいで。
キクチ:最初にお客さんに「配信を観て来た人いますか?」と聞くんですけど、信じられないくらい手が上がらなくて(笑)。
ハブ:去年のグランドチャンピオン大会が、唯一キクチくんが出られなかった回で。キクチ君のツッコミありきで考えているネタが初戦で敗退という結果になったりして、もうキクチくんもある意味タイツに片足突っ込んでいるといっても過言ではないですね。
――なんでうまいこと言うんですか(笑)。今ハブさんがハマっているという、みうらじゅんさんと、いとうせいこうさんの『ザ・スライドショー』なんかも、みうらさんのスライドという「ボケ」に対して、せいこうさんの「ツッコミ」があって笑いが増幅されてますよね。お二人もある意味そういう関係になってきているかもですね。
ハブ:たしかにそうですね。みうらさん、審査員で来てくれないかなあ、みうらさんが来てくれるなら、いとうさんもきっと来てくれますよね(笑)。
――是非来てほしいですけどね。では最後に「ハブ1GP」の見どころを改めてお願いします。
ハブ:ホントに一年間、毎日「なんでこんなことしてんだろ?」って思いながらネタを考えてるんですけど(笑)、その中からこの大会のために自分の中で予選を勝ち抜いたネタだけを連れてきているわけで、それは「絶対にウケる」ネタだけ厳選しているので、ぜひナマで見てほしいですね。
キクチ:あとはハブさんが果たして60連覇達成できるのか、というところも見どころですよね。
ハブ:奇しくも今年は従弟の羽生善治さんが国民栄誉賞を受賞したメモリアルな年ですので、僕も60連覇をすることで栄誉賞に王手を掛けたいなと思っています。
キクチ:あとは配信のコメント欄から出てきてくれないであろうユーザーの皆さんのためにもツッコミを頑張ります(笑)。