THE FOOLSの作品はどれも名盤だが、僕が一番好きなのが今回再発された『NO MORE WAR〜地球の上で〜』だ。好きというよりは、人生の道標とも言うべき多大な影響を受けたアルバムかもしれない。最初に聴いた時、日本にこれほどリアルなレベルミュージックがあったのかと驚いたものだ。1991年に勃発した湾岸戦争にはっきりとNOを突きつけるべく短期間で制作された楽曲は直接的な怒りに満ち溢れている。特に「戦争反対」「Hey! 総理大臣」のファンクビートに乗った切羽詰まった歌と演奏が生々しい。またSEX時代からの「無力のかけら」は伊藤耕の詩が素晴らしく、何度聴いても心が震える名曲だ。そして(ボーナストラックを除く)アルバムラストの大曲「地球の上で」は、戦争反対の先にどんな世界を望むべきかを力強く、そして優しく示してくれる。きな臭い今の時代にこそ、このアルバムはますます訴求力を持って迫ってくるのではないか。(LOFT PROJECT:加藤梅造)