クボ君は友達の1人という感じですね(片寄)
── クボ君は、GREAT3が復活してからのライブを見た時どんな印象を持ちましたか?
クボ:めっちゃくちゃかっこ良かったです。3回見たんですが、再結成という印象がなくて。メンバーが変わっても勢いを感じて衝撃でした。
片寄:GREAT3に関しては僕の力だけではないですから(笑)。ライブは9年振りかな。それこそツアーは10年振りだったんだけど、同窓会みたいな感じになるのだけは避けたかったんだよね。新しい何かが提示できないならやるだけ恥だと思ってた。だからそう感じてくれたなら嬉しいよ。
── メレンゲのような、世代が違うバンドと共演するイメージはありましたか?
片寄:もちろん。僕、頭の中がたぶん年齢とつりあっていないんですね。年上、年下という概念が欠落しているんですよ(笑)。気持ちだけが若いのって恥ずかしいんだけど(笑)、たとえ年下だろうが音楽的に尊敬出来る連中とは気持ちが一緒のつもりなので、クボ君は後輩じゃなくて友達の1人だと思ってるよ。
クボ:ありがたいですね。
片寄:それと新ベーシストのヤンは22歳なんだけど、彼のような若い世代は、親がロックを聴いてたりするんだよね。親と同じ音楽を分かち合える世代。そうなってくると音楽において年齢は全く関係ないなって。もちろん、ティーンエイジャーのためのロックはいつの時代も光り輝いていて大切なものだけど、ロックという枠は常に進化、拡張を続けていると思うんだ。だから僕も、何歳に向けてとか自分達の世代に向けてとか考えない。ただ新生GREAT3を聴いた同世代に、今からでも新しい事が出来るんだって勇気をもらったと言ってもらえた時は嬉しかったけどね。
──クボ君も中堅と言われる世代ですが、その辺りどうですか?
クボ:僕は全然知り合いがいなからその辺りが分からないんですよね(苦笑)。
片寄:僕がプロデュースする若いバンドからは、メレンゲという言葉はすごく耳にするよ。僕にとってのメレンゲは最高のメロディメーカー。クボ君は、メインストリームはもちろん、ひねた洋楽育ちの人にもにもアピールする普遍的なメロディーが書ける人なんだよね。若いバンドでメレンゲが好きだという人は共通してクボくんのメロディーと言葉の才能に憧れを抱いていると思うよ。ほんと大ヒット曲がないのがおかしいぐらいだよ(笑)。それと僕には、クボ君や志村の世代は、初めて邦楽を重要なルーツに持って出てきた世代という印象がある。僕らが洋楽を信奉していたような感覚でいろんな音楽を教えてくれる日本のバンドが身近に現れた世代。日本の音楽が成熟というか、新たなタームに入ったことを感じたよ。
クボ:ルーツがそこまでないような気もします。歌やメロディーに執着するというか。でも今は二つに分かれている感じがあって、僕とかの世代でも昔の音楽を聴き漁って洋楽志向になっている人と、洋楽を一切聴かずに邦楽を聴いている人と両極になった気がしますね。
片寄:それに、メレンゲは10年やっていてもそこまでベテラン感はないよね(笑)。でも、それはすごく良い事だと僕は思っていてね。GREAT3も同じなんだ。未だにどこかフレッシュな感じがする理由として、大ヒット曲がないというのは大きいかも。固定のイメージがすり込まれないから、大衆に記憶される強いイメージがない分、いつまでもフレッシュでいられるのかな(笑)。でもある程度は売れないと続けていけないしね。そういった意味では幸運だと思うし、お互いまだまだやっていく意味があるから残っているんだと思いますよ。やっぱり活動を続けるって大変なことだから。今のメレンゲはクボくんのワンマンバンドから、より3人のバンドへと進化しているように感じるよ。
クボ:そうですね。昔ほど色々言わなくてもメンバーも僕の言う事を理解してくれますしね。
片寄:楽曲を書く人にはメロディーが色んなアレンジを呼んでしまう時があるんだよね。バンドでは表現しきれない音、時にはストリングスが頭の中で鳴っちゃう事もある、クボくんみたいな普遍的なメロディーを書く人がバンドで表現していこうとする時には何かしらの軋轢が起こるだろうなとは思うんです。だからこうして色々ありつつも10年もメレンゲを維持しているのは素晴らしい事だよね。
クボ:みんな助けてくれるからとてもありがたいです。