Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー幸也(Kαin)×樹威(GOTCHAROCKA)【完全版】

master+mindが主催する年始のROCKフェスティバル【Rock is Culture 2017】。
その最終日に2マンを行なう、Kαinの幸也とGOTCHAROCKAの樹威でのスペシャル対談を決行!!

2017.02.21

ボーカルの魅力とは

——ボーカルの魅力は何だと思いますか?
樹威:僕は最初と変わってきましたね。最初は簡単に考えてたんで。ただ立って歌えばいいやって思ってたのが、違うものだなって。
幸也:男前で歌が上手い奴を連れて来て歌わせたら売れるっていうもんじゃないじゃないですか、バンドって。めちゃくちゃ男前で歌が上手いのに、めちゃくちゃ格好悪い奴もいるじゃないですか、バンドの世界は。だからボーカルのいい所なのか、悪い所なのか分からないですけど、自分次第だってことじゃないですかね。バンドってことになって言うと、結局ボーカルだと思うんですよね。俺は歌もののバンドしかやったことがないので、インストのバンドは分からないですけど。そのバンドがいい方向に行くにも、結果が出ないにしても、結局バンドってボーカル次第なんだなっていうのはありますね。例えば事務所に入った場合、その事務所がどれくらいお金を掛けて宣伝してくれるか、くれないかとか、いろんな問題はありますけど、でも二十何年やってきて思うのは、ボーカルさえズバ抜けて格好良かったら、周りがどんなにダメでも、ライブをやる度にちょっとずつお客さんは増えるんだなっていうのは思いました。100人をいきなり1000人にするにはメディアとかが必要だとは思いますけど、100人を105人にすることはボーカル次第で確実に出来るって感じじゃないですかね。その逆もまた然りで。だから最近はそういう気持ちにはなりましたね。やっぱり若い頃ってバンドが上手くいかないと、「あいつが悪い、こいつが悪い」ってなるじゃない? 実際に問題を起こす奴もいるんですけど。でもボーカルさえ格好良ければバックがそこまでイケてなくても人気が出るんだなってのは、思いましたね。「俺さえ格好良ければ」って。
——でもセンターに立つ人はそのくらいの気持ちを持っていないとですよね。
幸也:そうですね。
——樹威さんは、ボーカルの魅力が最初とどんな風に変わったんですか?
樹威:僕はライブが最初はあんまり好きじゃなくって。
幸也:俺もだよ。
樹威:あっ、そうなんですね! ライブが早く終わってくれないかなってずっと思ってたんですよ。じゃあなんでライブするのかって話なんですけど…。制作してたりとか、曲が出来たりとかっていうのはすごく楽しいなって思ってたんですけど、ライブが本当に苦痛で、1曲目から早く終わらないかなってずっと思っていたくらいで。でも歳を重ねてきたらすごく好きになってきて。いろいろ経験して、ボーカルっていうのはこういう感じなんだっていうのが見えてきて。最初は簡単に考えていたものが、途中で「どうせ歌っても伝わらないんだろう」っていう風な考えにもなったりしたけど、「意外と伝わるんだな」ってまた思うようになってきて。今は「ちゃんと伝えようと思ったら伝わるんだ」っていうのを信じてやれるようにはなったんで。そういった目に見えないものがあるんだなっていうことに気付いたことがボーカルとしての変化ですかね。
——伝わるんだって思ったきっかけはあったんですか?
樹威:メンバーだったり関係者とかでも、ライブ中の「あっ、ここ、今すごく想いが入ったな」みたいな瞬間をパッと言われた時や、お客さんからもそういうのが伝わったりとか。手紙やSNSとかもそうなんですけど、「あの瞬間がすごくジーンときました」って言葉があったりした時に、ちゃんと聴いてる人は聴いてくれてるんだなって。
幸也:僕らって便宜上、アーティストって名乗ってますけど、やっていることがアートなのかエンターテインメントなのかっていうのが、特に日本って国においてはすごく曖昧でミックスされてるじゃないですか。例えば、アメリカとかみたいに音楽市場がすごくでかい国とかだと、今まで完全にマイノリティだったものが、ある日突然バーンとマーケットとしてでかくなるってことがあるわけですよ。NIRVANAがブレイクした時のグランジなんかそうじゃないですか。絶対にマーケットが無いと思われていたものが、ある日突然、「全米1位です」ってなる国で。でも日本っていうのは、事務所間の権利関係だったりとか、利権の問題とか、電波の枠の問題とかも含めて、そういうのが無い国なんですよね。芸能界の組織のシステム的にそういうのが無いから、職業が違うと考えた方がいいと言うか。アートなんだけど、エンターテインメントとのバランスを取るのが仕事です、みたいなところだと思うんです。アートって方向に振り切っている場合は、「誰にも理解されないとしても、俺はこれをやるんだ」っていう信念みたいなのが必要になると思うんですよね。バンドで言うと、お客さんが0人でも全く自分のモチベーションが落ちないっていう精神力の強さが必要になるんだけど、多分俺も樹威もそもそもそれが無いと思うんですよ。だからライブがつまらないんですよね。
——最初の頃は辛いと感じてしまったんですね。
幸也:そうそう。そこまでの強さが俺たちは無いタイプのボーカルだと思うんですよ。だけど、何とか堪えて頑張って続けているうちに、何年も応援してくれる奴とか、さっきも樹威が言ったように「あっ、これかな」って思える瞬間ってものを共有できるスタッフだったり仲間だったりが増えてくるうちに、認められているとか、自分の存在意義みたいのをそこに見出してくるから。それが単純に言えば、人に認められているから嬉しいって、ただそれだけのことなんですけど。アートに振り切った場合は多分、誰にも認められなくてもやり抜く精神力がないとダメなんですよ。何にも知識がない人がピカソの絵を見て、「上手いな、これ」って思うかって話じゃないですか。技術論で言えば「上手い」とは思わないだろうなって。でもこれがいいんだよっていうのは、アートに振り切ってる話だから。そこじゃないんですよね、僕らは。もっと言うと、誰かに愛されたいと言うか、認められたいとか、幻想なのかもしれないんですけど、何かを共有したい、もっとシビアに言うと共有した気持ちになっていたい、とかなのかもしれないんですけど。でも確かにそういう瞬間がステージの上にはあるんですよ。多分それを僕らは最初は知らなくて、これだったらレコーディングしてる方が楽しいとか思ってたんですよね。ずっとそうでしたよ。D≒SIREも初期のライブは葬式みたいでしたもん。人気が出てきて、お客さんは割とライブハウスにぎっしりいるんだけど、幕が閉まってると、「今日はお客さんがいないんじゃないか」ってくらいシーンとしてて、幕が開いたらめちゃくちゃお客さんがいて、「何だろうな、これ」みたいな(笑)。そんなライブが最初の1〜2年は続きましたよ。でも昔はそういうバンドが多かったけどね。MALICE MIZERとかも初期の頃とかは、お客さんがめっちゃいるのに、誰も盛り上がってなくて、ジッとただ観てるみたいな。そういう感じでスタートしたんで、MCとかも出来る雰囲気じゃなかったですね。
——静かすぎてですか?
幸也:そうそう。最初はそういう感じでしたよ。始まる前に幕が閉まっている状態でステージに立ってて、ホールの様子は分からないままで、SEが鳴っても誰も「キャー」とかも言わないから、「あれっ、今日は誰もお客さんがいないのかな?」っていう感じで(笑)。幕が開いたらお客さんがぎっしりいてって感じでしたね。その時は、正直ライブが好きとは思えなかったですよ。自分がいいって思えることをやっているっていう信念はもちろんありましたけど、このまま誰にも認められず、誰にも愛されないのに、これを10年、20年続けられると思えたかって、その頃に言われていたら、とっとと辞めていたと思いますけどね(笑)。
——問いかけても反応がないことに耐えていくのは辛いですよね。
幸也:それは弱さなのかもしれないですけど、そこで長く応援してくれている人がいるから、段々ライブだったり、バンドってものをより好きになれたっていうのは、正直あると思います。
——お客さんの力って、本当にすごいですよね。
幸也:本当にそれはそうだと思いますよ。
樹威:それがモチベーションですね。
幸也:きれいごとを言っているわけじゃなくって、バンドって多分、波があるんですよ。バンドとバンドをまたいでもそうですけど。樹威にしたって、Luinspearがあってヴィドールがあって、今のGOTCHAROCKAがあってっていう中で、いい時もあればよくない時もあるんですよ。それは数字的な面もそうだし、環境的な面もそうだし、人間関係的な面もそうなんですけど。「もうダメだな」って時に、どうして続けられたり、もう1回バンドをやろうって思えるかって言ったら、ファンだけじゃなくて仲間やスタッフも含めてですけど、やっぱり応援してくれる人がいるからですよね。それは年々感じるようになるんじゃないですか。
——必死にやってきて、その時は周りが見えないけど、徐々にその存在に気付いてくるって感じですか?
幸也:そうですね。年々それは比率が大きくなってくる気がしますね。こだわってることとかも変わってくるし。やっぱり10年や15年前の自分だと、でかい舞台でいいメンバーだからD≒SIREをやってくれって言われても断ってますよ。歳もある程度いってきて、僕なんかの場合は入院したりもあったんで、あと何年もバンドを出来ないんだろうなって思った時に、いつ、どんな形でありがとうって言えばいいのかなっていうのを考えるようになるんですよ。一昨年D≒SIREの話が出た時も、ありがとうって思ってる気持ちを伝えれる最後の機会の1つかもしれないなと思ったんで代々木体育館でD≒SIREをやったんですよ。17年振りかな? (オリジナルメンバーの)聖詩と一緒にやりましたよ。
——感覚って変わらないものなんですか?
幸也:変わらないですね。いい部分も悪い部分も変わらないです。それはすごく複雑で…。聖詩をディスってるとかじゃなくって、昔別れた女みたいなもんですよ(笑)。誰しもが恋愛して別れる時には、別れるなりの理由があるじゃないですか。それは自分が悪かったんだとしても、相手が悪かったんだとしても、別れたものは別れるべくして別れたんだろうなっていう部分も正直あるんですよ。でも、いい部分が変わるわけじゃないから、「やっぱこいつの曲すげーな」っていう部分もあったし、そういう部分は勉強になりましたね。やっぱり人っていろいろ思うじゃないですか。「あのままD≒SIREが続いていたら、幸也くんすげー売れてたよ」とか言われたりもするんですよ。多分樹威にも「あのままヴィドールを続けてた方が良かったよ」って言う人も中にはいたと思うけど、それは多分ないんですよ。きっとないと思うんです。過去の自分に戻っても、多分俺は、D≒SIREを辞めてJILSを作ってるだろうなって思う部分もありましたね。そう思うと、D≒SIREもそうだけど、JILSも大事だったんだなって思ったし、いろんな意味で勉強になりましたね。17年間くらいこだわって…。口を聞いたこともほぼなかったですからね。
樹威:でもそうなりますよね。
幸也:うん。偶然、12012のライブで会って、「おっ」ってみたいのが1回あったくらいですね。あいつが12012のアレンジか何かの仕事をしてたんですよね。
樹威:あっ、アレンジャーをされてましたね。
幸也:俺は知らなくて。別に気を遣わなくていいのに、変に気を遣った12012のメンバーが、「幸也さん、今日、聖詩さんが来てますよ」って。俺は別に用事ないよ(笑)、みたいな。それくらい会ってなかったんですよね。ただ、D≒SIREをやろうって思ったのは、「あと1回でもいいから幸也さんが聖詩さんと一緒にやっているところを観たい」って人がたくさんいるんだなっていうのを実感したし、お互いにまだステージに立てるくらいは体力も残っていて、ましてやあの時は「でかい舞台で注目されているイベントでやりませんか」って話だったから、そう言ってくれる人がいるっていうことも有難いことだし。自分の心のちっぽけなことよりも、やった方がいいのかなっていう感じでやったんですけど。それも感謝の気持ちを持てるようになったからですよね。樹威がさっき言っていた、年々変わってきてるっていうのも同じなんじゃないかと思いますけどね。
樹威:そうですね。昔は、ステージに立ってる人間だからお客さんとは隔たりを持たなきゃいけないと思って。今でも多少なりは思うんですけど、すごく意識し過ぎていたというか、それが描いていた夢みたいな感じなところもあったんです。それで昔はちょっと毛嫌いしていた部分というか、お客さんのこともそんなに愛情を持たない方がいいんじゃないかっていう風に思ってたのもあったんですけど。ヴィドールを解散した時もお客さんからバッシングもすごかったんです。本当に死ぬんじゃないかってくらいバッシングを受けた時もあったんです。お客さんがバンドに対してここまで愛情を持っていたんだなっていうのが、その時に僕は初めて分かって。もっと簡単に見てると思ったんですよ。別に辞める時は辞めればいいと思ってたし。でもその時にお客さんの声がダイレクトに響いたのもあって、そこから考え方が変わったと言うか。ちゃんと愛情を持ってついてきてくれてる人はついてきてくれてるしって考えたら、何となく昔とはお客さんに対しては変わってきましたね。でもどこかしらある程度は距離を保つことが、一応ステージに立ってるから、それが夢を見せることじゃないかなって考えたりもするんですけど。線を引くこともたくさんあって、ちょっと難しいですけどね。本当のことを書いてますけど、どこまで本当のことをやったらいいのかなって。
幸也:変換する技術みたいのが必要になってくるよね。このことを書いてるんだけど、そうは読めないみたいな。それが段々必要になってくるって言うか。
樹威:そうですね。blogやTwitterとかも途中まで書いて、やっぱり止めようって思うことが何回もあったりして。
幸也:変にとられたりすることもあるからね。方向が難しいよね。歳を取ってきて自分がオジサンになってくると、それでもまだ自分を応援してくれてる人っていうのは、何を応援してくれてるのかなって考えると、俺の場合はやっぱり曲なのかなって思ってきて、よりいい曲を書かなきゃいけないなっていう気持ちが、むしろ若い頃より強くなったかなっていうのはありますけどね。媚びてるとか、売れるような曲を書こうっていうこととは、またベクトルが違って、みんなに長く愛される曲を書きたいなっていう感じ。新しく若いファンを開拓するぞっていうことよりも、ずっと20年も自分の曲を好きって言ってくれてる人が、さらに20年好きになってくれるような曲を書けないかなって。最初にバンドをやり始めた頃は、自分が30歳までもやらないんじゃないかなって思ってたから。20代までだろうなって思ってたけど、今は40代でまだやってるわけじゃないですか。
樹威:僕もそうですね。26、27くらいで死ぬんじゃないかなって思ってましたね(笑)。
幸也:みんなあるよね(笑)。“27クラブ”って言うのがあるんですよ。ロック界で偉大な業績を残した人が、27歳で死んでいる人がすごく多いんですよ。だから何となくロック・ミュージシャンはみんなその年齢を意識するんですよね。そこを越えて、まだ自分が続けている時に、永遠に続くものっていうのはないわけなんですけど、ただ、俺なんかだと一番古い曲だと30年くらい前に書いた曲がまだファンの人に愛されているっていう現実があるわけなんですよ。仮にですけどあと20年、ファンの人に忘れずに覚えててくれるような曲を書けたら50年いくわけじゃないですか。結構すごいことじゃないですか。50年その曲を好きって言ってくれる人がいるとかになったら、1人の人間がこの世の中に残せたものとしては、わりと満足して死んでいいんじゃないかなって。1人の人間がやったこととして、何十年も好きって言ってくれる人がいる曲を書いて、それを世の中に残せて死ねたんであればいいかもっていう気持ちに段々なってきているって感じですね。
 
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LIVE INFOライブ情報

Shinjuku Loft「master+mind」presents【Rock is Culture 2017】
2017年02月28日(火)新宿LOFT
OPEN 18:15 / START 19:00
前売り 4000円 / 当日 4500円(共にドリンク代500円別)
※未就学児童入場不可
【出演】
Kαin / GOTCHAROCKA(50音順表記)
【前売りチケット発売中!!】
・ e+一般(Bチケット)
・ LOFT店頭(Bチケット)
・ ローソン(Cチケット/L:70704)
【入場順】
1. Aチケット(e+プレオーダー/受付終了)
2. Bチケット(e+一般・LOFT店頭)の並列
3. Cチケット
【主催・企画・制作】
新宿LOFT / master+mind
【協力】
ライカエジソン / 自主盤倶楽部 / little HEARTS. / ZEAL LINK / ブランドエックス
【お問い合わせ】
新宿LOFT 03-5272-0382
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