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INTERVIEW

トップインタビューTHE FOOLS(2012年3月号)

最強のストリート・ロックンロール・バンド、THE FOOLSが20年ぶりの新作をリリース。この腐ったバビロン・システムをぶち壊せるのはヤツらしかいない!!!

2012.03.02

 「ロックが反体制な時代は終わった」とか「社会が複雑化し倒すべき敵が見えなくなった」などと訳知り顔の評論家は言うかもしれない。だが、果たして本当にそうだろうか? 確かに日本では、かつての全共闘運動が終焉して以降、反体制という言葉自体に拒否反応を示す風潮が蔓延した。しかし、その間に政治家や官僚、大企業などシステム側の人間は拝金主義を掲げ、自分たちに都合のいいシステムをなりふり構わず構築してきた。富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる──こんな社会に対して誰も異議申し立てをしないとしたら、確かにロックは終わっているのだろう。
 1980年に結成されたTHE FOOLSは、その長き歴史に渡り一貫して社会のシステムそのものにNOを突きつけてきた。決して頭でっかちな思想にとらわれず、ロックンロールという快楽原則にしたがって、どんな困難な状況においてもしぶとく「自由」を歌い続ける。ゆえに、FOOLSの奏でるストリートロックは決して古びれることがない。「奴らの言いなりになるなんて まっぴらゴメンさ!」(「バビロン・ブレイカー」)という彼らのメッセージは、地べたを這いつくばって生きている不屈の民たちに勇気を与え、いつも私達を奮い立たせてくれるのだ。
 2009年の暮れ以降、ボーカルの伊藤耕が某所でのお務めに出てしまい、しばらく3人体制で活動を続けてきたFOOLSが、突如として20年ぶりの新作をリリースした。FOOLS史上最もラウドでヘヴィーに仕上がった本作は、旧来のファンのみならず、今の時代を生きるすべてのロッカー達に火を付ける爆撃機となるだろう。アルバム発売を記念して、メンバーの川田良(g&vo)、福島誠二(b&vo)、庄内健(ds&vo)、そしてプロデューサーの森早起子にお話を伺った。(INTERVIEW:加藤梅造/PHOTO:龍野倫)

ロックがいかに年齢とか関係ないのが分かるでしょ?

──今作はなんと20年ぶりの新作ということなんですが、アルバムを出そうと思ったきっかけは何だったんですか?
誠二 健が帰郷することになって、それなら今のFOOLSでCDを作ろうって。でも、せっかくリリースするのに、そこに伊藤耕がいないのも寂しいんで、耕が歌ってる過去の音源を探してきてそれも入れたわけよ。
──新録のレコーディング期間は短かったようですが、ライブっぽいというか、疾走感がすごかったです。
誠二 勢いはあるよね。そこは若い者の力で(笑)。
──特に新曲「バビロン・ブレイカー」はベースとドラムがブリブリで。
誠二 これは歌詞が耕から送られてきた。旅先から手紙で(笑)。それがものすごい沢山あって、なかなか曲をつけるのが難しい。言葉数が多いから。
 その手紙には「いけ!バビロン爆撃機、FOOLS号」って書いてあるんです。
誠二 そう、毎回手紙の最後にそういう文が出てくるんで、じゃあタイトルはこれでいいかと。ここまでやれば向こう側の人(耕)も文句ないでしょ。最近返事がないからどう思ってるかわからないけど(笑)。
──やっぱり、向こうでは聴けないんですよね。
誠二 最初はちょっと不満だったらしいよ。俺抜きでレコーディングかよって。
──いや、しかし新曲もそうですが、FOOLS史上最強にパワフルな仕上がりになっていると思います。ドラムなんか2バスですよね。
 健はメタラーですから。
 まさに爆撃機だよ!!!
誠二 これはやっぱり3人でしか出せない音で、昔の曲もアレンジを変えてよりラウドになってるよね。これはこれでいいんじゃない。
──ボーカルも3人でやってるわけですよね。
誠二 それが一番大変なんだよ。
──馴染みの曲でも歌ってみると新たな発見がありそうですよね。
誠二 よくライブでゲストボーカルに歌ってもらうことがあるけど、なかなか歌えない。伊藤耕の歌って聴いてるぶんにはいいけど、いざ歌おうとすると大変なんやね。
 でも本質的な部分は変わらないよ。
──本質という意味では、今回「TV EAZY」を新録してますが、「俺たちかろうじて 今日ここに生きてる」という歌詞も含め、まさに今の時代の歌ですよね。それがすごいなと。
 この歌が今でも説得力を持つことが果たしていいことなのかどうかわからないですけど。健が生まれる前の曲ですからね。
 ロックがいかに年齢とか関係ないのが分かるでしょ?
 こう見えて良は民主的なんですよ。世代とかは気にしないから。
 音さえよけりゃいいんだよ。
 実際、誠二が加入した時も大変でしたが、健も入った時のプレッシャーはすごく大きかったと思います。だから2年でよくここまで成長したなって。

FOOLSの歴史とか良さを感じるようになったのはごく最近

──確かにFOOLSって名前きくだけで普通の人はビビりますから。誠二さんは入る前、FOOLSの事をどう思ってたんですか?
誠二 実は存在すら知らなかった。俺は当時スラッシャーだったんだけど、たまたま良さんと知り合って、10歳年上の人とセッションするのが新鮮で、それで誘われて入ったのがFOOLSだった。しかもその時はボーカルいなかったし(笑)。
──ああ、その時もお務めに…。実際FOOLSに入ってみてどうでした?
誠二 何もかもが新鮮だった。俺も若かったし。あらためてFOOLSの歴史とか良さを感じるようになったのはごく最近だね。最初からもうちょっと空気読んでやってりゃよかったかな(笑)。
 俺は違和感なかったけどな。あいつらがブーブー言ってただけじゃん。
誠二 最近、自分のFOOLSデビューのライブ映像を見たんだけど、まあひどかった。ヴァン・ヘイレンみたいにタッピングとかしてて(笑)。客席がシーンとなっちゃって。それからしばらくして耕が帰ってきて、それからは猛特訓ですわ。もうスポ根の世界で。
 耕は肝心なことは言うからね。普段はすっとぼけてるけど。
──健さんはどういうきっかけでFOOLSに?
 最初「セッションやるから遊びに来なよ」って言われて行ったんです。その時はFOOLSに入るとか聞いてなかったんですが…。2009年の5月に急遽入ることになって、その2週間後にライブだったんです。その間、1、2回スタジオに入ったんですが、曲も全然憶えられなくて、しかもライブの10分前にその日にやる曲が決まるという。もう全然ダメでしたね。
誠二 FOOLSってジャムセッションで曲が進んでいくから、やったことがないとパニックになる。その時はこいつはもうダメだろうなと思ったんだけど、その後、伊藤耕を含め激励会をやって。それから鬼の特訓が始まった。メタル小僧がいきなりブルースやらレゲエやら何やらを叩き込まれる訳で。それを横目で見ながら、これ、十何年か前の俺と同じだなって。まさに“歴史は繰り返す”(笑)。
──もはやフールズ虎の穴ですね。
 ホントにそうです。その後ツアーから帰ってきた時には見違えるように良くなってたんです。
誠二 バンドがまとまって、ようやくいい感じになったんだけど、新宿ロフトの「DRIVE TO 2010」(2009年11月8日)に出た後に(耕は)またサヨナラで。だけど、耕にサヨナラされたのがちょうどライブの前日だったんで、逆に「こうなったらやるしかねえ!」ってことで3人でライブをやってみた。それが意外となんとなかって、これならできるんじゃないかって。
 結局2年半FOOLSにいたんですが、耕さんと一緒にいたのは5ヶ月で、3人でやってた方が全然長いですからね。

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