ライブ後の精算は説教タイム!?
──それではみなさんの新宿LOFTの思い出や印象を教えてください。
アヲ:LOFTは僕の中で、音楽をやってる人間にとってのサンクチュアリだし、自分にとってもサンクチュアリだし、ここに出れなくなったら自殺もんですよね。……しないけど。
一同:(笑)
アヲ:やっぱりLOFTって憧れだったんですよ。高校の時から新宿LOFTにものすごい出たいっていうことから始まって、おそらく初めて出たのが95年かな。
ryo:今ってオーディションライブってあるんですか?
──西新宿のLOFTの時はあったんですが、今はないですね。
ryo:オーディションライブみたいなのは出たことはないんですけど、ここのライブハウスに出れるようになった、みたいな文化って、今はもうないんですかね?
アヲ:その箱に出れるようになったバンドをライブハウスの人がブッキングするっていう仕組みより、単純に小屋貸しでイベンターがいて、バンド側がイベントを作って出るっていうのが主流じゃありませんでした? 当然僕も初めて出た時にはSHAZNAのイベントでしたもん。「トップバッターで出させてあげるよ、LOFT」って。トップバッターだけれどLOFTに出れたのがすごく嬉しかったもん。cali≠gariで出たんですけど、そこからのLOFTの歴史ですよね。
──西新宿の時と歌舞伎町では違いますか?
アヲ:全然違う。やっぱりねぇ、申し訳ないけど神々しさみたいなのは、向こうの方が全然上ですね。悪いイメージが強いんですよ、あっちの方が。「えっ、ここが本当に新宿LOFTなの!?」っていう場所にあって、入り口からチケットもぎりの小さいカウンターがあって、階段下りたらひな壇でドーンと広がってるっていうのが僕の中での新宿LOFTなんですよ、やっぱり。ここってテナントじゃないですか。ステージは前より広くて使いやすいけれど、他のお店も入ってるし、そういう意味でライブハウス感っていうのが少ないんですよね。もちろんこっちも好きですよ! 勘違いしないでくださいね(笑)。あの柱だけ切り倒したいって思ってるんですけど。
ryo:なくなるかもしれない(笑)。
アヲ:このビルがね(笑)。確実になくなりますよね!
ryo:あれは結構、要だと思いますね。
アヲ:でも、地下のライブハウスって大体柱がありますよね。
ryo:昔のLOFTは数えるほどしか出たことがないんですけど、やっぱりあの頃に出れて良かったなって思いますね。
アヲ:ちょっと話がずれるんですけど、移転前にLOFTでワンマンが出来て本当に嬉しかったんですよ。あと出たかったとこって1カ所しかないんだけど、出れなくって。日清パワーステーションなんですけど。で、LOFTも移転の話を聞いて、うちのcali≠gariのLOFTのワンマンをやったのって、98年の末なんですよね。だから移転直前じゃないですか。何としてでもLOFTで初めてのワンマンをやりたい! って。ここのライブハウスでこれをやりたいって、そういう風に思った場所は初めてなんですよ。LOFTのワンマンをやりたいっていう断固たる自分の意思があって、それぐらいLOFTが好きだったんですよ。例えばロックバンドの漫画とかを見るとLOFTじゃないですか。
ryo:僕はやっぱりBOØWYが出演していたのが。初期のBOØWYっていうとLOFTっていうイメージじゃないですか。もうそこからすごい憧れでしたね。
アヲ:近年、昔のテープとか入っているBOØWYのDVD BOXとかに昔の映像とか入ってるじゃないですか。もう観てギュンギュンしてましたもんね。お客が勝手にステージに上がっちゃって、氷室さんに殴られてる! みたいな。氷室さんが「お前ら上がって来んじゃねーよ」っ言ってて、「超こえー」みたいな(笑)。「そうだったそうだった、そういうLOFTだったよ!」って。初めてLOFTに来た時って、確かAUTO-MODなんですよ。オープニングアクトで鈴木晃二さんがやっていたDEEPが出ていて、発狂したんですよ。DEEPはその前から観たくて、「初めてのLOFTはDEEPで!」って思ってたのにシークレットでやったDEEPの初ワンマンはチケットが全然取れなくて、観れなくて。そうしたら、たまたまその時にシークレットでオープニングアクトで出て、発狂して真ん中から最前まで行った覚えがあるんですよね。そのぐらいLOFTという空間は昔も今も人を狂わせる場所だなって。あの時のあーいうバンギャの気持ちが自分の中にすごく残っていて、明確にあの時の気持ちを思い出せるから、ステージで自分がこういうことをやったらっていうのを考えて、お客は多分あの時の僕の気持ちになるだろうなっていうのをいっつもリンクさせてて、そういうことを教わったのも新宿LOFTなんですよ。超推してますね、LOFTを(笑)。
──(笑)有難うございます! 瀬音さんは?
瀬音:いやぁ〜、こんないい話を聞いた後に(笑)。前のLOFTも知らないし、ここでもまだ数回ぐらいしか立ってないんですけど。最初にLOFTに来たのは、知り合いの先輩のライブを観に来て、それがすごい満員でぐちゃぐちゃしてて、「何だこのライブハウスは!」って思いました。すごい人が入り乱れてて、それを観た時に、いつかここでやってやろうって思って、それが実現したのが前のバンドの時で、やっとここに立てたなっていうのは実感としてありました。まだまだここで自分が歴史を作っていけるように頑張んないとなって思ってます。
アヲ:ほんとにLOFTって、全てのバンドに優しいじゃないですか。とにかくスタッフの教育がすごいですよね。日本でいろいろなライブハウスを見ましたけど、LOFTと同クオリティーのスタッフさんの気遣いとか動きが出来るのは、僕が知ってる中では5個ぐらいしかないんですよ。動かないところは動かないですよね〜。ましてや寝てたりしますからね。
ryo:そうですね。ライブハウスって、イベンターさんが入ったら貸しホールみたいになっちゃいましたよね、いつのまにか。でもLOFTってライブハウスのままだなって。
アヲ:分かるぅ〜、ちゃんとスタッフがみんな連携を取り合ってるよね。ほんと来て、ライブハウスだなって感じる。都内だと、ここと池袋手刀はライブハウスだなって感じる。池袋手刀が好きな理由って、すっごいLOFTっぽいんですよ、あそこって。今、前のLOFTと創りが1番近いって点では池袋手刀だなって。そういうのが重なって、どちらかというとラボは手刀バンドなんですよね。
kazu:そうですね、ライブハウスって感じですね、どっちも。僕のLOFTの思い出は…。
アヲ:RESEARCHの時って絶対出てますよね。
kazu:そうですね。あとはSOPHIAがLOFTで確か無料ライブをやった時に、理由は忘れてしまったんですけど観に行って、その時に入場者全員にVHSを配布していて…。
アヲ:時代だ!
kazu:確かSOPHIAがそれを全国でやってて、その時に僕は10代だったんですけど、10代ながらにこれは大人が噛んでるバンドだなって思ってました。
アヲ:なんで急に汚い話になるの〜。
一同:(笑)
kazu:いや〜、結成したばかりのバンドが無料ライブやってVHS配って、これは大人がお金を出してるバンドだな、と(笑)。
アヲ:そりゃ、元Rose noirですもん(笑)。
kazu:そうですね。それを観に行ったのが多分LOFTです。あと、GACKTさんがMALICE MIZERに入ってすぐのライブをLOFTでやってますよね? 確かLOFTと鹿鳴館とCYBERの3daysがあって、それを観に行かせてもらいましたね。
アヲ:LOFTは結構ね、伝説的なのをいっぱいやってますって。LUNA SEAが『LUNA SEA』を発売した時の黒服限定ライブもそうだったはずだし。1曲目から最後までアルバムの通りにLOFTでやって。帰りにLOFTの目の前を通ったら殺伐として超怖かったですもん。「SLAVE(LUNA SEAのFUN CLUB)こえ〜」って。
kazu:昔怖かったですよね〜。女の子ばっかりだったんですけど、なんか怖かったですよね。
アヲ:メンチ切り合ってんだもん。黒服着てテディベア抱いてんのにメンチ切り合って(笑)。
ryo:昔のライブハウスって怖いとこでしたよね。
アヲ:うちらも、今だから話せるけど、ヴィジュアル業界って、酒が強いか、喧嘩が強いかじゃないと生き残れなかった思い出ありません?
ryo:ヤンキーが楽器持ってるんじゃないかっていう時代だったんで。
アヲ:そうそう。おめー根性見せろよって、いやいや音楽と関係ないじゃんって(笑)。
kazu:今、新しく出来てるライブハウスって大体禁煙ですからね。
アヲ:何か違うでしょ。このLOFTですら、ホールが禁煙ですもんね。昔は50人とか入ってないライブとかにもよくLOFTに行ってたりしてたんだけど、1番後ろの方でワンレンの姫カットの女がカウンターの前で灰を落としながらタバコ吸って、「いいんじゃないの? このバンド?」って上からな感じで(笑)。
ryo:初めてライブハウスに行った時は、やっぱりすごくドキドキしましたもん。なにか良くないことが起こるんじゃないかとか、ボコボコにされるんじゃないかとか、なんかそういう得体の知れない怖さが昔はあったんですけど。
アヲ:今はそんなにね、ヤバい場所ではないよね。一部でさ、最前の問題とかちょっと嫌な話は聞くけれど、昔に比べたらね。最前は気合いで取るもんだよっていうのがあったし。いろいろ面白いですよね。
ryo:新宿LOFTは貴重なライブハウスだと思います。
──頑張ります!
kazu:あとは若手のバンドでLOFTから羽ばたいてくバンドが出てもらわないと。多分、僕らは自分らが憧れてたミュージシャンがみんなLOFTだったんでそこに憧れがありますけど、瀬音さんよりもっと下の世代になると、ちょっと少ないかもしれないですよね。
アヲ:やっぱりね、LOFTが出してる『ROCK is LOFT』という本とか、私は発売日に買って読んでるんですけど、もっとね、LOFTを崇めるべき。もっとLOFTってすごいとこだって、誰でも出れる場所ではないんだよって思うべきなんですよ、LOFTは。
ryo:これだけ続いてるっていうのはすごいですもんね。
アヲ:そうそうそう。やっぱり東のLOFT、西の鹿鳴館って感じだったじゃないですか。今もそうだと思うんですよね。当時は今で言うところのバンドのプロへの登竜門だったじゃないですか、LOFTにしても鹿鳴館にしても。そうであって欲しいですよね。もうちょっと冷たくてもいいと思いますよ。優しすぎですよ、LOFTは。
──出直して来い! って言って(笑)。
アヲ:(笑)怖い〜。
ryo:昔、ライブハウスの店長とかブッキングマネージャーって、ダメなライブをやると怒ってましたよね。
アヲ:必ずライブが終わって精算時って説教タイムがあったから、1バンド長いんですよね、説教の時間が。
ryo:学校の教務員室に呼ばれたみたいな感じでしたよね。今は無いですよね。「精算後日、メールしますんで」っていうのが増えてきてますよね。それがいいとか悪いとかではなくて、そういう風に変わってきてますよね。
kazu:そうですよね。なんなんでしょうね、終わった後の説教。散々ボロクソ言われた後にスケジュール帳広げて、3ヶ月ぐらい先のいい週末の日に、今度誰々出るから一緒にやってみる? って。
アヲ:待って待って、それはどっちかって言うと、ボロクソに言われても買われてる方だと思うよ。
kazu:怒られた後にそういうことやられると、頑張んねーとなって。
アヲ:僕なんて、生まれて初めてcali≠gariでライブやった時って池袋CYBERなんだけど、当時のブッキングマネージャーにやっぱり最初にその洗礼を受けたんですよ。精算で曲とかすごいダメ出しされて、結構自信があったのに超ヘコまされて…。あの当時やってた曲って未だにやってる曲なんだけど(笑)。「とりあえず、ここちょっと出てみる?」って、すぐ2週間後ぐらいの月曜とか火曜に入れられて、「えぇ〜、はいっ。じゃあお願いします!」って、びっくりした覚えがある。
ryo:ライブハウスは、権力持ってましたね、昔は(笑)。
kazu:店長さんとかブッキング担当の方が、ライブ終わった後に出演者にそういう話をするんだったら分かるんですけど、たまに不在の時があって、今思えば「全然ただのバイトでしょ? あんた」っていう子達にも言われてた気がするんですよね(笑)。
アヲ:おめー、誰だよって(笑)。
kazu:(笑)初めて会うけど、いつもの場所でいつもの会だから、聞いてましたけど。
アヲ:みんな通るんだね、そういう洗礼。
瀬音:僕も市川GIOで、ブッキングマネージャーの人がすごく怖くて、結構怒られましたね。
ryo:なんで怒られるんでしょうね。愛ですかね…。なんなら辞めちまえぐらいなことを結構言われましたよね。
アヲ:全否定されたもん。でも客が入ってくると、「ほら、私が言ったことは間違ってなかったでしょ」って(笑)。いやいや、うち、なんにも変えてないんだけど(笑)。ちょっと雑誌に載っただけなんですけどって(笑)。
ryo:でもあの頃は、ライブハウスとアーティストがすごい密接でしたよね。
アヲ:怖い人が多かったですし、権力持ってるのは全部女だったですよね。そういえば、ルート14の方にはとてもよくしてもらったのを覚えてます。最近はバンドの絶対数が少ない上、千葉方面でライブをやるっていうバンドが少なくなってきてるようで悲しいですよね。うちは元々ルートにすごいお世話になってたから超やってましたけど、その後、東京進出してからはLOFTに切り替わっちゃったから。
瀬音:ルートにcali≠gariさんのVHSが結構ありましたよ。
アヲ:結構ありました!? でもルートはいい箱だよね。すごい見やすいので、もっと賑わってくれればいいんだけど。千葉と言えばルートかGIOかLOOKで分かれましたよね?
ryo:僕は地元が新潟で、関東に行くっていうと都内だったので千葉は行く機会があんまりなかったんですよね。
アヲ:ですよね。関東バンドじゃないと千葉って行かないですもんね。
ryo:逆にチッタに行ったりとかはあったんですけど。あの時代って結構イベント毎でチッタがありましたよね。
アヲ:イベント毎にうちは全然誘われなかったんで(笑)。だから自分たちでやったっていう感じで。うちは全てのヴィジュアル業界の催し物からそっぽを向かれたバンドですから、あの当時(笑)。
ryo:やっぱり特殊でしたからね。カテゴライズ出来ないじゃないですか。
アヲ:本人たちは至ってヴィジュアル系やってるつもりだったんですけどね(笑)。
kazu:初めてcali≠gariを観たのがいつかは覚えてないんですけど、前のヴォーカルさんだったんですけど、ヤバいの出てきたなぁ〜って思いましたもんね(笑)。ヴィジュアルが強烈でしたもんね。
アヲ:まぁ、強烈でしたよね(笑)。
kazu:うつむいちゃうって(笑)。
ryo:目を合わせないようにしようって(笑)。
アヲ:いろいろありました(笑)。