言葉をダイレクトに伝えるにはどうしたら良いか
── 西さんが曲を作り、みなさんそれぞれがアレンジを考えていく中で最初のイメージと全然変わったものってあるんですか?
西:ありますよ。それがバンドの面白さだと思っています。ミッド系かなと思っている曲がBPM180を越えて来たりとか、アッパーに行こうと思ってたらドス暗くなってたり。『天気予報』や『Saturday in the rain』は、こういうふうにしてとあらかじめ言いましたけど。ワンコーラスフルで曲を作っていくことはめったにないんですよ。スタジオで原がベースを弾き始めて、森下や僕がギター弾き始めて、ピンと来たところからセッションをして、僕が仮メロを入れていくんです。サウンドが持っている言葉を大事にしたいと思っていて、セッションしていくとサビの頭だったりとかで何度も同じ単語が出てくるんです。それがこの曲が持っているテーマだなというところから詞の世界を広げていきます。
── 曲が言葉を呼んでいるというか。
西:そうしてセッションの段階で曲のテーマが決まってくるので、メンバーそれぞれがこの曲はそのテーマの上でポジティブに行こうとか、ここはちょっと暗くしようよと意見交換をしながら。
── その出来上がった歌詞は、どの段階でメンバーに見せるんですか?
西:今回はオケがあがって、歌録りをしますの段階でした。「遅くなってすみません」って言って。
── ということは、オケを録る時は歌詞の全体像が見えてないということですか?
西:見えてないです。仮メロはもちろんありますけど、プロットぐらいしかメンバーには伝わってなかったりします。
── みなさんの想像力も大事ということですか?
西:そうですね。でも、もう10年近く一緒にいるし、僕も奇をてらうこともないので、こんな感じだろうなというのだけは汲み取ってもらいながらやってもらっています。
原:ここ歌入らないんだろって音数入れてみたり。それは、こっちからも「こう歌えよ」って言ってるようなものですけど(笑)。
森下:レコーディング中もどんどん曲が変わっていくし。
三浦:ライブで変わっていくものももちろんありますし。
西:ライブでは原曲に対してブラッシュアップしていくような感じです。曲の流れ自体はCDと一緒ですけど、ライブとCDは別物だなと思っていて。ライブって目の前に演奏している人間がいるし、俺は言葉で伝えたいタイプのボーカルなので、ダイレクトに伝えるにはどうしたら良いか。ライブの圧力だったりいろんなものを考慮してます。
── 名曲と名高い『シキサイの種』はピアノで聴かせる美しい曲で、歌詞も耳に飛び込んで来る言葉が多いですし。
西:『シキサイの種』は録りの当日に直しが入って、歌って直してを繰り返したので難産だったなと思う反面、こうなるべくしてなったかなという曲になりました。“シキサイ”がカタカナになってますけど、これは“死期際”をイメージしていて、一見恋愛の終焉を描いているように見えますけど、僕としては死をテーマにしているんです。ただ、聴く人の気分によって表情の違うものになるのがいいなって思っていてこの表記にしました。サビで“10年後”というキーワードを統一することによって耳に入りやすくなりましたし、俺たちだけでは出来なかった曲だと思います。小説や脚本のように歌詞を書くのが好きで、そういう曲ってサビだけ聴くと成り立たないことが多いんですが、サビだけ聴いてもストーリーのバックが見えてくるような歌詞にしたいということは考えるようになりました。
── 確かに物語を読んでいるような感覚になる歌詞ですよね。
西:ロックの中枢は生き様だったり、パンクの原点は反社会的なメッセージだったりしますけど、僕がアウトプットする時はある種フィクションじゃないといけないと思っているんです。リアルすぎないものを追究したい。映画とか小説とかドラマって、リアリティーを感じる情景描写や心象風景が映し出されてスッと入り込めるんだけど、見終わったら現実に戻る。そうやって現実と物語の世界を行ったり来たり出来るような感覚は、音楽でも表現出来るんじゃないかなと思ってます。自分をCメロ職人だと思っているんですけど、僕はCメロに一番言いたいことを詰め込むんです。そこからサビに入ると、よりストーリーが感動的に聴こえるんですよね。
── その中でも7曲目『Big Mouth & Little Boy』は感情をストレートに出してる曲という印象を受けましたが。
西:あれは自分に対する戒めソングです。ロックスターとニートって紙一重の世界だと思っていて、家とスタジオの往復をするバンドマンに対して、「お前の大志はどうやって成就させるねん」って。間奏で叫んでる部分は、ネットの社会でしか生きられない人たちに対する時代風刺の部分もあって、「本来の自分自身と向き合ってないんじゃないのか」ということに気付いていく少年の歌ですね。
── また、1曲目『PLANUS』は星空をテーマにしたロマンチックな歌詞で。
西:アルバムタイトルの『Stars seed』は“星々の種”という言葉だったり、もともと星や空を見るのが好きなんです。小さい時は宇宙飛行士になりたくて、その憧れもあるのかもしれません。高校生ぐらいまで宇宙飛行士になりたいと思って教室でニュートン読んでましたから。本気で博士号をとって宇宙に行こうと思ってました。
三浦:当時、何言ってるんだって思ってましたけど(笑)。
西:でも、隣の席に座ったやつがきっかけでバンドの面白さを知ることになるんです。その後人生で初めてステージに立って聖飢魔IIのコピーをやって。
── そこから今まで、バンドを続ける原動力ってなんだったんですか?
西:今The Birthdayでベースを弾いてるヒライハルキさん(ex.てるる...)が高校の先輩で、その憧れからですね。THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITY、eastern youth、MO'SOME TONEBENDERは俺たちのロックの原点です。