ライブハウスは表現の制約が一切ない場所
──今回の『ロフトフェス』はみなさんの他にもeastern youth、OGRE YOU ASSHOLE、大森靖子さん、川本真琴さん、戸川純さん、Have a Nice Day!の6組が1Fのメインステージに出演するのですが、それぞれつながりのある共演者はいらっしゃいますか。
大澤:いないんですよねぇ。この組み合わせでブッキングされることってないよなとしみじみと実感した次第です。
廣井:僕らはロフトで戸川さんとご一緒したことがありましたけど(2014年6月12日)。
和嶋:戸川さんとはこのあいだクアトロでご一緒したばかりです(2017年9月19日)。戸川さんは今で言うサブカルの元祖だし、メジャー・シーンで不思議で突飛なことをやっても大丈夫というのを見せつけた先駆者だし、またお会いできるのが光栄ですね。大森さんは「ドラマチック私生活」という曲(『TOKYO BLACK HOLE』収録)でギターを弾かせてもらったことがあります。イベントでもよくご一緒する機会があるので、またファミリーに会える感覚がありますね。あと、eastern youthは昔からぜひ一緒にライブをやりたくて、どうしたらご一緒できるんだろうと思っていたので、今回の共演がすごく楽しみなんです。マーガレットのプレイはeastern youthのベースとちょっと似てるところがないですか?
廣井:前のベースの二宮(友和)さんとは、実は同じ出身なんですよ。愛媛県の吉田町っていう所で、人口が1万人もいない町で。それもあって、高校の頃からeastern youthはずっと聴いてました。上の人たちから「これだけは絶対に聴いとけ!」って言われたんですよ(笑)。
──ここ何年も似たようなメンツの集まるフェスが多いし、今回は新宿ロフトというライブハウスが発信するライブハウスらしいフェスをやりたいと思って僕がブッキングさせてもらったんですけど、みなさんにとってライブハウスとはどんな場所ですか。
和嶋:時間や集客のルールが一応はあるけど、ライブハウスはバンドをやりたいという初期衝動を叶えてくれるし、ロックやアートの本質をそのまま出せる場所じゃないでしょうか。これがホールとかになるとライブもパッケージのひとつに組み込まれてしまうし、ちゃんと収益を考えてやらなくちゃいけないから冒険ができない。そういう大人の世界に比べて、ライブハウスは表現する上での制約は一切ありませんよね。こんなことを喋っちゃいけないとか、おちんちんを出しちゃダメとか(笑)。何をやってもいいし、過激なこともできるわけで、音楽に関してそんなことができる場所はライブハウスだけだと思いますね。
廣井:まったく和嶋さんのおっしゃる通りですね。まぁ、後にも先にも店員にめちゃくちゃ怒られたのはロフトだけですけど。掃除が終わったライブハウスではどれだけ酔っ払っても床にゲ○を吐いちゃいけないと教わりました(笑)。
和嶋:それはライブハウスのルールというより、人としてのルールだね(笑)。会長がディスプレイやプロジェクターを使ったライブを始めたのもライブハウスだったんですよね?
大澤:そうですね。最初はたしか渋谷のエイジア系列のライヴハウスで、そこにVJのできるスクリーン環境があったんです。VJが得意なバンド仲間もたまたまいたので、ちょっといたずらするような気持ちで「パワーポイントで歌詞を出してよ」とお願いしたんです。それが大好評で、あちこちでやるようになったんですよ。
和嶋:なるほど。やっぱり原点はライブハウスじゃないですか。そういうのをでかいホールでやろうとすると、事前にちゃんと打ち合わせをしなくちゃいけなくなりますよね。
大澤:大きい会場だと機材を持ち込みすることになるし、大掛かりなことになるし、実績がないとダメですね。それがライブハウスなら特に許可もなくできるし、とりあえずやってみようぜ感はありますよね。そうやっていろいろといたずらができて、ウチのバンドの文化を作ってくれてるのはライブハウスならではの空気なんだと思います。
──僕もバンドをやっていたのでわかるんですけど、昔のライブハウスはいろいろと敷居が高かったし、厳しかったですよね。デモテープの審査があったり、オーディションがあったり。
和嶋:ロフトは、今はもうテープ審査はないんですか?
──ないですね。YouTubeを見てどんなバンドか確認するので。
和嶋:そうかぁ…僕らはロフトに2回くらいテープを送ったのに出られなかったですよ。
大澤:結果論で言うと、なかなか出られない敷居の高さも今になってみると燃える要素だったりするんですよね。念願叶ってやっと出られる達成感を味わえるのもライブハウスならではの良さだと思います。