藤井隆、約6年ぶりのニューシングル『She is my new town / I just want to hold you』発売!! 作詞・作曲・プロデュース・コーラスを松田聖子が担当し、ビデオクリップは楽曲のイメージに合わせ、サンリオ映画『くるみ割り人形』の映像を自身で編集し、完成した。レイザーラモンRG、椿鬼奴と共に、2011年6月よりNaked Loftで月一開催している洋楽カヴァーイベント『Like a record round! round! round!』(現在はロフトプラスワンで開催)でも、いかんなく発揮されている洋楽愛と、彼の「好きなもの」が溢れた作品となっている。
芸歴21年目の今と、こぼれんばかりの作品への思い、おまけにロフトへの愛情までもがありがたく伝わるインタビューでした。(interview:鈴木 恵/Naked Loft店長)
イベントを機にまた歌いたいと思えたんです
──今作『She is my new town / I just want to hold you』は、Naked Loftでのイベント『Like a record round! round! round!』を開催していたことがリリースのきっかけになったと仰って頂いてましたが。
↑ブレてるのではなく、アーティスト写真っぽく ということで、敢えてブレた写真にしています |
「元々子供の頃から音楽を聴くのが好きで、じゃあCDを出しましょうってなったのが2000年とかの話なんですけど、その時は人前で歌うことに対して恥ずかしいという思いが強かったんです。でも、僕が恵まれていたのは、レコードの会社の方や楽曲を作ってくださる方が、CDを出すことに対してちゃんと向き合ってくださるから、お応えしなきゃってなって。本当にその方々のおかげなんですけど、それが最初に曲を出す始まりでしたね。それで松本隆先生がアルバムを作ってくださって、コンサートもやらせて頂いて。お客様の前で歌うという事も照れ臭いし、立って歌うのとかも絶対いやですって言ったんですけど、全曲振り付けがついてたりして。そこから何枚かCDを出させて頂いたんですけど、手掛けて頂いた本間昭光さん、キリンジの堀込高樹さん、Tommy february6さんもそうですけど、“どういうのがお好きですか?”ってところからちゃんと向き合ってくださったんです。その後、しばらくは歌ってなかったんですけど、3年前ぐらいだったかな? 鐘さん(元・世界のナベアツ、現・桂三度)のサックス練習会…で合ってます?」
──はい。ナベアツさんに『世界のナベアツサックス練習会』というタイトルで2011年の1月に開催して頂きました。
「その時に初めてNaked Loftに行かせて頂いて。『サックス発表会』じゃなくて『練習会』ってタイトルがすごいなと思ったのと、イベントのコンセプトと会場の雰囲気、スタッフの皆さんのスタッフワークが素晴らしかったんですよね。実はライブハウスと呼ばれる会場にあまり行ったことなかったんです。だからすごく新鮮で、イベントをやってみたいという話をその日に鈴木さんにさせて頂いて、『Like a record〜』に向けてすぐ動き出して。それでイベントの内容はどんどん決まっていくんですけど、当日ハッと気付いたんです。ステージと客席の距離感とか、飲食を促すインフォメーションとか、やったことない事いっぱい! って」
──当日気付いたんですか!?
「そうなんです。最初はオールナイトでやったんですよね。椿さんとRさんと3人でやるイベントで、お2人がどうしたら快適に出来るだろうということは考えていたんですけど(苦笑)。でも当日はスタッフの皆さんが温かく迎えて下さって。やっぱり温かく迎えてくださると、バイブレーションとしてお客様にも良い空気って絶対に伝わりますよね。それに、今まで大きな会場で舞台をやらせて頂くことが多かったんですけど、Naked Loftは大きさ的にお客さんがトイレ行きはったということもわかるわけですよ。ステージと客席の距離がお家のような感覚なんですよね。そういう距離って実は苦手なんですけど、最初の15分くらいかな、一気にパチンと弾けて、すっごい楽しかったんですよね。あんなにお客様が盛り上げてくださって。あの日でもう一回生まれ変われた感じがしたんです」
──うわぁ嬉しい。
「本当にそうなんです。それと同時期に品川プリンスシアターっていう吉本の劇場で“なんかやりませんか”って声をかけられて、歌とダンスとマジックショーをやらせて頂いたこともあるんですけど、本番直前で“こんなことやったことない、ヒャアッ”て。その“やったことないヒャアッ”っていうのが続いた時に、なんで乗り越えられたんだろうと思ったら、スタッフの方々やお客様が盛り上げてくださったり、支えてくださったという事と、今まで携わってくださった松本先生も含め、歌のお仕事に関わってくださった皆さんが歌うことに対してすごくまじめに取り組んでくださったからなんです。人様の前で歌うことに対して、本職ではないっていうところで逃げてきたところやコンプレックスもあったけど、『Like a record〜』はそんなことを関係なくしてくださったんです。イベントごとにマネージャーに映像を撮ってもらって、こうしたほうがもっと良いんじゃないかって研究して、先月とは違うもの、昨年とは違うものをってずっと考えながらやってきたんです。でも、ある時“もう映像を撮らなくても良い”って思えたんです。なんでかと言うと、毎回来てくださってるお客様が多いし、なかなかチケットが取れなかったんですけどやっと来れましたと言ってくださる方が何人かいらっしゃったり、良い意味であそこは異常空間やから、僕のちょっとした正義感というのは必要なくて、その瞬間に思った事をやる、正しい事より楽しい事をやっていくという事を本当に教えて頂いた場所なんです。それで、歌う事がすごい楽しくなって、また自分の曲も欲しくなったんです。でも、“CDを出したい”と言って出せる立場ではないので、マネージャーや会社と話し合いを重ねたんですけど、曲が出来る以前に新曲の発表はNaked Loftでさせて頂こうというのは決めていたんです」