ついに開催が目前に迫った、最新鋭の音楽とカルチャーを融合させたライブハウス発信の祝宴イベント『LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2017』(通称『ロフトフェス』)。2014年の初開催から4回目を迎える今年は「オルタナティヴ・ミュージックの祭典」がテーマ。時代の流れにとらわれない、前衛的でアンダーグラウンドな精神を持つ音楽をオルタナティヴ・ミュージックと呼ぶのだとすれば、この鼎談に参加してくれた人間椅子、打首獄門同好会、八十八ヶ所巡礼の面々はその急先鋒に立つ存在と言えるでしょう。出自も音楽性も世代も違えど、この三組に共通するのは生粋のライブ・バンドであるということ。小手先の技術に頼らず、ロックへの限りない愛情と人間力を爆発させて他の誰にも似ていない音楽を生み出すライブ・バンドの凄みと底力を彼らは今回の『ロフトフェス』でもまざまざと見せつけてくれるはず。打首の大澤会長いわく「いろんな意味で予想のつかない面白い一日になりそう」な今年の『ロフトフェス』はいつにも増して濃厚濃密、四の五の言わずに乞うご期待![interview:柳沢英則(新宿LOFT) 写真:大参久人 構成:椎名宗之]
新宿ロフトは老舗中の老舗で敷居の高い存在
──まず、みなさんの新宿ロフトに対する思い入れやエピソードを伺いたいのですが。
和嶋:去年、戸川純さんとツーマンをロフトでやらせてもらったんですが(2016年6月15日)、戸川さんは僕らにとっても先輩なので、夢のような企画に参加させてもらって光栄でした。人間椅子は今年でデビュー28年目になるんですけど、実はロフトにはそんなに出たことがなかったんですよ。ロフトは東京のライブハウスのなかでも老舗中の老舗で、バンドを始めた頃からハードルの高いイメージがあったんです。いつかロフトに出たいと思って、当時はテープ審査をやっていたのでデモテープを送ったんですけど、あっさり落ちまして(笑)。それ以来、ロフトはどうも敷居が高くなってしまいまして。デビューした頃はアンチノック系列でよくライブをやっていて、ロフトは10年に一回なんかのイベントに出る程度だったんです。それがここのところ戸川さんとの絡みで時折出させてもらっているので、嬉しく思っています。
廣井:もう4、5年くらい、僕らは毎年8月8日にロフトでワンマンをやらせてもらってて、8月9日がウチのドラム(Kenzoooooo)の誕生日なんですよ。だからワンマンの打ち上げで誕生日イッキとかしてフロアでゲ○吐いたりして、バーカンの人に一度すごく怒られたことがあるんです。それ以来、床にゲ○を吐かなくなりましたね(笑)。
大澤:ウチがロフトに初めて出たのは、懇意にしていた定期的なイベントの「この日は勝負を賭けるぞ!」っていう回だったんです。当時、キャパが100、200くらいのライブハウス中心で活動していたので、キャパが500を超えるロフトは下から見上げるような敷居の高い場所でしたね。いつかあそこに出られたらなぁ…と思っていたので、初めて出た時は昂ぶるものがありました。でもどっちかと言えば、ロフトは出るよりも見に来た印象が強いかもしれない。新宿のサーキット・イベントで目当てのバンドがロフトに出ることが多かったので、入口の階段をよく上り下りしたりとか。いちばん申し訳なく思ってるのは、酔っ払ってリユースカップを鞄のなかに入れたまま持ち帰ってしまったことですね。それも2、3回やってるので、ホントすいません! って思ってます。
──人間椅子と八八は千葉ルックの25周年企画(2014年11月30日)でツーマンをやったことがありましたよね。
和嶋:そうですね。マーガレットとはあのルックが初対面でした。
廣井:打ち上げでも仲良くさせてもらって、ベーシストはベーシストと、ギタリストはギタリストと、ドラマーはドラマーと、それぞれ同じパートと一緒に呑んで盛り上がった記憶があります。
──人間椅子と打首は『大冠生誕祭』(2016年9月4日)が初共演ですか。
大澤:はい。今回の『ロフトフェス』と同じチッタで一度共演させていただいて。
和嶋:あの時の打首はすごく盛り上がってましたよね。なにか新しいものを感じました。
──八八と打首の初共演は?
大澤:わりと古いよね。
廣井:5、6年とか経つのかな?
大澤:僕が385のサポートをやってた時だよね。初めての対バンが自分のバンドじゃなかったっていう。
廣井:そうでした。下北のベースメントバーですね(2011年10月24日)。
大澤:打首として絡んだのはマーガレットのソロでしたよ。九州の小倉(2013年10月5日)。あれがたぶん初めてのちゃんとした絡みだったんじゃないかな、打首としては。
廣井:そうでしたっけ? まぁでも、打首のツアーに何度か参加させてもらったりして。盛岡とか山梨、静岡にも行きましたね。
大澤:バックドロップシンデレラと一緒にまわったツアー(2015年11月17日〜2016年2月5日)とかでね。東北は四星球やチェリコ(THE CHERRY COKE$)なんかと絡んだツアーで。
──打首獄門同好会は「日本の米は世界一」を筆頭に、最近だと「ニクタベイコウ!」とか、食べ物をテーマにした曲が多いじゃないですか。ツアーでも食には貪欲なんですか。
大澤:貪欲ですね。日本各地の名物を今も探しまわってます。
和嶋:でも、日本各地の名物ってそれほど美味くないってことない?
大澤:ありますね。いわゆるおふくろの味的なご当地B級グルメだったり。たとえば盛岡三大麺と言えば、わんこそば、冷麺、じゃじゃ麺ですけど、あれはけっこう見解が分かれますよね。
廣井:その話を聞いて、僕も最初にじゃじゃ麺が頭に浮かんだんですけど(笑)。
大澤:あと、仙台と言えば牛タンですけど、牛タンが名産って何よ!? っていうのがあるじゃないですか。
和嶋:そうそう。それはアメリカからの輸入でしょ? っていう。
大澤:牛の舌だけ取れるわけないよな…とか思うし(笑)。
和嶋:そのへん、北海道は肉でも魚でも元が美味いですよね。そこで獲れたもの、いわゆる地産地消の食べもののほうが断然美味い。
──ツアー先で食べたいちばん美味しかったものは何ですか。
和嶋:高知県に初めて行った時に食べたカツオはすごく美味しかったですね。塩で食べる塩タタキっていうらしいんだけど、あれは東京で食べたことがなくて、本当に美味しかった。
大澤:高知で食べるカツオは美味いですよね。藁焼きも最高。