前作『IQ:64(あいくるしぃ)/ from Snow...』がタワーレコード渋谷店総合デイリーチャート1位を記録し、話題になりつつあるバンド、In 197666(読み:インナインティーン セブンティー シックスシックスシックス)待望の1st.アルバム『Stars Seed』が完成した。今年7月に新しくギターの森下大輔が加入し、新たな4人となって進み出した今作は、物語性の高い歌詞に、エッジの効いたサウンドがさらに鋭さを増し、『シキサイの種』を始め、名曲揃いの作品。10月に行なわれたリリースイベントでは、アルバムの曲が多く演奏され、曲ごとに世界観を作り上げ、見る者を魅了していた。
まだまだスタート地点に立ったばかりの彼らだが、これから先、きっともっと多くの人を巻き込める曲を鳴らしていくだろう。今回はRooftop初インタビューということで全員にお話を伺った。新メンバーの森下を含む4人の間に流れる空気は温かく、ステージ上で見せる表情とは全く違うものであったが、とても賑やかで良い雰囲気だった。(interview:やまだともこ)
救世主が現れた
── バンド名がまず気になりますね。一度見て記憶には残るんですけど、なんて読むんだろうと思いますし。なんでこのバンド名をつけたんですか?
西 勇輔(Vo,Gt):高校生の時に結成して、コピー時代は「椿」というバンド名でやっていたんですけど、一色さん率いる「椿」がテレビに出始めていた頃だったので、変えようということになって。それで、当時三浦がマリリン・マンソンとかスリップノットを聴いていて、スリップノットのドラムのジョーイがやっているマーダードールズに『197666』という曲があるんですけど、冒頭の歌詞が「In 197666」なんです。バンド名自体に意味を持たせる必要がないなというのと、視覚的に「In 197666」とあったら、フェスのラインナップだったりメディアで流れた時に絶対に眼を惹くであろうというところから、高校生のノリのまま決めました。
原 琢矢(Ba):その後「バンド名変えないの?」とは何度か言われましたけど。
西:バンド名を変えると、運気が下がりそうな気がするのでこのままやってます。
── そういうの気にするんですね。
西:気にしますね。
── 最初メンバーの誰かの誕生日なのかと思ったんですけど。
西:そうなってくるとなかなかのワンマンバンドになりますよね(笑)。僕たちの10歳上の世代になりますし。
── 高校生の時に結成して、今何年目ですか?
西:椿の時代を含めると8年ぐらい。オリジナルは19歳ぐらいの時に始めているので7年ぐらい。
── 今年の7月にギターの森下さんが加入されましたが、それはどういう繋がりがあるんですか?
西:6年ぐらい前にヤマハが主催する大会があって、お互い別々のバンドで予選大会の代表だったんです。それ以降つかずはなれずの距離感を保ってました。会ったら喋るし、打ち上げがあれば一緒に飲むぐらいの。
── となると、前のギターの方が脱退して、一番初めに思いついたのが森下さんだったんですか?
西:森下自体はファンクだったりグルーヴィーな感じだったので、ロックのイメージがなかったんです。でも何人かと合わせていく中で、森下とスタジオに入った時が一番しっくり来たんです。
── なんででしょうね。
西:昔から知ってるし、森下自体も僕たちのライブを何度も見ているし、この曲やってみようと言えばついてこれるし。それと、もともと森下がギタリストとして持っているスキルが高かったので、こんな感じだよねって俺たちの色を受け入れることが出来たんだと思います。
── 今加入されてちょうど3ヶ月ぐらいですが。
西:5月末からリハが始まっているので、もう4〜5ヶ月ぐらいかな。
森下大輔(Gt):もっとやってるかなという気はしてるんですけどね。最初のリハから「あれ? なんかしっくり来るな。一緒に合わせるの初めてだっけ?」という感じで。演奏的にもノリ的にもハマるものがあったんです。
── 今作の『Stars Seed』は森下さんが弾いているんですか?
西:そうです。森下なくては完成しなかった作品です。前ギターの脱退が決まりつつあって、スタジオミュージシャンの方に上手いギターを入れて頂くことを視野には入れてましたけど、僕らが初めて作るアルバムでもあったので、極力それは避けたいなと。それで、リハに入ってやる気があるなら弾いてもらいたいなというところから始まり、森下に「来週レコーディングがあって、10曲近くあるけれど数日しかない」という話をしたんです。それで「どうしたい?」って聞いたら、「全部やります」と二つ返事でかっこよかったんですよ。今回のアルバムは昨年の12月にリリースした『IQ:64(あいくるしぃ)/ from Snow...』の後すぐにレコーディングに入りましたけど、ギターで頓挫していた部分があって、そこを森下が2週間で終わらせてくれました。僕らにとっては救世主です。
森下:ライブでやる曲を覚えて、レコーディングの曲はギターも考えないといけなかったので大変でしたけど、それなりにちゃんと出来たかなと思います。
── 今作は、エンジニア&共同プロデュースに凛として時雨やクリープハイプを手掛ける采原史明さんを迎え、強力なメンバーが揃ったというわけですね。
西:采さんにはプリプロの段階から関わって頂いて、サウンドプロデュースから何から一緒に作る感覚で出来ました。僕らにはないアプローチの仕方とか経験値を持ってらっしゃる方なので、すごくかっこいいアルバムになったと思います。
── それぞれアイディアをもらいつつ。
三浦 明展(Dr):教えてもらうことばかりでしたね。
原:この人が言うことなら間違いないなって。
西:全幅の信頼をおける方だったんです。音が鳴った瞬間すごいなって思ったし、「これじゃ俺のプライド的にもGOサイン出せないわ」って厳しいこともちゃんと言ってくれましたし。厳しく言ってもらえることってなかなかないし、俺たちも負けたくなかったので一生懸命考えて、それが良かったなって思います。ベーシック自体は一発、二発で終わってる状態で、僕は発声から言葉尻から、ギターのアプローチの仕方とか、いろいろと直しながら。聴く人の耳に届くスピードが早いものって歌と上物なので、そこはすごく気を使いました。