——青と根崎とカルチャー——
根崎:青さんと俺の出会いは古いっすよね。俺、高校2年だったんすよ。cali≠gariの前座をやってたじゃないですか。
青:東京地下室?
根崎:東京地下室は、俺らが東京に出てからだったじゃないですか。LIGHT HOUSE(水戸LIGHT HOUSE)でよくやってましたよ、一緒に。
青:やってた!!!
根崎:いっつも照明を一切使わずに、電球を垂らしたり、ロウソクを立てたりして。ベースの人がめちゃ低い位置でベースを弾く人でした。
aie:初期cali≠gariですか?
青:うん。シャブ中で捕まったベースの頃だよ。
根崎:あの人、シャブ中で捕まったんですか!
青:絶賛シャブ中で、ある日いなくなったんだよね。ライブの一週間前にいなくなって「やべー!! 」ってなって、サードステージ(本八幡THE 3rd STAGE)で当時仲の良かった店員さんに相談したら、研次郎くんを紹介してくれたの。
根崎:研次郎さんが入って一発目のライブを一緒にやったの、覚えてます? 水戸芸術館。
青:お〜、真冬じゃん! 真冬の野外!!
aie:野外!?
根崎:客、全然いないの! あれはビックリしましたよね。「cali≠gariがベース代わったらしいぜ。」って言いながらリハを見て、もう研次郎さんのプレイが凄くて。「cali≠gariすげーな!」って話してて。当時の茨城のシーンって、そりゃLUNA SEAやX JAPANの影響も受けてたけど、結局みんなcali≠gariの真似をしてたんですよ。特にギタリストなんて、みっんな青さんの真似をしてたんですよ。
青:あれね〜、間違った文化だと思ったもん(笑)。
根崎:だからたまに、茨城から出てひっちゃかめっちゃかにしたバンドはラヴィアンローズだって言われますけど、俺から言わすと元凶はcali≠gariですよ!
一同:(笑)
根崎:cali≠gariって言うか、まぁ青さんって言うか。
青:茨城出身のバンドのギターが得てして全員下手くそになるっていうのは、きっと僕のせいですよ。
根崎:言っちゃった!
一同:(笑)
青:ギターを弾くっていう事に趣を置いていない!
根崎:それはね、青さんの責任かもしれないですね(笑)。その水戸のライブはすごく覚えてますね。客が全然いないくて。
青:いるだけで手がかじかむほど寒くて。生まれて初めて手袋してギターを弾いたもん。
aie:えー、弾けるもんですか!
根崎:そうそうそう。青さんまた変なことやってるって。
青:ただ寒いだけだったんだけどね。
根崎:青さんからしたらそうかもしれないですけど、俺らキッズからしたら、「うわー、また青さん変な事やってるよ。手袋して弾いてるよ」って注目の的だったんですよ。
青:いやいやいや、ジョーン・ジェットもやってるんだからさ、別に手袋ぐらいじゃ弾けるだろってやってみたら、意外と弾けるんだよね。まさかの黒い軍手でやってるの(笑)。
aie:渋いっすね〜。
根崎:そんで一番最初の東京地下室の時にゲストで俺ら(ラヴィアンローズ)呼ばれたんですよ。なぜかトリだったっていうね。もうビックリした!
青:あの頃はね、ラヴィアンローズって言ったら飛ぶ鳥を落とす勢いだったの。
根崎:cali≠gariよりも上京が早かったんですよね。
青:早いし、ワンマンも早かったもん。
根崎:高校の自由登校の時にはもうこっちに来てて、一年経たないうちに旧LOFTでワンマンやってたんですよ。
青:本当にラヴィアンローズの右肩上がりっぷりって凄かったの。
根崎:あそこが一番上がったんじゃないですかね。分かんないけど(笑)。
aie:俺もLamielの前ぐらいにラヴィアンのデモテープ買いましたからね。
青&根崎:『茨城革命』!
青:あれはよく出来てたよね〜。
aie:『ほたるの光』も買いましたね。
青:素晴らしかったよね〜。あの当時はさ、ラヴィアンローズの位置づけがすごい特殊だったから。このバンドはヴィジュアル系なのか、みたいな。でもヴィジュアルの枠じゃん。
根崎:そうそう、ヴィジュアルのエクスタシーにいたんで。
青:あれが不思議だったもん。
根崎:あれも青さんの影響を受けたんだと思いますよ。青さんもヴィジュアル系の枠じゃないじゃないですか。よく分かんないじゃないですか。
青:いやいや、ヴィジュアル系ですよ(笑)。
根崎:言ってますけど、一番茨城の奴らが思ってるのは、「ヴィジュアル系って髪短くてもいいんだ」って思ったのは青さんを見てですよ。今日はこれを言いたかった! 茨城の奴らみんなどんどん短髪になってったでしょっ。全体的に短髪になってきたじゃないですか。
青:それはね、ちゃんと理由があるの!
根崎:いやいや、知らないですけど(笑)。どういう理由なんですか?
青:短髪である理由は、単純にだってさぁ、あの頃からもう僕ゲイですって言ってたじゃない? ロン毛のホモなんて売れねーよ!
一同:(笑)
根崎:いやいやいや、短髪のホモが売れるかどうかも分かんないですけど(笑)。
青:ホモなんてみんなステレオタイプだからさ、短髪で髭生やしてさ、でかくなきゃダメみたいなのがあったんだけど、ヴィジュアル系だからでかくなんて出来ないじゃない。細くて、髭も生やす事なんて出来ません。だからせめて短髪に、って感じでね。当時で言う“武田真治”的なみたいな。今はね、髭もOKにしちゃったしさ、こないだまではスキンヘッドだったからさ。
根崎:それがあの当時はカルチャーでしたよね。ぶっちゃけ、みんな髪を伸ばしたくない訳ですよ。面倒くさいし。俺だって、ずっとスポーツやってたヤツがヴィジュアル系は好きだけど、髪伸びるのを待ってらんないし。
青:結局、髪を伸ばしたから似合うかって言ったらそんな事もないんだよね。
根崎:似合わないんですよ!
青:特にさ、高校生ぐらいの若い感じの顔の子が髪の毛伸ばしても全然似合わないよね。
aie:そうですね。
根崎:男で髪の毛伸ばして似合うヤツって結構一握りだと思いますよ。
青:だからラヴィアンとかは割り切ってたから。メイクして髪短いし、スポーティーで、パンクっぽいんだよね、そこが凄く。ヴィジュアルっていうかパンクっぽいんだよね。パンクっぽくてミクスチャーよりで、でもメイクしてて、すっごいストリームが来たよ、これって。
根崎:そのストリームが続けば良かったんですけどね(笑)。
一同:(笑)
青:だって未だに僕覚えてるけど、「チキチキワンマン」の第1回目をLOFTで見た時に「あっ、cali≠gariの時代は終わった」って本気で思ったもんね! 「あっ、これでいいんだ! これが正解なんだ。もうcali≠gariの役目は終了でーす」って。
根崎:(笑)すっげー発言だな。
青:いやいや、本当に思った。だって年下じゃん! うちらより後に結成して、うちらをどんどん抜かして先にLOFTでのワンマンやって、もううちは何もする事ないなって思った時に、何か血迷って人気が出てきてしまって。後追いみたいな感じで。
根崎:青さん達は俺らの1年後に上京してきたんでしたっけ? ムックと同じぐらいに来たんですよね?
青:ムックの方が早いかもよ。まぁ、通っていたから毎日東京にはいたけど。でもその時歌舞伎町でバイトしてたでしょ?
根崎:そうです。で、ムックが出てくるっていうから、じゃあお前らは歌舞伎町で働けって。
青:舎弟なって(笑)。覚えてる、覚えてる。
根崎:だから毎日歌舞伎町にはいたんですよね。
青:今のドン・キホーテがある所でさぁ、君たち全員いたよね、ムックも含めね。ちょっと目を離すとね、誰かがチケット売ったりしてたよね(笑)。
根崎:ワンマンのチケットとか。西新宿のLOFTを指さして、あそこでやっからってね。ナンパと仕事がね、一緒になってる感じでね(笑)。
青:斬新だったよね。
根崎:そこでちょっとしたカルチャーでしたよね。新宿来たら、ラヴィアンローズの奴らがいるから(笑)。
青:何かとりあえずラヴィアンローズに挨拶しに行かないと潰されるっていうね。
根崎:潰されるって(笑)。それもね、今日はちょっと言いたかったんですけど。僕らね、エクスタシーにいただけで、武闘派じゃないですから。
青:いやいやいや。
根崎:地方に行ったら扱いがね、シャレになってなかったですけどね。ビビリまくりで、楽屋に対バンがいなくなるっていうのはこういう事なんだって。だっっれもいなくなるんですから、地方で。ビックリしますよ、本当に!
青:いやいや、ラヴィアンローズというバンドは独特なオーラを放っていたので、何となく分かるよね。
根崎:まぁ、全員長男だっていうのもありますよね。
青:あんま関係ないよね。
一同:(笑)
根崎:まぁ、そういうのもありつつ。aieくんは名古屋ですよね?
aie:名古屋ですね。それこそ初めて会った2003年に東京に引っ越して来たんですよ。
根崎:aieくんと俺って同い年なんですよね。