出演者に求めること
——過去でもいいのですが、ライブを観に行く時に出演者の方に何を求めますか?
卓偉:これは女子と男子で多分違うと思うんですけど。僕がティーンエイジャーの時から観に行ってたのは、外タレが多かったんですけど、いろんな人のライブを観に行って思うのが、媚びずに自分たちの120%を出して、俺たちは自分たちの音楽を信じてるっていうような演奏を、それこそ1時間だけのセットでもいいから、ポーンとやってくれてアンコールなしで帰ってくれても、そういうものを見せてくれた方が格好いいなって思うんですよね。変にサービス精神とかもなくて全然いいですし。ただ内に秘め過ぎると外にメッセージが伝わらないことが当然あるにせよ、そういう強さを持ったライブをやる人がすごいロックだなって感じたりはしますね。フジロックやサマソニ(サマーソニック)とかのような大きいイベントだと尚更そう思います。その場で盛り上げようっていう気持ちはもちろんあるんでしょうけど、そういうことじゃなくて、今日ここにいる意味と、今日ここで演奏する意味は何だっていうことを、演奏でもってパフォーマンスする人たちがやっぱり格好いいかなと。そういうのを感じて伝わったかどうかを自分で感じるので、ちょっと軟派っぽくなったりとか、MCだけで笑いをとりたいとかは、音楽で勝負してるんだったら音楽を見せてくれって思うんですよ。そういうアティチュードみたいなものは求めますけどね。でも基本は好きにやってくれてれば。それを観に来てるわけですから。
小高:俺はすごく好きな人のライブしか行ったことがなくて、そうじゃなく行ったのは、Rage Against The Machineくらいですかね。
一同:(笑)
小高:初めてライブらしいライブを観たのが、幕張メッセのRage Against The Machineだったんですよ。うちのギターの壮に誘われて、悟と3人で行ったんですよ。その時はそんなに詳しくなかったので、有名な曲を知ってるくらいだったんですけど、圧倒されましたね。2万人くらいいて、その人数をこんな風におかしくさせちゃうってすげーなって。外国人もいっぱいいて、テンションが上がり過ぎて外国人がずっと「FUCK!」って叫んでて(笑)。
卓偉:(笑)感覚がどこかお祭りなんでしょうね。
小高:そうですね。他はNUMBER GIRLとかくるりとか…。やっぱり圧倒されたいんですよね。非日常感というか。自分の普段感じないような感覚を味わいに行ってるというか、わけ分かんない感じというか。だからどうこうして欲しいっていうのは、こっち側からは俺はあんまりないですね。何しても、多分好きなんで。
卓偉:それがやっぱり男の考え方ですよね。女の子はそうじゃないところがいろいろあるでしょうけどね。今日の髪型や衣装とかが好みじゃないとかって手紙に書いてあったりして、どこを見てるんだろうなって思いますもん(笑)。点を見てるのが女の人で、点が線で繋がるような感覚で見てるのが男なのかなって。
小高:NUMBER GIRLとかは、ミスをしたって格好いいし、弦が切れたって格好いいし。逆に弦が切れれば切れるほど格好いいくらいだし。
卓偉:分かります。お客さんで観に行った時に、トラブルがある方が得したって感じるしね。で、トラブルがあった時の対応で、プロフェッショナルかどうかっていうのが決まるというか。オドオドされたら、「器が小さいな」ってなるんで(笑)。そういうところを男は冷静に見てますよね。
小高:そうですね。俺もトラブルがあった時にオドオドしないっていうのだけは、ステージに上がる時に意識しますね。逆にそれをどんだけ美味しいって思えるかみたいな。この間もマイクのケーブルが外れちゃった時に、悟のマイクで歌ったり。外れたケーブルを拾って付けたりしてたら格好悪いじゃないですか(笑)。ラスサビだったし。そういうのはよくありますね。
——合田さんはどうですか?
合田:僕はあんまり求めないですね。でも緩いのは好きじゃないです。誘われたらいろんな人のライブを観になるべく行くようにしてるんですけど、例えばすごくMCが長いのとか、お客さんをいじって楽しんでるのとか、僕はあんまり好きじゃなくて。でもそういう人も意外と多かったりして。卓偉さんが言われるように、もっと自分らをワッと出して欲しいのに、何か緩い空気感っていうのは、あんまり好きではないです。
小高:対バンでMCが長いと、段々苦笑いし出すよね。
合田:はよ曲聴かせて〜って思ってるんかな、やっぱり(笑)。
小高:普段、悟って無表情でもちょっと半笑いじゃない?
合田:全然褒めてないね。
一同:(笑)
小高:それがどんどん苦笑いになってくよね(笑)。
合田:MCとかって結構センスが出ると思うんですよね。
小高:そういう意味では、俺はMCのセンスがあんまりないんで。ワンマンでもほぼMCがないですね。
卓偉:全然それでいいですよ。それで格好いいですよ。
小高:煽るだけでアンコールくらいまでほぼないですね。でもその方がライブがタイトになったよね。MCで台無しになる時とかあったもんな。
合田:あるある。全然あるよ。
——今回のイベント時はお互いにMCがなさそうな雰囲気になってきましたね。
一同:(笑)
卓偉:でもそういう空気になった時は、それでも全然いいと思いますけどね。確かに、外タレも含めて今まで良かったなって思うライブは、MCが少なかったりしたライブのことを言う気もするんですよね。だからこそ、最後帰る時の「どうもありがとう」の一言が、もの凄く響いてきたりすることって、やっぱりありますよね。ポリス(THE POLICE)のドーム(東京ドーム)に行ったんですよ(2008年)。最後の曲のアウトロでスティングがメンバーを1人1人紹介していって、「Thank you so much! どうもありがとう」って言っただけで、あとは何も言わなかったんですよ。延々と曲だけをやって、竿を持ち替える時も特に何もないままで、無駄がないって言うか。それがすごく印象に残ってるんですよね。いいライブっていうのは、別にMCが長くなくてもいいんじゃないかなって気になりますよね。
小高:俺もライブを観に行った思い出で、MCの記憶は全然ないですね。
卓偉:まあ、面白いに越したことはないんでしょうけどね。お客さんが固かったりして、ほぐすMCがあったとしたら、それは絶対に必要ですし。
小高:MCってあくまで薬味程度のものですよね。
卓偉:そうですね。